道議会質疑 予算特別委(4年12月12日)
(道議会 2023-06-14付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼松本将門委員(民主・道民連合)

▼桐木茂雄委員(自民党・道民会議)

【答弁者】

▼倉本博史教育長

▼池野敦教育部長

▼唐川智幸学校教育監

▼堀本厚学校教育局長

▼中澤美明指導担当局長

▼伊賀治康教職員局長

▼山城宏一高校教育課長

▼和田宏一教職員育成課長

▼山下幹雄教職員課長

=役職等は当時=

◆高校における就職指導

Q松本委員 道内公立高校の全日制・定時制課程における就職率と就職者数について、過去3年程度の実績を伺う。

 また、就職率に関しては、過去からの推移を併せて示していただきたい。

A山城高校教育課長 高校生の就職率等について。道内の公立高校における全日制課程を卒業した生徒の就職に関しては、令和元年度では、就職者数は7260人、就職率は98・8%、2年度では6302人で97・8%、3年度では5739人で98・5%。定時制課程に関しては、元年度では293人で84・4%、2年度は307人で84・1%、3年度は278人で75・5%となっている。

 また、道内公立高校の全日制課程と定時制課程を合わせた就職率は、20年前の平成13年では80・9%、10年前の平成23年度では88・5%、令和3年度は97・1%となっている。

Q松本委員 道立高校などにおける就職指導は、具体的にどのように対応しているのか伺う。

 道教委のホームページなどをみると、平成22年11月に作成された就職指導実践事例集などが出てきたが、事例集を含めて、取扱要綱のようなものがあって統一的に対応しているのか、それとも学校ごとに独自に対応しているのか伺う。

A山城高校教育課長 道立高校等における就職指導について。道教委では、社会的・職業的自立に向けて必要となる資質・能力を育むキャリア教育を推進しており、生徒の就職活動に関し、推薦および選考開始日等については、国の通知に基づくほか、道労働局や経済関係団体等で構成する道高校就職問題検討会議で、関係機関が連携しながら申し合わせ等を作成し、各学校でそれぞれの事項を順守し、均等な応募・選考機会の確保に努めている。

 また、道教委では、進路指導の充実と雇用対策の円滑な推進を目的に、毎年度、高校の進路指導担当教員等を対象とした研修を開催するほか、各学校では、進路指導主事が中心となり、進路指導部の教員と学級担任が協力して、就職試験に向けた模擬面接や作文指導などを行うとともに、生徒のキャリア形成と自己実現を図るため、学んだことを振り返り、新たな学習等につなげるための活動を記録するキャリア・パスポートの作成や、職業に関する調べ学習や進路ガイダンス、企業等におけるインターンシップを実施するなど、生徒一人ひとりの進路希望に応じたきめ細かな指導を行っている。

Q松本委員 ホームページをみると、就職指導の改善に関する研究実施要項も出てきた。この研究実施要項に基づく取組は、具体的にどのようなものなのか、そして、いつから始まったのか伺う。

A山城高校教育課長 就職指導の改善に関する研究について。道教委では、生徒の社会的・職業的自立に必要な資質・能力の育成を目的として、就職指導の改善に関する研究を平成14年度から実施してきており、現在、6校の実践研究校を指定し、それぞれの研究校においては、就職支援教員が中心となり、早期離職の改善のための就職後の生徒に対する支援、就職未内定のまま卒業した生徒に対する支援、進路希望を設定できずに卒業した生徒に対する支援のほか、令和3年度から、ICTを活用して就職試験や相談会等に臨む生徒の支援を加え、他の高校の就職指導に参考となる取組を進めている。

Q松本委員 研究課題の項目を聞くと、在校生に対する就職指導というよりも、卒業生向けのアフターフォローの位置付けが大きいように思う。就職後3年以内に離職する早期離職の改善のための支援とは、具体的にどのような対応を行ってきたのか伺う。

A山城高校教育課長 早期離職の改善のための支援について。実践研究校においては、企業や卒業生などからの聞き取りによる離職理由の分析や離職を思いとどまった理由、仕事を続けるに当たり後押しとなったことを取りまとめて周知するなど、早期離職の防止に関わる効果的な取組を成果として取りまとめ、全道の公立高校に対し情報提供を行っている。

Q松本委員 3年以内の早期離職状況に関して、あらゆる業界団体、道庁の職員の状況としても危惧しているところであり、極めて関心のある課題だと思う。就職指導の改善に関する研究実施要項に基づき調査研究した内容は、どのように取りまとめて活用しているのか伺う。

