教員基礎講座　１期生修了　理想の教師　胸に抱いて　実習体験が意欲向上に効果大

（道・道教委 2023-03-29付）

理想の教員について議論する生徒たち

　全国的に教員の確保が喫緊の課題となる中、高校生を対象に道教委と道教育大学が開始した道高校「みらいの教員育成プログラム」。初年度は札幌北陵高校の生徒３１人が計１１回の講座に参加し、実体験をもとに教職の魅力ややりがいについて理解を深めた。全ての講座を視察した同校の吉野光校長は「回数を重ねるごとに教員の志望意欲と必要な資質の向上に努力を続け、多くの内容を身に付けた」と変化を実感。いつの日か受講者の多くが、教壇に立つ日が来ることに期待を寄せる。

　道教委と道教育大は４年度から高大連携事業として「みらいの教員育成プログラム」を開始。高校生を対象に教員を育成するための教育プログラムを提供し、教員になるための素養や意識を高めることがねらいだ。

　初年度は道央圏において札幌北陵高が拠点校として指定を受け、同校の２年生３１人がプログラムに参加。昨年１０月のオリエンテーションを皮切りに道教育大附属小学校における学校実習、教育学・教育心理学・教科教育学に関する講義など計１１回のプログラムに参加した。

　アンケート結果では子ども一人ひとりと触れ合う現場実習を高く評価し、参加者の９割以上が「とても満足」と回答。「子どもとのコミュニケーション方法を振り返ることができてとても充実した機会になった」「想像の２０倍は疲れたが本当に楽しく、先生になりたいと一層思えるようになった」などの感想が寄せられ、子どもの主体性や自主性を育てる教員の工夫など様々な学びや発見を肌で感じた。

　２月２３日の最後の授業では「あなたはどんな教師になりたいか」をテーマにグループワークを実施。授業力、情熱、共感性など様々な観点から理想の教員の姿について語り合い「子どもを一番に考え、生徒や先生、参加者全員が主役になれる先生が理想」「友達のように親しむことができ、適度な距離感と共感的理解を持つ先生が良い」「授業の理解度を最終的に同水準まで引き上げる授業ができたら」など活発に意見を交わした。

　道教委・道教育大は、５年度から拠点校を札幌北陵高をはじめ、旭川北高校（道北圏）、釧路江南高校（道東圏）の３校に拡充。それぞれ道教育大旭川校や道教育大釧路校と連携して事業を展開する予定だ。

　教員育成を目的とする高校生向けのプログラムは一部の県で先行事例があるが全国的には数少ない。現在のプログラムは小学校、中学校、高校、特別支援学校、養護教諭を希望する生徒が混在していることから、今後は生徒のニーズを踏まえたプログラムの在り方を検討する必要があるとしている。

(道・道教委 2023-03-29付)