道教委　ＩＣＴ活用した公開保育　幼小の円滑な接続へ研鑚　札幌ゆたか幼の自由活動配信

（道・道教委 2023-03-08付）

丸谷園長とこま回しで対決する園児

　道教委は１日、ＩＣＴを活用した公開保育を実施した。札幌市内の認定こども園札幌ゆたか幼稚園（丸谷雄輔園長）における自由活動の様子を配信。グループ協議や、札幌国際大学短期大学部の平野良明学長による助言を通して、より良い保育の在り方や幼小連携・接続の方策について考え合った。

　ＩＣＴを活用した公開保育は、３年度から実施しているもの。コロナ禍における保育の参観機会充実とともに本道の広域性を考慮し、ＩＣＴを活用した公開保育を通して園内研修の活性化を図り、幼稚園教諭等の指導力向上および幼児教育の振興、充実を目指す。幼児教育施設職員や行政関係者、小学校、特別支援学校教諭など１００人以上がオンラインで参加した。

　公開保育では、札幌ゆたか幼稚園における保育の様子を配信。同園では「ゆたかなこころ」「たくましいからだ」「ただしいかんがえ」の３点を身に付けさせるため、一人ひとりに寄り添った保育を展開。これからの社会を生き抜くために必要な「生きる力の基礎」の育成を目指している。

　当日は、自由活動を公開。園庭では、２歳児のごっこ遊びや、５歳児が宝探しゲームに取り組む姿を紹介した。園内では、１、２歳児がひな祭りの貼り絵で遊んだり、３、４、５歳児がままごとや折り紙、こま回し、トランプ、自由製作する「つくルーム」での糸でんわ作りで遊んだりする様子を説明した。

　園児たちの興味・関心に寄り添ったコーナーを設けることで、子どもたち同士がルールを決めて活動するとともに、上級生の行動を下級生が間近で接することで「自分たちもやってみたい」という意欲や好奇心を育む工夫や教師の関わりを紹介した。

　グループ協議後の全体会では、参加者から「子のやりたいことの思いを実現させる場のつくり方が参考になった」「遊ぶ場をなるべく制限せずに設定する環境構成が素晴らしい」「自分たちでルールを作りながら遊ぶ姿は、小学校１年生でも取り入れることができる」などの意見が上がった。

　このあと、平野学長が助言。公開保育を視察し「狭い園庭を上手に活用している」「子どもたちにとって興味・関心が生まれるような環境構成の工夫を感じた」などと述べた。

　お店ごっこをしていた５歳児が２歳児を客として招く行動や、３歳児がこま回しで丸谷園長に勝つと５歳児が一緒に喜び合う姿に言及し「年長児を見ると、その園の教育力が見えてくる。まさに“こんな子を育てたい”という姿を見ることができた」とたたえた。

　その上で、同園が取り組む①子の居場所づくり②日々の振り返りの時間の設け方③一人ひとりのポートフォリオの作成―の３点を列挙。「ポートフォリオでは、子の良いところやできるようになったことを示している。時系列で何ができるようになったかを見取ることができ、保護者との信頼関係構築や幼小の円滑な連携につながるのでは」と期待した。

(道・道教委 2023-03-08付)