函館市教委 本年度の小学校水泳　バス確保困難で中止に　心得等の学習機会設定を通知

（道・道教委 2023-06-09付）

　【函館発】函館市教委は本年度の小学校における水泳学習を中止する方針を固めた。プールを設置していない学校が、設置している学校への移動手段としていたバスの台数を十分に確保できないことを要因としている。各校には、学習指導要領を踏まえ、水泳運動を行わない場合においても心得等を座学で学習する機会を設けるよう通知した。市教委の担当者は「感染対策緩和による観光需要の加速とバス業界のドライバー不足による社会的背景が大きい」と話している。

　市立小学校３９校のうち、プールを設置している小学校は約半数の１９校。市教委はプールを有する小学校を拠点校とし、近隣学校で共同利用する拠点校方式を採用し、児童の移動手段としてバスを提供してきた。

　過去３年間は新型コロナウイルス感染症流行の影響で水泳学習が中止となっていたが、本年度は感染症法上の位置付けが５類に移行。再開に向けた検討を進めてきた一方、移動手段となるバスの台数が確保できず、１校当たり年１回の水泳学習の実施が厳しいと判断した。

　また、プール学習のため新たに水泳用水着を購入しなければならない家庭や学校間格差などを配慮する観点も踏まえている。

　小学校学習指導要領では、水泳授業の取り扱いについて「適切な水泳場の確保が困難な場合には、水遊びおよび水泳運動の指導について取り扱わないことができるが、心得等は必ず取り上げること」と記載されていることを踏まえ、市教委は各校に対し、座学などを中心に適切に指導するよう求めた。

　バスの台数が確保できなかった要因について、市教委の担当者は、観光需要の高まりに伴う、バスやタクシー業界のドライバー不足を挙げる。

　市が２日に発表した４年度の観光客数は４５４万７０００人でコロナ禍前の８割まで回復。観光客によるタクシーやバスの需要が増えている一方、コロナ禍で退職したドライバーの数が多いため、対応できないといった社会的背景もあるという。

　次年度以降については「こうした状況を鑑みて早期に検討を進めたい」と説明。

　市内の中学校ではプールの設置校数が少ないため、水泳学習を行っている学校は現時点でない。

(道・道教委 2023-06-09付)