道議会質疑 決算特別委(4年11月10日)(道議会 2023-04-12付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼檜垣尚子委員(自民党・道民会議)
【答弁者】
▼倉本博史教育長
▼池野敦教育部長
▼唐川智幸学校教育監
▼山本純史総務政策局長兼幼児教育推進局長
▼堀本厚学校教育局長兼ICT教育推進局長
▼中澤美明指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長
▼大河内秀敏法制・公務管理担当課長
▼田口範人幼児教育推進センター長
▼新居雅人義務教育課長
▼髙橋宏明学力向上推進課長兼ICT教育推進課長
▼今村隆之健康・体育課長
▼中嶋英樹働き方改革担当課長
=役職等は当時=
◆教職員の不祥事
Q檜垣委員 過去5年間の教職員の懲戒処分の状況について伺う。
A大河内法制・公務管理担当課長 懲戒処分の状況について。札幌市を除く公立学校教職員の懲戒処分件数は、平成29年度が104件、30年度が103件、令和元年度が78件、2年度が48件、3年度が66件で、5年間の合計が399件であり、種類別では、交通違反、交通事故が合わせて200件、体罰が64件、わいせつ行為が34件、信用失墜行為が30件、その他、個人情報紛失や職務義務違反、無届け欠勤などが71件となっている。
Q檜垣委員 教職員の飲酒運転事案については、飲酒運転根絶条例が平成27年度に施行された以降も度々発生している。過去5年間における教職員の飲酒運転による懲戒処分の状況について伺う。
A大河内法制・公務管理担当課長 教職員の飲酒運転事案について。札幌市を除く公立学校教職員の飲酒運転での懲戒処分件数は、平成29年度は0件、30年度は2件、令和元年度は1件、2年度は2件、3年度は3件で、過去5年間の合計は8件であり、処分量定は、全て停職である。
Q檜垣委員 教職員による児童生徒へのわいせつ事案は、絶対にあってはならないが、依然としてなくならない状況が続いており、被害を受けた児童生徒の心の傷や地域に与える影響などは計り知れない。
過去5年間の児童生徒に対するわいせつ事案の状況について伺う。
A大河内法制・公務管理担当課長 児童生徒に対するわいせつ事案について。札幌市を除く公立学校教職員によるわいせつ事案は、平成29年度が4件、30年度が4件、令和元年度が6件、2年度が0件、3年度が2件で、過去5年間の合計が16件であり、処分量定は、全て免職である。
児童生徒以外のわいせつ事案は、過去5年間の合計が18件となっている。
Q檜垣委員 このような深刻な状況にある中、3年4月、不祥事防止対策官が設置された。不祥事の防止に向けて、具体的にどのような取組を行ってきたのか、その後どのような対応を取ったのか伺う。
A大河内法制・公務管理担当課長 不祥事防止の取組について。道教委では、不祥事の背景、要因の分析や防止のため、3年4月、不祥事防止対策官を設置し、以後、大学関係者や弁護士などの有識者で構成する、学校における不祥事防止対策会議を開催する中で、教職員によるわいせつ事故の背景や要因の分析を示し、意見をいただいた。
会議の成果として、4年3月に、教職員による不祥事の未然防止に向けた対策を促進するため「学校におけるわいせつ事故防止方策」を作成し、この中で示した、自身の理解につながる分析資料の作成、ICTを活用した注意喚起、ストレス軽減に向けた実践的取組、児童生徒への接し方に関する指導など、7項目、17の取組を、札幌市を除く各市町村教委および公立学校に通知した。今後、毎年度実施する不祥事防止の取組に関する調査において、取組状況を確認していく。
Q檜垣委員 不祥事防止対策官が中心となって「学校におけるわいせつ事故防止方策」を作成したとのことだが、方策を取りまとめるに当たっては、その発生原因を分析しなければ、効果的な対策を検討することが難しいと考える。
これまで発生したわいせつ事案の発生原因等についてどのように分析を行ったのか、その結果を伺う。
A山本総務政策局長兼幼児教育推進局長 わいせつ事案の発生原因などについて。道教委では3年度、平成23年度から令和2年度までの10年間に発生した児童生徒に対するわいせつ事案について、事故者の供述等をもとに発生原因等を分析した。
この結果、主なものとして、児童生徒は、性行為等についての判断が未熟で、仮に同意があったとしても、教職員の立場で未熟な児童生徒を利用したことになること、被害者が被害と気が付かずに行われることで、後に児童生徒が深刻な影響を受けることの理解が不足していた、児童生徒から私的な相談を受けることによって、児童生徒との距離感を誤り、恋愛感情等が生まれ、性行為等に至った、児童生徒からの相談に対する組織的な対応など教職員個人の問題行動を抑止する仕組みや教職員をサポートする体制が不十分であったなどが挙げられた。