A山城高校教育課長 調査研究の内容について。道教委では、調査研究成果として、各実践研究校が作成した研究報告書を取りまとめるとともに、早期離職の防止も含めた効果的な事例集を作成し、公立高校に情報提供を行っている。

 また、生徒の就職対策を踏まえたキャリア教育の充実を図るため、各教育局に配置しているキャリアプランニングスーパーバイザーを活用し、ハローワークからの求人情報の収集、就職を希望する生徒への進路相談、生徒や保護者を対象とした進路説明会を開催するとともに、高校卒業後であっても、学校を通じて卒業生へ求人情報を提供し、それぞれの希望や適性に合った就職指導を行うなど、早期離職の改善のための支援を行っている。

Q松本委員 基本的なこととして、北海道人材確保対策推進本部に道教委はどのように関わってきているのかを伺うとともに、建設部が事務局を担っている北海道建設産業担い手確保・育成推進協議会には、道教委は明確に構成員になっているが、この協議会と同様に構成員となっているものがあるのか伺う。

A山城高校教育課長 北海道人材確保対策推進本部での取組等について。道の関係部局との連携によって、人材確保対策を効果的に推進することを目的に設置された北海道人材確保対策推進本部には、道教委では教育部長が構成員として参画し、生徒が地域の産業や仕事を体験する高校生就業体験活動や、本道産業の人材育成を目指す専門高校フューチャープロジェクトなど、人材確保対策に資する道教委の事業について、情報提供を行っている。

 このほか、道教委が構成員となっている組織としては、保健福祉部が事務局となり、介護現場における人材の確保と離職防止を目的とした北海道介護人材確保対策推進協議会や、経済部が事務局となり、若年無業者の職業的自立に向けた支援などを目的とした北海道地域若者サポートステーション連絡会議などがある。

Q松本委員 現状、このような協議会などの場や学生に対して、道教委として、それぞれどのように対応しているのか伺う。

A堀本学校教育局長 協議会等での対応について。道教委が参画する協議会で生徒の進路希望や就職者の状況の推移のほか、進路指導やキャリア教育の充実に向けた取組について情報を提供するなど、関係機関との連携を図っている。

 進路指導を担当する教員等を対象とした会議等では、大学や民間事業者から講師を招き、キャリア教育の実践や就職支援の取組などの事例について協議等を行い、進路指導上の課題について理解を深める取組を行っている。

 また、生徒に対しては、全道の公立高校等に配布している「進路だより」を通じて、道労働局が公表している産業別の求人・求職状況や、厚生労働省による職業情報提供サイトについて情報提供を行うとともに、キャリアプランニングスーパーバイザーが学校を訪問し、生徒の適性に応じたキャリアカウンセリングを実施するなど、生徒が希望する進路を実現できるよう取り組んでいる。

Q松本委員 今後、より的確に就職指導を行うために、地域や学校ごとで対応に差が生じないように、平成22年に作成された事例集を改訂するなど、道教委として、より具体的・積極的な対応を検討すべきと思うが、見解を伺う。

A唐川学校教育監 今後の対応について。道教委では、厳しい経済・雇用情勢を背景に、高校生の就職環境が厳しかった平成20年代の初めに、効果的な就職指導の取組をまとめた就職指導実践事例集を作成したが、その後、就職状況が改善傾向にあることから、近年は、就職指導の改善に関する研究をもとに、早期離職の防止などに関わる事例集を作成している。

 今後も、就職指導の改善に関する実践研究校における研究の成果をまとめた事例集を毎年度作成、配布するなどして、全道の公立高校に効果的な事例を周知するとともに、全道の指導主事やキャリアプランニングスーパーバイザーを対象とした研修会を実施し、学校に対する就職支援策について研究、協議を行うなど、効果的な就職指導の事例を広く普及することなどを通じて、各学校における生徒一人ひとりの希望を尊重した進路指導の一層の充実が図られるよう取り組む。

◆教員の確保

Q桐木委員 道教委と札幌市教委の教員採用選考検査の結果が公表された。

 道教委の直近3年間の教員採用選考検査の受検者数、登録者数、受検倍率、辞退者の推移について伺う。

A山下教職員課長 教員採用選考検査の実施状況等について。札幌市を除く道の直近3年間の状況は、小学校、中学校、高校および特別支援学校を合わせて、2年度は受検者数が3226人、登録者数が1099人、受検倍率が2・9倍、辞退者数が257人、3年度は、受検者数が2926人、登録者数が1092人、受検倍率が2・7倍、辞退者数が238人、4年度は、受検者数が2708人、登録者数が1300人、受検倍率が2・1倍、辞退者数は、12月1日現在、240人となっている。

