道議会質疑 決算特別委(4年11月10日)(道議会 2023-04-14付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼木葉淳委員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼池野敦教育部長
▼伊賀治康教職員局長
▼荒川裕美教育政策課長
▼和田宏一教職員育成課長
▼山下幹雄教職員課長
▼中嶋英樹働き方改革担当課長
=役職等は当時=
◆働き方改革
Q木葉委員 3年度の教職員の欠員状況について、全道で最大何人の欠員が生じていたのか、欠員の多かった校種、管内について伺う。また、最長でどの程度の期間、欠員が生じたのか伺う。
A山下教職員課長 3年度の欠員の状況について。月単位で欠員が最も多かったのは、小学校では、上川管内で10人、中学校では、日高管内とオホーツク管内で4人であり、全道では、2月で小・中学校を合わせて102人だった。
また、欠員が続いた期間が最も長かったのは、後志管内と上川管内の小学校各1校ずつで、8ヵ月間の欠員となった。
Q木葉委員 2月といえば、学校では、1年の学習のまとめや、つぎの学年に向けての取組をしていく重要な時期。欠員の発生理由とその対応について伺う。
また、最長で8ヵ月間の欠員があったということだが、欠員時の子どもたちへの指導について、どのように行われているのか伺う。
A山下教職員課長 欠員の理由などについて。教職員の欠員は、児童生徒の転校に伴う急な学級増や、自己都合による退職、病気休職、産休、育休などの発生によって補充が必要となり、新たな教職員を確保できないことなどから生じている。
長期欠員時の対応について。期限付教員の確保に向けて、ホームページ等で募集を行うとともに、欠員の間、校内体制の中で様々な教職員が授業や校務分掌を代わりに担当するなどして対応している。
Q木葉委員 月最大102人もの欠員があったということに対して、道教委としてどのような認識を持っているのか、また、改善策について伺う。
A伊賀教職員局長 欠員に関する認識などについて。教職員の欠員は、学校現場において、教員1人当たりの業務量が増し、長時間勤務や子どもと向き合う時間の減少を招くほか、校内体制の中で様々な教職員が授業や校務分掌を代わりに担当することになるなど、健全な学校経営に影響を及ぼすものと考えており、欠員の解消は、喫緊の課題であると認識している。
道教委では、欠員の解消に向けて、ハローワークやホームページ、ユーチューブ、民間情報誌やウェブサイトなどを活用して、教員の募集に取り組んでいるほか、本道の魅力や現職教員の声などを伝えるポスターやパンフレットを作成し、全国の教員養成大学等に配布するなどの取組を行っている。
Q木葉委員 3年度、年度途中に退職した方と、年度末に早期退職をした方の状況について、校種、年代および管内別の状況について伺う。
A山下教職員課長 中途退職者などの状況について。中途退職の状況は、小学校では、20代12人、30代8人、40代4人、50代3人の計27人で、管内で最も多かったのは上川管内と十勝管内で5人。中学校では、20代5人、30代4人、40代3人、50代1人の計13人で、管内で最も多かったのは石狩管内で5人だった。
また、早期退職の状況は、小学校では、20代57人、30代45人、40代32人、50代92人の計226人で、管内で最も多かったのは上川管内で33人。中学校では、20代44人、30代33人、40代24人、50代45人の計146人で、管内で最も多かったのは渡島管内で16人。義務教育学校では、20代2人、40代3人、50代2人の計7人で、管内で最も多かったのは根室管内で4人だった。
Q木葉委員 早期退職の主な理由について伺う。
A山下教職員課長 早期退職の主な理由について。退職者にその理由を確認することはしていないが、病気による健康状況、結婚、他県などへの採用、地方公共団体の特別職への就任などによって退職する事例があるものと承知している。
Q木葉委員 こうした状況について、道教委としてどのような認識を持ち、また、改善策についてどのように考えているのか伺う。
