札幌市立高特事務職員会研究大会研究発表概要⑦ 旭丘高・中辻氏ら3氏 学校事務共同実施の理解を
(札幌市 2023-02-13付)

研究発表Ⅱ

▼研究テーマ=チーム学校の一員として~札幌市立高校・特別支援学校・中等教育学校事務室のチーム学校への関わり

▼発表者=市立札幌旭丘高校事務長・中辻拓実、市立札幌山の手支援学校・渡邉壇、市立札幌清田高校・田巻友茉

【事務の共同実施について】

 答申では「チーム学校」を推進するため様々な提言がされているが、ここでは、学校事務職員制度の大きな変革とも言える「学校事務の共同実施」について詳しく見る。

 学校事務の共同実施とは、普段は各学校で勤務している事務職員が、週1回程度1つの学校に集まるなどして、複数の学校の事務業務を共同で行うものである。

 これは、主に1人配置の小・中学校の学校事務に主眼に置いた制度であり、高校、特別支援学校等で勤務する事務職員にとっては、なかなか実感できない部分が多くある。

 しかし、事務職員が「チーム学校」に参画するための重要な方策であることから、勤務する校種にかかわらず制度の内容を理解しておく必要がある。

▽事務の共同実施に関する国の動き

 平成10年の「今後の地方教育行政の在り方について」(中教審答申)において、初めて事務の共同実施に関する提言がなされた。

 提言では、学校の裁量拡大の中で、学校事務を効率的に執行する観点から、事務の共同実施を推進するとされている。

 19年には学校教育法施行規則が一部改正され、小・中学校においても事務長の設置が制度化された。これによって大規模校や共同実施組織に事務長を置けるようになった。

 これらを経て、27年の答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」において、学校における事務機能強化を推進するため、事務の共同実施組織の制度を整備すると提言された。

 29年には学校教育法が改訂され、事務職員の職務規定が「事務に従事する」から「事務をつかさどる」に変更された。

 「つかさどる」とは「一定の責任をもって、自己の担任事項として処理する」という意味で、決められたとおりに事務処理をするだけではなく、その専門性を生かして、事務業務と教育活動を効果的に結び付け判断し、校務運営に参加することを求められることになった。

 また「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」の一部改正によって共同学校事務室が制度化され、共同学校事務室を置いている場合に事務職員定数を加配できるように整備された。

▽札幌市立小・中学校における学校事務の共同実施

 市立小・中学校における共同実施は、29年度から3年間の試行を経て、令和2年度に全市展開された。

 共同実施の目的は、1人職場の課題を克服し、学校事務の機能強化による学校運営の一層の向上を図ることで学校教育の充実を目指すとされている。

 札幌市の共同実施組織はつぎのとおり。

・学校運営支援室=2校(円山小、向陵中)

 各支援室に室長1人(学校事務係長職)、職員2人(学校事務職)を配置。室長に管理諸手当を支給。市教委教職員課兼務。

・拠点室(拠点校)=10校(各区1校)

 各拠点室にグループ長(学校事務係長職)1人を配置。市教委教職員課兼務

・学校運営支援グループ=45グループ(2の中学校区の通学区域内に設置されている学校各区4~6グループ)

 グループを構成する学校を連携校という。各グループにグループ主任(学校事務職)1人を配置。

(札幌市 2023-02-13付)

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