探究チャレンジ・北海道で発表　見えない障がい理解して　札幌東高　北岡さんと國井さん

（学校 2023-03-28付）

手作りのポスターを挟んで北岡さん（左）と國井さん

　“目に見えない障がい”への理解を！―札幌東高校（藤井一志校長）２年生の北岡煌大さんと國井翔太さんは、１１日に開かれた探究チャレンジ・北海道で、自らの障がいをテーマにした探究学習の成果を発表した。吃音や色覚多様性に対して正しく理解できる環境整備の必要性を訴え「障がいのある人たちを取り巻く環境が優しいものになれば」と望んだ。

　同校は、２年生総合的な探究の時間において、各自の興味・関心に基づくテーマを設定し、個人探究学習に取り組んでいる。

　北岡さんと國井さんは、それぞれ難発型吃音、色覚多様性を抱えている。これまでの生活において、日直でのあいさつや日々の買い物、板書での色の使い分け、体育館のラインの色の判別などに困難を感じてきたという。

　テーマ設定に当たって、法制度の整備などで障がいのある人に対する差別解消に向けた動きが進む一方、自らの障がい種別に対する認知度の低さに着目。これまでの困難や、起こり得る“意図しない差別”をなくすための方策を、学内でのアンケートや文献調査を踏まえて考察した。

　２人は、障がいに対する当事者と家族以外の認知度の低さとともに、発症者に対する正しい接し方への理解不足が大きな課題と指摘。体験型イベント実施や道徳の題材で取り上げるなど、正確な情報を共有する環境を整えることで「“目に見えない障がい”の存在を周知する必要がある」と訴えた。

　北岡さんは、これまで自身の障がいを明かしたことがなかったという。「探究活動を通して、友人らに自分の個性の一つと捉えてもらうことができた」と振り返った。現在、科学部に所属しており「探究に必要なプロセスを知ることができた。他の教科の学習にもつなげていきたい」と意欲を見せた。

　國井さんは「（自らの障がいを理解してもらうことで）周囲の支えが増えた」ことを実感する。将来の進路に医療系を志望していることに触れ「障がいのある人たちに関わっていきたい」と話した。

　偏見や差別をなくすためのキーワードとして、北岡さんは、サイレンス（静かに）、オブザベーション（観察）、アンダースタンディング（理解）、リスニング（聴く）の頭文字を取った「ＳＯＵＬ」を、國井さんはファインド（気付き）、アダプト（適応）、ノープロブレム（間違いはない）から「ＦＡＮ」を掲げた。「“目に見えない障がい”のある人への接し方を理解してもらい、障がいのある人たちを取り巻く環境がより優しいものになれば」と声をそろえた。

(学校 2023-03-28付)