A伊賀教職員局長 中途退職および早期退職について。年度途中の退職や年度末の早期退職は、欠員の原因の一つであり、学校現場において、教員1人当たりの業務量が増し、長時間勤務や子どもと向き合う時間の減少を招くほか、校内体制の中で様々な教職員が授業や校務分掌を代わりに担当することになるなど、健全な学校経営に影響を及ぼすものと考えている。
道教委では、教職員が生き生きとやりがいを持って働くことができるよう、働き方改革に一層取り組み、職場環境の整備に努めるほか、地域の特色を生かした小・中学校の教育活動を支援するなど、市町村教委と連携しながら、道内の公立学校が魅力ある職場となるよう取り組んでいく。
P木葉委員 可能な範囲で理由を把握して、勤務継続が可能となるような方策を検討していく必要があるのではないか。
また、やりがいを持って働くことができる働き方改革とのことだが、やはり、やりがいだけではどうにもならない状況というものもあるのかと思う。業務のスクラップ・アンド・ビルドなしに、働き方改革は進まないということを指摘する。
Q木葉委員 昨年1年間の年度内の休職者数について、校種、職種、管内別の状況と併せて、休職者の主な理由について伺う。
A山下教職員課長 3年度の病気休職者の状況について。小学校では、校長1人、教頭5人、教諭130人、養護教諭1人、栄養教諭3人、事務職員5人の計145人。管内別で最も多かったのは十勝管内で、教諭23人、事務職員2人の計25人だった。
中学校では、校長2人、教頭4人、教諭70人、養護教諭2人、栄養教諭1人、事務職員8人の計87人。管内別で最も多かったのは上川管内で、校長1人、教頭1人、教諭13人の計15人だった。
病気休職者の主な理由について。病気休職のうち、精神疾患によるものが最も多く、このほか、悪性新生物、脳血管疾患などの傷病がある。
Q木葉委員 道教委としてどのような認識を持っているのか、また、改善策という点について伺う。
A山下教職員課長 病気休職の状況に対する認識などについて。教職員が心身の健康を保持し、明るく活力に満ちた職場環境をつくることは、質の高い教育活動を実施する上で、また、教職員の確保の観点からも大切なことと考えている。
道教委としては、引き続き、働き方改革に向けた取組を進めるとともに、教職員の健康管理対策の充実を図っていく。
Q木葉委員 若年層の実態はどのようになっているのか。特に着任5年未満の初任段階での休職・退職者の状況について伺うとともに、今後の対策について見解を求める。
A伊賀教職員局長 初任段階の休職等の状況について。採用後5年未満の勤務期間の職員の状況について集計していないが、大学卒業後5年未満が多い20代職員については、病気休職者が、小学校、中学校とも18人であり、その後、退職に至った者は、小学校で12人、中学校で5人となっており、病気休職者数は年々増加傾向にあり、健康管理対策の一層の推進が必要と考えている。
このため、道教委では、生き生きとやりがいを持って働くことができるよう、引き続き、働き方改革に向けた取組を進め、職場環境の整備に努めていく。
P木葉委員 特に小学校では、病気休職者18人のうち、3分の2に当たる12人が退職している。中学校と比較すると非常に多いが、そこに何か働き方改革につながるヒントがあるのではないかと。なぜ退職したのか、分析が必要だ。
Q木葉委員 3年度、初任段階教員研修費として1億2000万円余りが計上されているが、その内容と執行状況について伺う。
A和田教職員育成課長 初任段階教員研修費について。初任段階教員研修は、法令に基づくもので、道では、1年次から5年次までの公立学校の教員を対象としており、学校経営や生徒指導、教科指導などに関する講義や演習に係る研修を行っているもので、主に、旅費や会場費、講師への謝金のほか、初任者の研修受講に伴う代替教員配置に係る予算を計上している。
3年度の執行においては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、多くの研修で集合形式の研修実施を見合わせたことなどから、旅費などの執行が大幅に減少し、予算額約1億2700万円に対し、約2500万円程度の執行となっている。
Q木葉委員 道教委として、対面での集合研修についてどのように考えているのか、対策はどのように行ったのか伺う。