これを踏まえ、わいせつ行為等に係る校内研修資料を作成し、各学校において活用するよう指導してきたところである。
Q檜垣委員 教職員による不祥事は、学校や教職員に対する信頼の失墜につながる極めて重大な問題である。中でも、特に飲酒運転や児童生徒へのわいせつ事案などは、その悪質性から根絶に向けて最大限の努力をすることが必要と考える。
教職員による不祥事の防止に向け、道教委としては、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
A池野教育部長 今後の取組について。児童生徒を指導する立場にある教職員による不祥事は、事故を起こした一個人だけではなく、教職員や学校、教育全体の信頼を著しく損ない、学校運営にも大きな支障を与えることとなり、決してあってはならないものである。
このため、道教委では、教職員の不祥事防止対策として、各種会議や研修会などにおいて注意喚起や啓発などを行うほか、不祥事防止対策官を各種会議等に派遣し、直接、指導助言を行っているが、今後は、これらの取組に加え、道教委ホームページ内に開設した教職員不祥事根絶ポータルサイトに校内研修用の資料などを掲載し、各学校において必ず活用するよう働きかけることとしており、こうした取組を通じて、飲酒運転やわいせつ事案といった重大事案はもとより、懲戒処分に該当するようなあらゆる不祥事が発生することのないよう、コンプライアンスの確立や服務規律の厳正な保持に取り組んでいく。
D檜垣委員 人間の行動という面で、もしかすると過ちもあるかもしれない。ただ、人間の行動は、意思一つで防ぐことも止めることもできると考える。立場を考えた徹底した防止策を教育現場全体で共有するようにお願いする。
◆感染症対策
Q檜垣委員 道教委が、新型コロナウイルス感染症対策として3年度に行った環境衛生対策等の主な取組について伺う。
A今村健康・体育課長 環境衛生対策等の主な取組について。道教委では、各道立学校が新型コロナウイルス感染症対策等を徹底しながら、児童生徒の学習を保障することができるよう、国の学校保健特別対策事業費補助金を活用し、児童生徒や教職員等の感染症対策に必要な物品の購入等に要する経費として約5億9700万円を措置した。
具体的には、消毒液や非接触型体温計等の保健衛生用品、3密を回避し、換気を徹底するための備え付け式換気扇やサーキュレーター、CO2モニター等の購入、児童生徒が主に使用する水道の蛇口の自動水栓への交換、保健室等の衛生環境の向上に必要な空気清浄機等の購入などの措置を講じた。
市町村においては、道内179市町村のうち、172市町村がこの事業を活用し、感染症対策に必要な物品の購入等を行った。
Q檜垣委員 コロナ禍での教員の業務負担を軽減し、授業の充実を図るため、道内の公立学校を対象に、授業時における教員の補助などを行う学習指導員や、事務作業を補助するスクール・サポート・スタッフを配置している。
3年度の配置の状況と効果などについて伺う。また、4年度の配置状況についても併せて伺う。
A中嶋働き方改革担当課長 学習指導員配置事業等について。学習指導員およびスクール・サポート・スタッフについては、申請のあった全ての学校への配置を決定しており、学習指導員については、3年度、札幌市を除く小・中学校、高校、特別支援学校897校に対して、997人を配置している。
4年度は、9月末日現在、947校に対して1075人を配置したところであり、3年度に比べて78人増となっている。
また、スクール・サポート・スタッフについては、3年度、札幌市を除く小・中学校および特別支援学校924校に対して1082人を配置している。4年度は、9月末日現在、955校に対して1199人を配置したところであり、3年度に比べて117人増となっている。
配置した学校からは、課題の提出の確認やテストの採点をお願いすることで、担任が直接子どもと向き合う時間が増えた、消毒作業を担ってもらうことで教員の負担が実務面や心理面で大きく軽減されたといった報告を受けるなど、一定の負担軽減につながっていると考えている。
Q檜垣委員 コロナ禍における学びの機会の保障など、道立学校のICT化を支援するため、ICTの専門事業者がサポートするGIGAスクールサポーター配置事業を3年度に行ったが、その実績とどのような効果があったのか伺う。
また、各学校において、臨時休業等の非常時における端末の持ち帰りなどの学習の準備は、どのように進められているのか、道教委として、今後、各学校をどのように支援していくのか伺う。