Q桐木委員 受検者数は減少傾向にあるが、この要因についてはどのように捉えているのか。

A山下教職員課長 受検者減少の要因について。全国的な人材不足に伴い、学生の進路選択が多様になっていることや、広域な本道における転居を伴う人事異動が負担として受け止められていること、また、授業に加え、部活動や生徒指導業務が多岐にわたることなどから、志望に慎重さが見られることなどが、受検者減少の大きな要因と考えている。

Q桐木委員 これだけ多くの採用辞退者が発生している理由について伺う。

 そして、辞退者を減らすために、今後どのような取組を行っていくのかも併せて伺う。

A山下教職員課長 辞退の理由などについて。登録者から道教委に提出されている意向調査では、他県の教員登録や道内の他の自治体の職員登録などが辞退の理由とされている。

 道教委では、辞退者を減らす取組として、登録者に先生としての仕事の流れや採用前までに準備しておくことなどを伝えるオンデマンド形式の採用前ガイダンスを実施しているほか、4年度からは新たに登録者が採用までに知りたいことについて伺い、関連する情報を提供するとともに、病気や介護等の特別な事情がある登録者に対する勤務地等の配慮を検討するほか、登録者に対し、教育長からのメッセージ文の送付や、ズームによって先輩教員による激励の言葉等の配信を実施するなど、採用後の業務への不安感の軽減を図る取組を行うとしている。

Q桐木委員 特に、4年度は30人の小学校教員を初めて追加募集するなど、50人に上る追加選考検査を12月4日に実施している。

 こうした状況となった要因と、次年度の4月の教員配置に影響が出ないのか伺う。

A山下教職員課長 追加選考検査の実施について。追加選考検査はこれまでも、高校の水産や看護、福祉などの教科について実施してきたが、4年度から、小学校において、登録通知後、予定を上回る辞退者の連絡があったため、年度初めの児童生徒の転校に伴う急な学級増や登録者の急な辞退に備えるため実施したところであり、4月に欠員が生じることのないよう、新採用者を含めた人事配置を行っていく。

Q桐木委員 9月29日に開催された全国都道府県・指定都市教育委員会教育長会議において、文部科学大臣から各都道府県に対して、教員採用選考検査の在り方などについて説明があったと聞いている。その内容について伺う。

A伊賀教職員局長 文科大臣からの説明について。9月29日にオンラインで開催された全国都道府県・指定都市教育委員会教育長会議において、大臣から、前年度実施の教員採用試験で小学校の採用倍率が過去最低であったことから、教員採用試験の改善のため、様々な方策を検討し、積極的に取り組む必要があることや、教員志願者の一部が民間企業や他の公務員に流れているといった指摘があるなど、各業種で採用が多様化している中、試験の早期化、複数回実施や通年にわたる採用等に向けた具体的な動きを加速すべく、文科省と教育委員会等の関係団体からなる検討協議会を立ち上げることなどが説明された。

Q桐木委員 道教委はこれまで、電子申請による出願書類の簡素化や道外会場の新設など、受検者確保のため、受検環境整備等に取り組んできたと承知している。今後、一層の受検者確保に向け、どのように取り組んでいくのか伺う。

A池野教育部長 受検者確保に向けた今後の取組について。優秀な教員の確保は、学校教育の質の維持向上を図る上で大変重要であり、より多くの方が教員採用選考検査を受検しやすい環境を整備するほか、教員を志願する方々を増やすため、教職の魅力を効果的に発信していくことが必要と考えている。

 道教委では、優秀な教員の確保に向けて、教職大学院修了者に対する選考検査の一部免除、第2次検査の札幌市内会場増など、選考検査の見直しの検討、登録者が抱える疑問や不安を払拭し、辞退者を減らすための登録者向けガイダンスの実施、国の選考検査の早期化、複数回実施の検討を踏まえた、一層受検しやすい環境づくりに取り組むとともに、市町村教委、高校や教員養成大学などと連携しながら、早い段階から教員の魅力を伝える場を設けるほか、働き方改革の取組を加速させ、その成果を広く発信するなど、様々な取組を総合的に推進し、全庁一丸となって教員の確保に全力を挙げて取り組んでいく。

D桐木委員 教員の魅力、働きがい、正当な評価をされるなど、基本的な部分がこれからは大切になっていく時代だと思っている。人間的な魅力の発掘もしっかりできるように努めていただきたい。