A和田教職員育成課長 研修の実施等について。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、集合形式を見合わせた研修については、遠隔会議システムを活用し、教科指導や学級経営などの基本的な考え方や、いじめの問題、保護者対応などについて、参加者が交流しながら研修を深められるよう、具体的な事例に基づく小グループでの協議や演習を実施するとともに、日常業務を推進する上での悩みや工夫等を交流し、ネットワークを広げていく機会を確保するため、参加者間の交流の場なども設けた。
研修実施後のアンケート調査では、8割以上の初任者から、資質向上に役立ったなど、肯定的な回答があり、一定の研修成果があったものと認識している。
今後も、感染状況を見極めながら、集合形式や遠隔システムの活用を適切に判断し、安全・安心な研修を実施していく。
P木葉委員 特に小学校であれば、採用になった時から担任を持つ場合がほとんどである。悩みを抱えたときに同僚に相談することもあるが、やはり、採用同期との絆は、非常に深いものがあったと思う。その絆が築けないことは、大変な思いをしているのではないかと考える。対面での研修が非常に重要だと思うので、その重要性について指摘させていただく。
Q木葉委員 欠員をなくするためには、何よりも教職を志して教育実習を受けた方々が教職に就く状況が必要だと考える。
そこで、非常に効果がある取組だと言われている草の根教育実習の予算および実施状況、執行状況について伺う。また、効果と課題についてどのような認識を持っているのか、伺う。
A和田教職員育成課長 草の根教育実習について。本実習は、大学生が小規模校での教育活動を通して、教員の魅力ややりがいを発見し、教員を目指す気持ちを一層高めることができるよう、道教委が学生に実習受け入れ校をあっせんするもので、大学、市町村、学校の協力を得て、2年度からゼロ予算で実施している。
4年度は、14の大学、延べ153人の学生が参加し、95校の受け入れ校で、授業体験や子どもや教員との交流、地域行事への参加などの実習を行っている。
参加者からは、子どもと触れ合い、教員のやりがいに気付いた、地域との関わりを通して北海道の先生になる意欲が高まったなどの声が寄せられており、教職の魅力啓発に一定の効果があったと認識している。
今後も、本実習の一層の啓発を図るとともに、より効果的な実習となるよう、参加者や受け入れ校等の意見等を踏まえながら、実施時期や期間、活動内容等の改善を図っていく。
P木葉委員 これは非常に良い取組だ。北海道で教職に就く若者を増やしていくことのできる取組だと率直に思う。
そうであれば、先ほどゼロ予算ということであったが、チラシを拝見し「実習に関わる旅費とか滞在費は、参加する学生で負担してください」というようなことが書いてあるが、こういった取組にこそ、予算措置をしていく必要があるのではないか。
仮に学校の教員にならなかったとしても、北海道の良さを学生時代に感じて、将来の就職につながっていくのではないのか。次年度の予算措置の必要性を強く指摘させていただく。
Q木葉委員 全国的な課題となっている教員不足解消に向け、文部科学省は、教員免許がなくても知識や経験がある社会人を採用できる制度を積極的に活用するよう、全国に通知を出したと承知している。
文科省が3年に行った全国調査では、4月の始業日の時点で、公立の小・中学校や高校などで合わせて2558人の教員不足が明らかになっている。
通知では、教員免許がなくても、知識や経験のある社会人を教員として採用できる特別免許状について、博士号を取得した人や国際コンクールなどで実績がある人などにも基準を緩和できるとした上で、積極的な制度の活用を促しているが、本通知に対する道教委の認識と課題について伺う。
A山下教職員課長 特別免許状について。文科省から4年4月20日付で発出された事務連絡で、特別免許状の積極的な活用について依頼があり、特別免許状は、教員免許状を持っていない社会人を教員として学校現場へ迎え入れることによって、学校教育の多様化への対応などといった効果が期待され、専門的な知識や経験を有する者を教員として任用することができる有効な制度と認識している。
