札幌市教委 4年度教育実践功績表彰概要
(札幌市 2023-02-10付)

 札幌市教委は1月25日、ホテルライフォート札幌で4年度教育実践功績表彰式を執り行った(1月27日付8面既報)。学校教育の振興に貢献した14人と2校1園が栄に浴した。

 受賞者の功績はつぎのとおり。    =敬称略=

個人表彰

▼出葉充(桑園小校長)

 長年にわたり算数科教育の充実に重要な役割を果たしており、道算数数学教育会の要職を務め、授業研究などに取り組み、北海道の算数科教育の発展に尽力している。また、札幌市教育課程編成の手引きの作成委員を務めたほか、教育課程研究協議会においては教員の指導力向上に寄与する助言・指導を行っている。

 札幌市小学校長会の事務局長・会長を務め、各学校間の連絡調整を担い、コロナ禍において、各学校の感染症対策を踏まえた教育活動の円滑な実施に大きく貢献した。

 学校経営においては、地域住民のニーズや子どもの実態を共感的に捉えた取組を進めており、教職員、保護者および地域から厚い信頼を得ている。

▼笹川恒春(北栄中校長)

 長年にわたり部活動指導に尽力し、道中学校体育連盟や道学校体育研究連盟の要職を務め、北海道のスポーツ振興に寄与する取組を推進している。

 また、4年度に「人間尊重の教育」推進事業における「さっぽろっ子自治的な活動」推進委員長を務め、一人ひとりが大切にされていると実感できる学校づくりの推進に尽力した。

 学校経営においては、子どもや教職員との信頼関係を大切にした学校づくりを進め、ICTの活用や新型コロナウイルス感染症対策を講じた学校行事の実施などに取り組んでいる。子どもや保護者の心情に寄り添い、チーム学校として教育活動に取り組んでおり、子どもや保護者から厚い信頼を得ている。

▼佐藤淳洋(市立札幌北翔支援教諭)

 肢体不自由特別支援学校において、子ども一人ひとりの状態を的確に把握し、家庭と連携しながら個別の教育的ニーズに応じた適切な指導の充実を図るなど、重度重複障がいのある子どもへの指導に尽力している。

 平成26、27年度には札幌市教育センターの研修講師を務め、交流および共同学習の充実や個別の教育支援計画の活用について全市に広めたほか、全道や全国の研究大会で実践内容を発表するなど、特別支援教育の充実に貢献している。

 前任校では、障がいの重い子どもの食形態の改善と摂食指導の充実や、司書教諭として障がいのある子どもの読書活動促進に取り組んできた。現任校では、学校運営の中核的役割を担い、カリキュラム・マネジメントを推進している。

▼照井史絵(北九条小教諭)

 平成27年度から、日本語指導担当教諭として、帰国・外国人児童を対象に日本語の初期支援を行っており、令和2年度からは日本語指導巡回教諭としてパートナー校と校種間連携による日本語指導を進め、取組の共有を行うなど、本市の日本語指導巡回教諭の手本となっている。

 また、文部科学省による「日本語指導教諭養成研修」を受講し、本市の研修講師を務めたほか、帰国・外国人児童生徒を受け入れる際の手引きや日本語指導資料の作成に携わるなど、本市の日本語指導の推進に大きく寄与している。

▼髙橋慶之(幌南小教諭)

 札幌市教育研究推進事業において、これまで各区の研究部長を歴任し、中心的な役割を担い、特別活動の実践研究に取り組んでおり、協働的な学びの推進に尽力している。

 また、札幌市教育課程編成の手引きの作成委員を務めたほか、本市における特別活動の研修や初任者研修の講師を複数回務め、初任者段階の教諭を中心に自身の実践を分かりやすく伝達し、後進育成にも大きく貢献している。

▼飯尾周二(北郷小教諭)

 長年にわたり、特別支援学級の教諭として、特別な教育的支援を必要とする子どもへの指導内容や指導方法の工夫改善に取り組んでおり、保護者や関係機関と連携しながら、子どもの実態に応じた適切な実践を進めている。

 平成18年度から札幌市学びの支援委員会の委員を務め、障がいのある子どもの就学相談の充実に尽力するほか、札幌市教育課程編成の手引き作成委員や、札幌市教科用図書選定審議会の委員を務めるなど、特別支援教育の充実に大きく貢献しており、本市の特別支援教育関係者からも高く評価されている。