A髙橋学力向上推進課長兼ICT教育推進課長 GIGAスクールサポーター配置事業等について。3年度に実施した本事業では、新型コロナウイルス感染症による臨時休業などに備えて、オンライン学習を進める上で必要となる教員のICT活用指導力の向上や校内研修の促進に向け、クラウドサービスの使用方法やウェブ会議システムの操作などに関するヘルプデスクを設置し、年間で552件の相談に対応した。
また、1人1台端末の整備が始められた2年度以降、各道立学校では、臨時休業等の非常時における端末の家庭への持ち帰りに向けて、持ち帰る際のルール作りや保護者への説明、児童生徒への使用方法や情報モラルの指導等に取り組んできており、3年度中に全ての学校においてオンライン学習を実施できる体制が整備されている。
道教委としては、これまでも、オンライン学習に関する研修動画や実践事例の作成、普及、ヘルプデスクの設置によって、学校のサポートを進めてきたところであり、引き続き、全ての学校が非常時においても児童生徒の学びを確実に継続できるよう支援していく。
Q檜垣委員 道内の新規感染者数は、依然として高い水準にあるが、直近1週間の学校の臨時休業の状況は、前の週と比べてどのようになっているのか伺う。
A今村健康・体育課長 学校の臨時休業の状況について。10月31日から11月6日までの1週間における道内公私立学校の臨時休業状況は、学校閉鎖が、小学校、中学校、高校、特別支援学校で25校、学年閉鎖が48校、学級閉鎖が227校となっており、前週と比較すると、学校閉鎖が4校減、学年閉鎖が6校増、学級閉鎖が3校増となっており、10月に入ってから増加傾向が見られる。
Q檜垣委員 子どもたちの学びを保障するためには、1人1台端末を活用したオンライン学習等の家庭における学習が大変重要になってくる。
しかしながら、10月、会計検査院から文部科学省に対し、家庭学習のための通信機器整備支援事業によって補助を受けて、低所得世帯へ貸与できるよう整備されたモバイルワイファイルーターについて、一部の自治体で利用が低調となっていることから、有効活用を図るよう意見の表示があった。
道内の市町村における整備台数や貸与台数はどのような状況になっているのか伺う。
A髙橋学力向上推進課長兼ICT教育推進課長 市町村の整備状況等について。4年5月に実施された会計検査院の調査では、2年度および3年度に、本事業を活用し、111市町村において2万1285台のモバイルワイファイルーターが整備されており、そのうち、家庭に貸与された台数は3846台、貸与率は18・1%となっている。
今後貸与する見込みの台数は1万6141台となっており、貸与率の見込みは75・8%となっている。
貸与率が低い要因として、市町村からは、家庭からの貸与希望が想定より少なかったこと、臨時休業等の非常時以外での家庭学習において端末の活用が進んでいないことなどが主な要因として挙げられている。
Q檜垣委員 今後、会計検査院から意見を受けた文科省の動向を踏まえ、道教委として、市町村に対してどのように有効活用するよう働きかけていくのか伺う。
A堀本学校教育局長兼ICT教育推進局長 今後の対応について。文科省では、会計検査院の調査結果を踏まえ、4年9月に、モバイルワイファイルーターの様々な場面での有効活用に関する通知が発出されたほか、現在、本事業を活用して機器を整備した全国の関係自治体を対象に、ルーターの活用方法に関する調査が行われている。
道教委としては、こうした国の動向等を踏まえながら、市町村教委に対して、臨時休業等の非常時におけるオンライン学習はもとより、日常の家庭学習での積極的な活用を促すとともに、社会科見学などの校外活動等において、ワイファイ環境が整っていない場所での活用方法など、通信機器の利活用について効果的な実践事例を収集し、情報提供するなどして、本事業で整備されたモバイルワイファイルーターの有効活用が一層図られるよう対応していく考えである。
Q檜垣委員 3年度は、修学旅行が未実施となった学校は何校あったのか、4年度のこれまでの実施状況を伺う。
また、修学旅行中に児童生徒や引率者の感染が判明した場合、どのように対応しているのか、併せて伺う。
A新居義務教育課長 修学旅行の実施状況等について。札幌市を除く全ての公立学校のうち、3年度、修学旅行を実施できなかった学校は、小・中・高・特で計40校あり、それらの学校のうち、9校は修学旅行のねらいを踏まえた代わりの行事を実施し、31校は4年度に延期している。
4年度の実施状況は、10月末時点で、小・中学校は約97%、公立高校は約65%、特別支援学校は約80%となっており、年度内に全ての学校が終了する予定である。
道教委では、市町村教委と学校に対して、修学旅行中に児童生徒や引率者の感染およびその可能性のある場合は、直ちに現地の保健所や医療機関などに相談し、その指示を踏まえながら対応するとともに、旅行業者等との連携のもと、宿泊施設や交通機関と情報を共有し、旅行の継続の可否等について判断するよう指導している。