道教委では、特別免許状の取得を前提として、社会人を教員として採用するための特別選考を平成19年度から実施しており、応募者が70人にとどまっていることが課題となっていることから、より多くの方が応募するよう、特別選考や特別免許状について、教員採用選考検査の募集の際などに分かりやすく周知していく。
Q木葉委員 教職員の欠員状況など早期退職について伺ったが、教職員の働き方がブラックであると言われる中で、そもそも教員養成系大学を出ても教職に就かない方が増えていると聞く。
その理由の一つに、教育実習の時に、休む間もなく働き続ける現場教職員の姿を見て、自分にはとてもできないと感じている方も少なくないと伺った。
教職員は休憩時間を確保できているのか、実態について伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 休憩時間の確保について。道教委が実施した3年7月1日現在の北海道アクション・プランに係る取組状況調査の結果では、業務が休憩時間にまで及ぶことが時々あった、または、頻繁にあったと回答した学校は、道立の高校および特別支援学校では11・7%、市町村立の小・中学校および高校で47・3%となっている。
道教委ではこれまで、各学校に対し、教員の適正な勤務管理の徹底について通知を発出して、効果的な休憩時間の付与方法について示すなどしてきており、今後も、適切な休憩時間の確保について、各種会議などを通じ各学校に指導していく。
P木葉委員 小・中学校の半数近くが、休憩時間に業務をしていることがあるという回答だ。やはり、こういった点は重く受け止め、学校に対する業務のスクラップ・アンド・ビルドを早急に進めていく必要があると考える。
Q木葉委員 小学校の現場からは、担任外教員の数が減って、病気になったときに休むことができないとか、欠員や、教頭が学級に入ることもあるが、そもそも担任外教員が減っているという声を非常に多く聞いている。
小学校における3年度の担任外教員の配置数と、10年前、20年前の状況について伺う。
A荒川教育政策課長 学級担任以外の教員数について。札幌市を除く公立小学校における各年度の5月1日現在の学級担任以外の教員数は、3年度は約2200人、10年前の平成24年度は約1960人、20年前の平成14年度は約1400人と、この20年で約60%増加しており、特別支援学級在籍児童数の増加に応じた配置数の加算などが考えられる。
P木葉委員 担任外教員が増えているということだが、では、なぜ現場から人手不足という声がこれほどまでに聞こえてくるのか。
そういった現場の声をぜひとも受け止めていただき、改善を図る方策を検討していただきたい。
Q木葉委員 小学校の高学年では専科加配が進んでいると伺った。持ち授業数を考えれば、大規模校が中心になるのかと思うが、3年度の教科別および主な管内の専科教員の配置状況について伺う。併せて、明らかとなった課題について伺う。
A荒川教育政策課長 専科指導のため加配している教員の配置状況について。札幌市を除く公立小学校において、3年度は、国語20人、算数13人、理科86人、体育40人、外国語80人の計239人であり、配置数が多い順に、上川総合振興局管内が33人、渡島が27人、十勝および空知が各24人となっている。
なお、課題としては、本道は広域分散型であり、複数校兼務となる場合などの地理的条件を踏まえた対応が必要であること、専科指導教科に係る中学校または高校の免許状保有者の確保が必要であることなどが挙げられる。
P木葉委員 専科加配教員も、複数校をかけ持ちしている場合は、非常に大変だと聞く。239人のうち、117人が複数校をかけ持ちしていると伺っているが、特に外国語の専科については、他教科の専科の持ち時間が15時間程度となっているのに対して、外国語は24時間となっており、持ち授業数も多い。
これでは、子どもたちと向き合って質の高い授業はなかなか難しい部分もあるのではないかと考える。改善の必要性を指摘する。
Q木葉委員 中学校教員からは、近年、免許外で指導を行わなければならない状況が増えてきたと伺った。
