取組の成果など共有 岩見沢市教育研究所 事業報告会(市町村 2023-03-30付)
【岩見沢発】岩見沢市立教育研究所(砂川昌之所長)は2月中旬、オンラインで事業報告会、対面形式で運営委員会を開催した。研究所職員と学校管理職ら約50人が参加。今後の事業推進に向けて、各種事業の取組や研究成果について共通理解を図った。
市が目指す「子どもが輝く岩見沢の教育づくり」に向けて展開してきた各種事業の取組を報告し、今後の事業推進に生かすことが目的。
はじめに市教委の吉永洋教育長があいさつ。「4つの部会が1年間で精力的に研究を行ってきたことで市の教育が支えられている。今後も教育研究で、各学校に、より一層貢献していただければ」と期待を寄せた。
続いて砂川所長が、ことし1年間の各学校の協力に謝意を示した上で、本年度の活動概要を報告。子どもと創る授業づくりの実現に向けて、授業改善や教員養成に取り組んできたことを説明した。「各校での実践の際に教職員との交流も深めることができ、成果を感じやすかった」と話した。
事業報告では、子どもと創る授業づくり研究部会と道徳科研究部会、外国語研究部会、情報教育研究部会の4つの部会が研究内容と成果を報告した。
子どもと創る授業づくり部会は「自ら問いをもち多様な考えにふれながら自らの学びを広げ深める岩見沢の子どもの育成」をテーマに、教師主導型授業から子ども主体の授業への変革を進めてきた。
教師の「学ばせたいこと」を子どもの「学びたいこと」に変えていく指導方法を模索し、子どもの発言やつぶやきを、教師がつないだり、問い返したりすることで、子どもが思考し続けられる授業を目指した。
子どもの声を生かす教師の対策として、清園中学校区3校が子どもの発言をシーンごとに分析し、それらに対応した教師の発話例を表にまとめたことを紹介。
内訳の一つをみると「子どもの発言に対しほかの見方もある」シーンで、教師が子どもに多面的な視点を持たせたいと考えた時に「違う考えの人いる?違う解き方の人いる?」といった発話例を記載。複数の場面別にまとめたものを共有した。
清園中学校区を含めた研究主体校・連携校と交流し公開授業の指導案検討を行ったことで、目指す授業のイメージの共有と、より具体的な例示の提供が可能になった。生徒に対して行った4年度4月と10月アンケートを比較すると、子どもの主体的発言の増加や授業への意欲の向上が成果として表れた。
道徳科部会では「思いやりや感謝、生命の尊さなどについて自分との関わりで捉え、多様な感じ方や考えに触れながら、自らを高めようとする岩見沢の子どもの育成」を目指して授業研究に取り組んできたことを紹介した。
成果について、授業のねらいに合った短い動画の視聴は新たな視点に気付くことに効果的だったと説明。
特に低学年には、子どもたち自身が映っている学校行事の動画を制作して見せることで、日常を振り返るきっかけとなり、有効性があると報告した。課題としては、子どもたちに考えさせたいことや交流させたいこと、教師の発問に対する子どもたちの反応をしっかりと想定する必要があることを説明した。
外国語部会では「外国語や外国の文化への関心を高め主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする岩見沢の子どもの育成」がテーマ。市の、相手意識や目的意識を持った「Try&Error」の指導方針を踏まえて実践した。4年度6月と11月に行ったアンケートで成果を確認。「関心のある事柄について、簡単な語句や文を用いて即興で伝え合うことができるか」の項目で「できる・まあまあできる」が14%の伸びを見せた。課題については、正確に書くことが挙げられたため、ICT活用をしながら書く場面の工夫をするとした。
情報教育部会では「ICTを活用し自らの学びを広げ深める岩見沢の子ども育成」「ICTの活用による授業改革ができる教員の養成」に向けて取り組んだ。成果として、ロイロノートやグーグルスライドでのまとめ学習の実践によって、児童生徒のICTスキルが年々向上していることを説明した。
今後の展望としては、教員のICT活用指導力の向上とより効果的なICT機器の利用方法を考える必要性を紹介した。
このあとの運営委員会では、5年度の運営方針の柱と事業概要を報告。新社会副読本の活用や各学校への研究支援、研究・研修のICT化などに取り組んでいくことを説明した。
(市町村 2023-03-30付)
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