Q桐木委員 高校生や大学生の段階から、早期に教職の魅力を効果的に発信していく必要がある。

 道教委では、3年度から高校生を対象に教員養成セミナーを実施していると承知しているが、今後、高校生や大学生を対象とした取組がより一層重要になっていくと思っている。

 道教委が実施している高校生対象の教員養成セミナーの目的について伺う。

A和田教職員育成課長 教員養成セミナーの目的について。教員の確保が喫緊の課題となっている本道では、高校生の段階から、早期に教職への関心を高める取組を積極的に進め、進路について考える機会を設けることが重要である。

 道教委では、これからの学校教育を担う教職人材を継続的、安定的に確保するため、教職の魅力等について発信し、高校生が、教職のやりがいを実感するとともに、教員免許を取得できる大学への進路選択に関心を高めることを目的に、道教育大学との共催によって本セミナーをオンラインで実施している。

Q桐木委員 セミナーの実施内容と高校生の参加状況について伺う。

A和田教職員育成課長 セミナーの内容および参加状況について。セミナーでは、教職の魅力について具体的なイメージを持つことができるよう、現職教員が、子どもの成長を実感した時の喜びや卒業生を送り出す時の感動など、教職のやりがいを伝えるとともに、大学生が進学に向けた学習のこつや大学での学び方などについて説明するほか、教育実習等を踏まえた教職の仕事や大学生活について、高校生が教員や大学生に直接質問するグループ交流などを実施している。

 3年度は、夏季休業中と冬季休業中に1回ずつ、計2回開催し、延べ49校から540人の高校生が参加しており、4年度は、参加者や学校等のニーズを踏まえ、開催回数を2回から5回に拡充するとともに、高校生が参加しやすい平日の放課後に実施することで、10月までの3回のセミナーの参加者が延べ71校から644人となっている。

Q桐木委員 セミナーに参加した高校生の感想や受け止めなどはどのようになっているのか伺う。

A和田教職員育成課長 高校生の受け止めについて。3年度のアンケートでは、多くの参加者から、教師になりたいという気持ちが高まった、大学での学生生活のイメージが湧いた、実際に先生役になって勉強を教える体験もしてみたいなどの感想があり、回答したほぼ全ての高校生から、セミナーの内容や実施方法について肯定的な回答があった。

 道教委としては、多くの高校生が、教員や大学生との交流を通して、教職のやりがいや魅力を実感し、教職を志望する気持ちを高めているものと考えている。

Q桐木委員 アンケートの回答では肯定的なものが多かったとあったが、否定的なものに対してもしっかりと耳を傾けていくことが、事業の成功の一助になると思っている。より一層のセミナーの充実に向けて、今後どのように取り組んでいく考えなのか伺う。

A中澤指導担当局長 セミナーの充実について。セミナーに参加する高校生が、大学での生活や教員として働くことについて、具体的なイメージを持ち、教職への進路選択に関心を高めることができるよう、受講者のアンケート結果等を踏まえ、大学や現職教員等の協力を得ながら、大学講義の受講体験や、高校生が算数などの教科の模擬指導を行う演習など、体験型のプログラムの充実を図るほか、参加者をより拡充するための周知・啓発や、ICTを効果的に活用した実施形態の工夫改善を行うなど、魅力的なプログラムをより多くの高校生に提供していく。

Q桐木委員 中教審が4年10月に公表した「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会の中間まとめの中で、このセミナーのように、大学入学前の早期から教職志望を高める取組のほか、将来の学校教育を担うにふさわしい人材を育成することが重要であると示されている。

 道教委として、今後の教員確保に向けどのように取り組んでいくのか伺う。

A倉本教育長 今後の取組について。教育活動の質を維持向上させるためには、学校教育の直接の担い手である教員を継続的に確保することは極めて重要である。

 道教委では、道教育大と元年度に連携協定を締結して、高校生を対象に教職の魅力を伝える教員養成セミナーを開催するとともに、4年度から、一部の高校では、希望する生徒を対象に教職について学ぶ教員基礎コースを設置するほか、大学生を対象に、本道で教職に就く気持ちを高めるため、へき地小規模校での草の根教育実習や、道教委職員による大学での出前講座を行っている。

 また、道立高校と市町村教委が連携して、小・中学校で教員業務を疑似体験するインターンシップを行うなど、教職員についての理解を深める取組を進めている。

 今後は、こうしたそれぞれの取組の接続を強化し、連続性・継続性を重視した一体的なプログラムとして再構成して周知することはもとより、高校生の段階で抱いた教職を志望する意欲を大学卒業まで維持し、一層高めるなどして、教職を志望する学生の安定的な確保に努めていく。

D桐木委員 学生にとって、教員に会って人生が変わるということも多いと思う。優秀な人材を確保できる取組を一つ一つ丁寧に進めていくことが、最終的に良い結果に結び付くものだと思っている。しっかりと取り組んでいただくことをお願いする。