昨年1年間の免許外指導の実態についてどのように把握しているのか、教科および管内別の状況について伺う。また、免許外指導に対する道教委の認識について伺うとともに、改善策について答弁を求める。
また、複数免許取得については、大学での取組も重要と考える。大学でどういった取組が行われているのか、もし分かれば教えていただきたい。
A山下教職員課長 免許外教科担任について。札幌市を除く公立中学校における3年度の免許外教科担任の許可件数は、10教科で679件となっており、教科別では、家庭249件、技術239件、美術142件など、管内別では、オホーツク84件、釧路67件、空知・後志63件などとなっている。
道教委では、学校教育をより充実させるためには、専門の教科免許を有する教員が教科担任となって教科指導を行うことが望ましいと考えており、免許外教科担任の多い技術、家庭などの免許を新たに取得させる免許法認定講習を計画的に実施するとともに、人事異動による教員の適正配置や複数免許所有者の確保などによって、免許外教科担任の解消に向けて取り組んでいる。
なお、認定講習校から、大学としても技術、家庭の両免許状を持つようにと指導していると聞いている。
P木葉委員 免許外指導が679件。全道の中学校が560校ぐらいで、札幌を除いたら460校余りだと承知しているが、学校数より免許外で指導している数の方が多いというのは、すぐにでも改善しなければならないと考える。
Q木葉委員 文科省の白書では、学校における働き方改革は、特効薬のない総力戦であるため、国、教育委員会、学校のそれぞれの立場において、取組を着実に推進することを求めている。
第3回定例会予算特別委員会においても、道教委として、4年2月、各学校に対し、業務のスクラップ・アンド・ビルドを求める通知を出したと伺った。
また、道教委として調査業務の見直しを行ったということだが、3年度行った道教委自身のスクラップ・アンド・ビルドについて、調査業務の見直しがどの程度行われたのか、調査業務以外の業務のスクラップ・アンド・ビルドの具体的な内容と、それによってどの程度業務縮減が達成できたと認識しているのか伺う。
A伊賀教職員局長 道教委における取組について。3年度、道教委が学校を対象として行う調査153件について見直しをした結果、19件について廃止・統合、46件について調査項目の削減等の検討を行うこととし、4年度に実施する調査に反映させた。
また、調査の見直し以外の取組としては、高校入試に関わって、中学校が作成していた学習成績一覧表の提出を3年度に不要にしたことで、学校での書類作成・整理に係る一定程度の時間縮減につながったことが挙げられる。
今後とも、関係部署などで構成した、学校における働き方改革実現本部において、教員の時間外勤務等の縮減に向けた議論を進めるとともに、学校における働き方改革を進めるため、道教委職員一人ひとりが取り組むべき項目をまとめたチェックリストの配布、実施などを通じ、各部署において学校の負担軽減に配慮するよう取り組んでいく。
Q木葉委員 学校事務職員は、人手不足が深刻な学校現場においては、例えば、登校渋りの子が出た場合、校門まで迎えに行って、手をつないで周囲を散歩するなどして、気持ちを落ち着かせてから登校させるといった対応をしているのを、私もこれまで随分見てきた。様々な保護者対応の窓口となったりして、その役割は非常に大きいものがある。
道教委として、学校事務職員の時間外勤務をどのように捉えているのか伺う。
A池野教育部長 学校事務職員の時間外勤務について。事務職員は学校組織で唯一の総務、財務等に通じる専門職であり、教頭と共に校長を補佐することや、専門性を生かして校務運営に積極的に参加することが期待されている。
3年度の小・中学校事務職員の1ヵ月の平均の時間外勤務は、小学校で3・5時間、中学校で4・3時間となっており、道教委としては、各学校において、事務職員が、他の職員との適切な業務の連携、負担のもと、効果的・効率的に校務運営に参画できるよう、市町村教委と連携し、ICTの活用や学校徴収金の公会計化など、働き方改革に向けた取組を進めていく。
