【リポート】新時代のルールつくろう 生徒会主体 規範意識醸成に効果 北斗市立中学校 校則見直し活発化(道・道教委 2023-05-26付)
教職員に見直し案をプレゼンテーションする上磯中の生徒たち
服装や髪型など学校生活に欠かせないルールとなっている校則。北斗市内の中学校では、生徒会を中心に時代に合った校則の見直しを進めている。生徒が多様な意見を尊重したり、試行期間を経て検証改善を図ったりして決めた新しいルールが、学校や自分自身を守ろうとする意識醸成につながっている。
「制服や髪色の指定がない高校に憧れた。中学校は髪の長さの指定があったけれど、なぜ必要なのか分からなかった」。函館市内の高校に通う生徒が中学校生活を振り返ったひと言だ。渡島管内には私服通学を認める高校が複数あり、自由な校風を進路選択のきっかけとする生徒も多い。
校則には服装や頭髪、校内外の生活に関する事項など様々な事柄を規定するものがあるが、法的根拠はない。文部科学省が昨年12月に改訂した生徒指導提要では、校則の内容を学校ホームページ等で公開することや、それぞれの決まりの意義を理解し、制定した背景も示すよう求めている。見直しに当たっては、児童会や生徒会で議論する機会を設けるなど、児童生徒が参画することが適切とした。
◆納得できる校則へ
上磯中学校(浦田慎一校長)では、授業中の防寒対策に関する生徒の意見を機に、4年度から学級活動での話し合いを開始した。「美しく整える」ルールのもと、生徒会が中心となって見直したい校則を調査。「体育の授業がある日はジャージ登校を認めてほしい」という意見や、翌日の授業に備えて教科書の一部を学校内に置く“置き勉”を要望する声をもとに議論を重ね、教職員に認めてもらった。
生徒会担当の伊與田裕紀教諭は「生徒が学校について考える良い機会だった」と振り返る。「生徒自身が納得する校則を一生懸命に考えていた」。
コロナ禍をきっかけに見直しが進んだ学校もある。浜分中学校(大友貴代校長)は3年度、更衣室が密になるため、体育授業日に限り学校規定のジャージ登校を認めていた。
生徒からは「感染対策が緩和されたあとも継続してほしい」「暑さ対策でジャージにシャツを入れなくても良いのでは」という意見が上がったそう。
生徒会中心で進めた2ヵ月間の試行期間で得た振り返りから「式典の日は制服着用を忘れない」「マット運動など種目によっては上着をジャージに入れること」などを前提に見直しを認めることとした。
◆ツーブロックや長髪 賛否分かれる
一方、頭髪に関しては、両校とも議論のさなかにある。上磯中は2週間の試行期間を設け、男子の「ツーブロック」、女子の「お団子」などの髪型を検討。「ツーブロックは襟足が短く爽やかに見えると思う」「お団子は後席の人の邪魔にならなければ良いのでは」などの意見が大半を占めるという。
浜分中は、男子のツーブロックが賛成多数だったものの「禁止の高校もあることが分かった」「過度な刈り上げをする人もいる」など一定数の反対が上がり、据え置きに。肩以上の長髪を結ばなくて良いとした試行では「授業中にくしで髪を触る人が多くなった」「掃除の際、抜け毛の量が気になる」などのデメリットも確認。少数意見を受け入れながら主体的に検証改善を図っている。
浦田校長は、入学者選抜への対応に不安を吐露しつつも「社会に出て良識を判断できる力を生徒たちに身に付けさせることも教育の一つ」と力を込める。大友校長は「やりがいを持って見直しを進める生徒の姿勢が見られ、学校が良い方向に変わっている」と肯定的に捉えている。
◆生徒の意見尊重し 信頼し合う環境を
北斗市教委は多様性を尊重する観点で6年度から市立中学校の制服を統一する方針を示しており、各校では制服の改定と併せて校則の見直しを進めている。上磯中では美術部が制服ボタンのデザイン案を検討するなど、生徒の意見を反映する場が増えつつある。
市校長会で校則の見直し推進を投げかけた永田裕教育長は「生徒が考えたルールの方が“守ろう”という意識が芽生えやすい。生徒の意見を尊重し、教職員と信頼し合える関係を構築することで、時代に合ったより良い学校づくりにつながるのでは」と期待する。
(道・道教委 2023-05-26付)
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