Q檜垣委員 道教委では、感染防止対策の一環として、3年度から感染症対策改善セミナーを実施していると承知している。3年度および4年度のこれまでの実施内容や実施状況、その成果について伺う。
A中澤指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長 感染症対策改善セミナーについて。感染症対策改善セミナーは、専門家が学校を訪問して校舎内を巡回し、消毒液の設置場所や手洗いの実施状況の確認、換気扇の換気能力の測定などを行いながら、効果的な感染対策や学校施設の状況に応じた冬季の換気方法について助言を行うほか、近隣校の管理職や養護教諭等を対象として専門家からの講義を行い、感染症に強い学校の定着を図ることを目的に実施している取組である。
3年度は、小学校、中学校、高校および特別支援学校の計24校で実施しており、実施した学校からは、あすから取り組める対策強化の具体的なポイントが分かった、質疑応答の中で感染対策で疑問だったことが解消した、校舎に適した換気の方法を知ることで、必要以上に窓を開けることなく、効果的に換気することができるなどの声が寄せられたところである。
4年度においても、24校で実施または実施予定としており、今後も、本セミナーで得られた知見を広く周知し、学校における感染症対策に万全を期していく。
Q檜垣委員 予防接種法施行令等の一部改正によって、12歳未満の小児についても、新型コロナワクチンの接種を受ける努力義務が適用されるとともに、5歳以上、11歳以下の小児に対する新型コロナワクチンの3回目接種が実施されることとなった。
また、過日、生後6ヵ月以上、4歳以下の者に対するワクチン接種も実施されることとなった。
接種の効果や副反応等の情報について、保護者への丁寧な説明が必要だと考えるが、道教委の対応について伺う。
A唐川学校教育監 新型コロナワクチン接種への対応について。新型コロナワクチンの接種に当たっては、児童生徒および保護者が自ら接種の判断ができるよう、ワクチンの効果や副反応、接種に関する相談先の情報等について、十分周知されることが重要である。
このため、道教委では、保健福祉部と連携し、国や道が作成した啓発リーフレットを校内に掲示したり、保護者の訪れやすい場所に据え置いたりするなどして、児童生徒および保護者に周知するよう、各学校や市町村教委に通知している。
今後も、各学校に対して、新型コロナワクチンの接種を受ける、または受けないことによって、差別や偏見などが起きることがないよう指導に努め、児童生徒および保護者に対する丁寧な情報提供を行っていく考えである。
Q檜垣委員 道教委は、子どもたちの学びを保障する教育環境をしっかり確保するため、各市町村教委、各学校に対し、どのように支援を行っていくのか伺う。
A倉本教育長 今後の取組について。新型コロナウイルス感染症は、今なお警戒が必要な状況にある。こうした中でも、各学校における学びを保障していくためには、地域の感染状況を踏まえつつ、可能な限り教育活動を継続していくことが重要である。
このため、道教委としては、各学校が、校長のリーダーシップのもとで、養護教諭をはじめ、教職員が一丸となって感染対策と教育活動の両立に取り組むことができるよう、引き続き、国の衛生管理マニュアルを踏まえ、3つの密の回避など、基本的な感染対策の徹底について指導していく。
また、道立総合研究機構と連携し、冬期間における効果的な換気等について周知するほか、専門家と共に学校を訪問し、感染対策の助言を行う感染症対策セミナーを実施し、その成果を広く普及するとともに、臨時休業等の非常時には、ICT機器を効果的に活用した学びの推進を図るなどしながら、子どもたちの健やかな学びの保障に努めていく。
◆幼児教育
Q檜垣委員 道教委では、元年度に設置した幼児教育推進センターにおいて、保育者を対象とした様々な研修を実施している。3年度、センターで実施した研修の内容や参加者等の実施状況について、その成果と課題を併せて伺う。
A田口幼児教育推進センター長 研修の状況等について。幼児教育推進センターでは、保育者の資質・能力の向上を図るため、初任保育者、中堅保育者、施設長など、それぞれの職に応じた段階別研修や、多様化する諸課題を踏まえた5種類の研修を実施している。3年度は、延べ933施設、1411人が受講した。
また、研修の実施に当たっては、多忙な保育者が機会を確保することができるよう、オンライン化やオンデマンド教材の活用を進めている。研修参加者からは、移動時間が不要になり、保育に当たる時間を削ることなく参加できた、オンデマンド教材での研修によって都合のいい時間に学ぶことができたなどの声が寄せられるなど、一定の成果が見られた一方、参加した保育者の研修成果が園全体で共有されないケースもあることから、各園において保育者相互が研修内容を深め合う方策について、センターとしてさらに働きかける必要があると認識している。