◆定年引上げ

Q桐木委員 3年6月の地方公務員法の一部改正を受けて、5年度から公務員の定年年齢が段階的に65歳まで引き上げられることとなり、本定例会においても条例が提案された。

 定年が引き上げられたことによって、学校現場の特殊性を踏まえて、現時点で制度についてどのように検討しているのか伺う。

A山下教職員課長 定年引き上げについて。平均寿命の伸長や少子・高齢化の進展を踏まえ、豊富な知識や技術、経験等を持つ高齢期の職員に最大限活躍してもらうことが重要であり、学校現場においては、現在、教員志願者や教頭昇任候補者が減少しており、定年引き上げ後において、こうした状況に留意しながら取り組む必要があると考えている。

 道教委として、4年5月に、国の制度に準拠した基本的な考え方について、学校職員に対して周知するとともに、定年引き上げの対象となる職員の60歳以後の勤務の希望等を把握したところであり、将来の学校運営に支障が生じないよう制度の検討を進めている。

Q桐木委員 管理職員は、60歳となる年度末をもって役職定年となり、管理職から主幹教諭や教諭などに降任することが原則となっている。

 道教委では、学校職員の役職定年について、どのような運用を行う考えなのか、現在の検討状況について伺う。

A山下教職員課長 役職定年について。定年を65歳に引き上げる中で、若手・中堅職員の昇進機会を確保し、組織全体としての活力を維持するため、管理職および管理職に準ずる職に就く職員を原則60歳で非管理職に異動させることとなっており、道内の学校においては、校長、副校長、教頭および主幹教諭について、教諭に降任する取り扱いを検討している。

 一方で、教頭の確保が課題となっており、役職定年制の例外措置として、役職定年後も管理職として任用する特例任用の導入について、併せて検討を進めている。

Q桐木委員 定年引き上げ後において、60歳に達した日以後に退職した学校職員について、短時間勤務の職に採用できると定められている。道教委ではどのように運用していくのか伺う。

A山下教職員課長 定年前再任用短時間勤務制について。改正された地方公務員法では、健康上、人生設計上の理由等によって、多様な働き方を可能とすることへのニーズが高まると考えられることから、60歳以降の職員の希望に基づき、短時間勤務の職に再任用することができることとなっている。

 学校においても、本人の意向を踏まえ、従前の勤務成績や勤務意欲、健康状態等によって選考の上、任用期間を希望する年度の4月1日から常勤職員の定年退職日に当たる日までとし、給与などの勤務条件は、現行の再任用短時間勤務職員と同様の仕組みによって、一般職員として再任用していく考えである。

Q桐木委員 学校職員に対する情報提供や意思確認をどのように行うのか伺う。

A伊賀教職員局長 職員への情報提供などについて。今般の定年引き上げに当たっては、60歳を超えた後の給与水準がそれまでの7割に設定されるほか、役職定年制の導入や定年前に短時間勤務での再任用を可能とするなど、職員の勤務環境が変化する。

 道教委としては、今後、対象職員に対し分かりやすい資料を作成するなど、新たな制度に関する情報提供を行うとともに、毎年度、職員が59歳となる年度において、60歳以後の勤務の意思について、書面で丁寧に確認していく。

D桐木委員 変化するということは、非常に戸惑いや不安を覚えるものである。しっかりと情報提供すると同時に、丁寧に説明した中で、互いが納得するような形で対応するようにお願いする。

Q桐木委員 段階的な定年引き上げによって65歳定年が完成するまでは、1年置きに定年退職者が出ない年度が生ずることになり、新規採用者が継続的に採用できなくなることが懸念される。

 道教委は、新規採用者の計画的な確保や高齢期職員の任用、各学校のバランスの取れた年齢構成など、定年引き上げに伴う教職員人事について、今後どのように取り組むのか伺う。

A倉本教育長 教職員の安定的な確保について。組織活力を維持し、将来にわたって質の高い教育を行っていくため、安定的な採用を継続する必要がある一方で、60歳以降の教職員がこれまで培った豊富な知識・経験等を生かして活躍いただくことや、つぎの世代にその知識・経験等を継承していくことが大切と考えている。

 道教委としては、教職員の年齢構成への影響や受検機会の確保にも留意しながら、学校運営に支障が生じないよう、毎年度の新規採用者数の平準化に取り組むとともに、年齢等、職員構成のバランスに留意しながら、職員の適性や能力を最大限に発揮できる適材適所の人事配置に努めていく。

(道議会 2023-06-14付)

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