鹿追高 学校魅力化へ校務分掌再編等 働き方改革等担当各課を追加 専門人材が海外志望生徒支援
(学校 2023-04-04付)

鹿追高校①俵谷校長と吉村
俵谷校長とコーディネーターの吉村氏

 【帯広発】鹿追高校(俵谷俊彦校長)は5年度、校務分掌の再編成やコーディネーター等の専門的人材の登用によって、さらなる学校の魅力化を図る。校務分掌には働き方改革や論述力育成などの担当課を追加し、持続可能な課題解決に向けた体制を整備。コーディネーター、英語科特任講師の参入によって、海外留学・進学を目指す生徒への確かなアプローチを進める。

 同校はこれまで「総務・教務・生徒指導・進路指導」の4部内に、国際交流課や探究推進課、部・クラブ改革課など5課を設け、教員が主体となって各課題の解決に向けた思索を練ってきた。また、各部長らによるコアチーム「持続可能な鹿高づくり運営委員会」によって新たな課題を見いだし、学校の魅力化に向けて取り組んでいる。

 5年度から、教務部内に「働き方改革課」、進路指導部内に「公設塾・スタサプ課」「論述力育成課」を追加し、4部8課体制で校務を推進する。いずれも、これまでコアチームを中心に対応してきた課題を、より詳細に思案するための分掌編成だ。

 働き方改革課では、打ち合わせ等のDX、業務平準化の提案などに取り組む。働き方改革に関して常時思索し、素早く対応できる担当課を置くことで、超過勤務状況の把握・改善など、改革に向けた継続的な取組を目指す。

 公設塾・スタサプ課は、オンライン公設塾との連携やオンライン学習サービス・スタディサプリの活用強化などを推進。スタディサプリを自学自習の基礎と捉え、生徒の活用状況を把握することできめ細かなアプローチにつなげる。

 論述力育成課では、探究活動で明確化した課題「自分の考えを論理的に表現する力」を生徒が身に付けられるような指導体制づくりに励む。読書の習慣付けによるインプット、各教科での発表場面における意識的なアウトプットなど、教科等横断的な指導の在り方を考える。

 俵谷校長は「優秀な教員たちが創意工夫を凝らして活躍するために、分掌編成によって交通整理することが大切」「前例踏襲できない案件にも対応できる、持続可能な組織づくりを進めたい」と話した。

◆コーディネーター探究活動サポート

 鹿追町は5年度予算に、鹿追高校みらい留学サポート補助276万円、鹿追高校みらい留学コーディネーター委託480万円を計上。地域に一つの高校で行われる全国募集を、町を挙げて応援している。

 コーディネーターには、東海大学国際文化学部教授、ハワイ東海インターナショナルカレッジ学長を歴任した吉村卓也氏が就任。元新聞記者・カメラマンの経験を生かし、現在は(株)メディアグレス代表として編集業等に携わっている。

 俵谷校長が他校勤務時に高大連携事業のため吉村氏と出会い、20年来の付き合い。吉村氏は3年前に1度、同校の出前授業で講師を務めた。

 吉村氏は、オンライン公設塾など、ハンデを感じさせない教育環境の整備が行き届いてることを高く評価。「遠方地では都心部と同じ土俵に立たない独自の教育施策が必要。鹿追町にはそれがある」と語る。

 今後、ホームページやSNS等による全国募集の広報、関係各所との連携・調整の業務に携わるほか、個人のネットワークを活用して「鹿追創生プロジェクト」における生徒の探究活動を支援していく予定。また、海外留学および進学に関心を持つ生徒へのアプローチも進める。

 俵谷校長は「海外進学を視野に入れる生徒が増える中、吉村さんの知見とネットワークで彼らの夢を実現してほしい」と話した。

◆英語科特任講師が1年生に特別授業

 帯広市内の英語学校「ジョイ・イングリッシュ・アカデミー」の浦島久氏が、同校英語科の特任講師を担う。19日を初回に、1年生英語科の特別授業を年間17回実施する見通し。

 浦島氏は、ジョイ・イングリッシュ・アカデミー学院長、小樽商科大学特認教授を務め、英語学習に関する著作41冊を手がけるなど、道内の英語教育に尽力。鹿追高校では約30年前、カナダ短期留学始動時の通訳や連絡・調整にも携わった。昨年、同校から要請を受け、教員への勉強会、生徒への音読レッスンを実施した。

 19日から始まる特別授業は、生徒たちの英語力育成に向けてボランティアで請け負う。カナダ短期留学を軸に英語教育の充実を図る鹿追高をたたえ、「生徒の夢の実現に役立てばうれしい」と話す。

 俵谷校長は「浦島先生の指導法は、英語教員憧れのメソッド。将来に向けた英語資格検定への挑戦も含め、多くの指導を賜りたい」と期待を寄せた。

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鹿追高校②浦島氏
英語科特任講師の浦島氏

(学校 2023-04-04付)

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