▼飯嶋孝行(向陵中教諭)

 札幌市教育研究推進事業における保健体育の分野において、これまで中心的な役割を担い、教科研究に取り組んでおり、札幌市教育課程編成の手引きの作成委員を務めたほか、平成29、30年度には、国立教育政策研究所による研究指定校授業者として、学習指導の改善・充実に取り組んだ。

 また、日本学校保健会による健康管理・健康づくり推進動画の作成に携わり、授業実践内容を全国に発信しているほか、動画資料を活用した札幌らしい「がん教育」の推進など、本市の保健体育教育の向上に大きく寄与している。

▼中川幸樹(栄町中教諭)

 札幌市教育研究推進事業において、長期にわたり特別支援教育の中核を担っており、所属する多数の教員に寄り添いながら、学習指導の実践的研究を進めている。また、平成30年度から2年間、札幌市教科用図書選定審議会の委員を務め、平成31年度は副部長として選定業務に尽力した。

 現任校においては、特別支援学級の要として職場の中核を担い、熱心に実践研究へ取り組んでおり、同僚職員や管理職から厚い信頼を得ている。

▼楜澤美奈登(手稲中央幼教諭)

 本市研究実践園の立ち上げ直後から、幼児教育支援員として、保護者や幼児への幼児教育相談に取り組んできたほか、私立幼稚園等の訪問支援では、特別な支援を必要とする幼児との関わり方について適切な助言を行うなど、現在の地域教育相談体制や私立幼稚園等訪問支援の礎を築いてきた。区の幼保小連携推進協議会では中心的な役割を担い、幼保小連携の推進に尽力している。

 また、市立幼稚園が企画する区の研修会講師や、国立特別支援教育総合研究所の研究課題について研究協力を行うなど、その豊富な実践を多方面に提供しており、園内外から高い評価を受けている。

▼渡部成江(市立札幌大通高教諭)

 高校体育を通じて、健康のセルフケアができる力を養う教育実践に取り組んでいるほか、学校の中核行事であるプレゼンテーション大会において、基本コンセプト「発表し、共有し、励まし合う」の確立に中心的役割を担い、学校基盤づくりに大きく貢献した。

 生徒を丁寧に見取ることによって、一人ひとりの潜在的な可能性を引き出し、社会で活躍する卒業生を数多く送り出しており、生徒や保護者から絶大なる信頼を得ている。

 また、自らの研究成果を生かし、教職員の心理的・身体的サポートを率先して行っており、同僚職員からの信頼も厚い。

▼黒井憲(市立札幌開成中等教育教諭)

 現任校の特色である国際バカロレア教育を牽引し、令和3年度からは、ディプロマ・プログラムコーディネーターとして課題探究的な学習に取り組んでおり、精力的に授業公開や研修講師を務め、本市の課題探究的な学習の普及・推進に貢献している。

 また、市立高校連携事業である食農教育のプロジェクト「アニマドーレ」の取組に主催者の一人として積極的に関わり、様々な地域や団体と連携した先進的な食農教育を実施しており、関係者から高く評価されている。

 英語科教員としても令和2年度から2年間、札幌市英語教育改善プランの研究部員として、高校の「札幌CAN―DOスタンダード」の作成に係る中心的な役割を果たし、児童生徒の英語力向上や指導方法等の工夫改善に取り組むなど、多方面で活躍している。

▼小川美和(もみじ台中養護教諭)

 平成14年から、保健師・助産師との連携を通して「思春期の性」に係る保健講話を始め、特に近年では、自分自身で健康を守ることができる子どもの育成のために、「性と命の学習」に力を入れて実践してきた。また、常に悩みを抱える生徒に寄り添い、関係機関と連携して多くの困難事例に対応し、解決に導いている。さらに令和4年度は、もみじ台地区中学校2校の統合による生徒の心的負担が増す中で、生徒に向き合い、安心・安全な教育環境づくりに大きく貢献している。

 札幌市性に関する指導の手引きの作成委員や本市研修講師を務めたほか、道教育大学における講義など、各方面においてその豊富な実践を提供し、後進の育成にも尽力している。

▼岡本美千子(新陵中栄養教諭)