Q木葉委員 3年度からスクールロイヤーの取組が行われているが、定義および相談までの順序についてどのようになっているのか伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 スクールロイヤーについて。スクールロイヤーとは、学校現場における深刻な児童生徒間のトラブルや、外部からの威圧的な言動を伴う過剰な要求など、学校が抱える対応困難な諸課題に対し、子どもの最善の利益を念頭に置きながら、専門的知見に基づき、解決に向けて、学校への法的助言を行う弁護士であり、円滑な学校運営を支援するとともに、教職員の業務負担の軽減を図ることを目的としている。
相談手続きについては、道立学校は教育局経由で、市町村立学校は市町村教委および教育局を経由して申請書を提出し、本庁担当課において、事案ごとに担当弁護士を決定し、各学校が法務相談を受けることとしている。
Q木葉委員 現状、道内のスクールロイヤーは何人いるのか、また、3年度における道内でのスクールロイヤーの活用実績と、それに伴う費用および費用負担者について伺う。併せて、全体の予算額と執行状況について伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 スクールロイヤーの実績等について。道教委が委嘱しているスクールロイヤーの人数は、3年度は41人、4年度は40人となっており、3年度の相談件数は、事業開始の3年9月から4年3月までの間で10件となっている。
3年度、学校からの相談に要した費用は、スクールロイヤーへの謝金15万4000円であり、道教委において全額負担している。
なお、全体の予算額は253万8000円で、そのうち、相談費用を含め63万6760円を執行した。
Q木葉委員 スクールロイヤーの効果と課題について、道教委としてどのように受け止めているのか伺う。併せて、課題解決に向けた取組について伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 スクールロイヤーの効果等について。法務相談を活用した学校からは、弁護士に相談した上で対応することで、教職員が安心して校務に専念できるようになった、外部対応に必要な準備やその方法などが明らかになり、事前の打ち合わせ時間に縮減効果があった、学校の問題対応能力が向上したなどの意見をいただいているところであり、学校の課題解決と業務負担軽減につながっているものと考えている。
一方、どのような事案が相談対象になるのか分からないと感じている学校があるなど、一層の周知が課題であると考えており、道教委では、学校に対し活用を促す周知を定期的に行うとともに、学校の管理職員向けに法務研修会を開催するなどによって、気軽に利用できるよう制度の浸透に努めていく。
Q木葉委員 時間外在校等時間の縮減に向けた道教委の認識と、今後の対応について伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 スクールロイヤーに係る認識等について。法務相談を活用した学校からは、スクールロイヤーの助言をもとに、事前にしっかりと準備したことによって、保護者に説明する時間が短縮した、学校の方向性を定めるまでの時間や対応を検討する時間の縮減につながったなど、高い効果があったと聞いている。道教委では、時間縮減につながった事例を取りまとめ、各学校に周知することによって、活用を促し、時間外在校等時間の縮減を図っていく。
Q木葉委員 スクールロイヤーが子どもの意見を直接聞く場面が必要なのではないか。道教委の認識について伺う。
A伊賀教職員局長 子どもとの面談について。スクールロイヤーは、学校が抱える対応困難な諸課題に対し、子どもの最善の利益を念頭に置きながら、専門的知見に基づき、学校への法務相談を行うものである。
実際に子どもと直接会って面談を行うかどうかについては、面談に伴う子どもへの影響等を十分に配慮しながら、個別具体の事案ごとに検討が必要と考えているが、基本的には、子どもにとって最適な教育環境を整えるため、正確な状況を把握し、学校運営の改善を行うに当たって、学校がスクールロイヤーに法的助言を求める制度である。
(道議会 2023-04-14付)
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