 平成28年度から29年度の間、西区の栄養教諭・栄養士をまとめるブロック長を務め、ブロック運営の総括を行うとともに、中心となって地域生産者と情報交流を図り、西区の野菜を区内の全小・中学校の給食に取り入れ、児童生徒の地産地消の理解や知識の定着に取り組んだ。

 また、学校給食の摂取基準を検討する食事内容検討会議の構成員を務めたほか、適切な栄養摂取について、家庭との連携を目的とした保護者向けリーフレットの作成に関わるなど、食に関する指導の充実に尽力している。

 その他、道栄養士会学校健康教育栄養士協議会の副協議会長および会長を務め、全道の栄養教諭等を対象とした研修会を開催するなど後進の育成に尽力している。

▼須摩健太(屯田北中事務職員)

 学校経営に積極的に参画し、働き方改革の一環として、ペーパーレス化・欠席連絡フォームの作成・保護者メールの活用等の推進役を担い、より良い職場環境の整備に大きく寄与している。さらに、学校予算の適正執行のみならず、家庭が負担する学校諸費の削減に取り組むなど学校財務のマネジメントを実践している。

 また、各区の学校財務説明会の講師を担い、学校財務の適正化に向けた取組を全市へ発信しているほか、学校事務職員の共同実施の取組等を通じて、学校事務職員による学校経営への参画化の重要性を各校に普及啓発している。

学校表彰

▼幌西小学校(村上智樹校長)

 開放司書と保護者地域ボランティアの協同によって、地域開放図書館「まほうの図書館」を運営し、地域への開放事業の傍ら、季節や話題に応じた図書展示などを行い、地域に親しまれている。

 また、地域安全ボランティアとして、地域の協力者による青色パトロール乗用車を多数登録し、不審者対応などの際には一斉に見守り活動が行われるなど、地域と連携した取組を進めている。

 その他、令和4年度札幌市研究開発事業研究課題「学びの質を高める効果的な端末の活用」に係るモデル研究校に指定され、課題探究的な学習の充実につながる1人1台端末の活用に取り組んでおり、毎週行われる5分間のミニ研修や45分間の活用研修の実施、ICT担当「デジトラ(DX)部」による「デジトラ通信」(実践事例の紹介等)の発行等、計画的に取り組み、学級差なく端末を活用した学習が日常的に推進されている。

▼前田小学校(森實啓之校長)

 児童の運動習慣や体力・運動能力の低下傾向などを分析し「健やかな体」を育むため、「体を動かして遊ぶ子を増やす」ことを重点目標に掲げ、校務分掌に「遊びプロジェクト」を位置付けて、学校全体で取り組んだ。

 グラウンドや体育館に「遊びの場」を設定して異学年活動と関連付けることによって、児童の運動意欲向上を図ったほか、個に応じた学習の場を設定し、仲間と活動する楽しさに触れることができる授業への改善など複数の取組を数年にわたり継続実施している。

 その結果、学校全体に「健やかな体」育成に係る雰囲気が醸成され、運動機会が少なく運動が苦手な児童の活動量が増加し、全国体力テストの調査結果も向上するなどの成果を上げている。

 3年度には、本市の「学校における運動機会の充実を図る環境整備推進事業」の指定校となっており、教職員支援機構が主催する「体力向上マネジメント指導者養成研修」において事例発表を行うなど、同校の取組を広く発信している。

▼白楊幼稚園(松本美和園長)

 幼児の興味・関心を捉えながら主体性、探究心、思考力等を育むための保育を工夫し、未来をたくましく生き抜く力の基盤を培っている。

 また、地域の特色として、北海道大学等に関係する外国籍の家庭の幼児が在籍することや、近隣に様々な校種の学校施設があることから、その環境を活用した教育活動を積極的に展開するなど、幼児にとって多様かつ豊かな学びにつなげている。

 その他、平成23年度から、北区の研究実践園として、区内の幼児教育施設および小学校との幼保小連携に積極的に取り組んでいる。

 特に令和3年度からは白楊小学校とともに幼保小連携モデル園・校として、幼児期と児童期の円滑な連携・接続のために「幼児・児童の連携交流活動の在り方」「発達の連続性を踏まえた指導の在り方」「カリキュラム・マネジメントのための園・学校体制の在り方」等について、実践研究に取り組んでいる。

(札幌市 2023-02-10付)

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