Q檜垣委員 効果的な研修とするためには、園や保育者のニーズ、国の動向等を十分に踏まえて検討することが重要と考える。どのようにニーズを把握し、研修に反映したのか伺う。
A田口幼児教育推進センター長 ニーズの把握等について。日々の保育における様々な課題の改善に向け、園や保育者にとって効果的な研修を実施するためには、幼稚園や保育所、認定こども園などの施設種にかかわらず、ニーズを十分把握して研修に反映させることが必要と考えている。
このため、各研修講座において、受講者に対するアンケートを実施し、その内容を踏まえて、講座の持ち方や研修テーマを設定するなど、不断の改善を図ってきている。
また、毎年度実施している全ての幼児教育施設を対象とした調査結果をもとに、特別支援教育やアレルギー対応等の研修内容を新たに盛り込むなど、園や保育者の要望、意見を可能な限り研修に反映できるよう努めている。
Q檜垣委員 保育者の中でも、特に新任の保育者については、研鑚の場の確保が非常に重要であると考える。道教委では、こうした経験の浅い保育者のスキルアップに向け、具体的にどのような手だてを講じているのか伺う。
A田口幼児教育推進センター長 初任保育者への対応について。初任の保育者は、保育実践の方法や保護者との関わり方、園における人間関係の構築など、様々な場面において悩みや不安を持つケースがあることから、道教委では、初任保育者を対象とした研修を年3回実施するなど、計画的な育成に努めるほか、法定研修対象者以外の初任保育者も参加できるよう配慮している。
研修内容として、実際の保育の場面を想定した子どもへの適切な関わり方の協議、幼児の安全確保や体を動かす遊びの指導方法に関する講義などを設定するとともに、オンライン研修の中でグループ協議の場面を設け、初任保育者同士が日々の悩みを話し合ったり、先輩からのアドバイスを受けたりするなど、保育者としてキャリアをスタートした人材が、研修を通して、1年目の壁を乗り越え、着実に成長していけるよう、研修内容を工夫している。
Q檜垣委員 日常的に保育者のスキルアップを図るためには、センターによる研修だけではなく、各園においても園内研修が活発に行われることが大切と考える。
園内研修の充実に向け、どのように取り組んでいくのか伺う。
A山本総務政策局長兼幼児教育推進局長 園内研修の充実について。道教委では、園内研修の活性化を図るため、優れた取組を行っている園の保育や研修の様子を配信する取組や、園内研修用資料、オンデマンド教材の作成、施設内における研修リーダーの育成を進めるとともに、幼児教育施設の現職施設長や保育に関する専門的知識を有する大学教授等を幼児教育相談員として委嘱し、各園の実態を踏まえた助言を実施できる体制を整備してきた。
今後も、園や保育者の様々な要望を参考に、オンデマンド教材の拡充や、保育者が子どもに接する場面を題材とした写真を使用した新たな研修用教材の作成、幼児教育相談員のリモートによる助言の実施など、多様なニーズに対応した取組を引き続き推進し、園内研修がより一層充実するよう努めていく。
Q檜垣委員 質の高い幼児教育を行うためには、園の教育方針や特色ある教育活動などについて、保護者の理解を得ながら、保育者と保護者が連携協働して保育を進めることが重要と考える。
道教委では、保護者との連携に関して、どのように研修内容に位置付けているのか伺う。
A池野教育部長 保護者との連携などについて。家庭と幼児教育施設との間で相互理解を図ることは、子どもの家庭での生活と園における生活を関連付けながら保育を実践していくために欠かせないものであり、日ごろから保護者と連絡を取り、保育の内容などについて理解や協力を得ることが重要である。
そのため、道教委では、初任者を対象とした研修において、保護者との関係を深めるための協議や演習を実施するとともに、保護者との連携に関する効果的な事例を紹介するなどしている。今後も、こうした取組を通じて、園の保育方針や職員研修の実施について、幼児教育施設と保護者との共通認識を深めるなど、さらなる信頼関係が構築されるよう取り組んでいく。
Q檜垣委員 本道の幼児教育の質の向上に向け、多忙な保育者が自らの資質向上のために学びを深めることができるよう、研修の充実をより一層図ることが重要と考える。
道教委としては、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
A倉本教育長 今後の取組について。全ての幼児教育施設において質の高い教育を提供するためには、研修の充実等による保育者のスキルアップが極めて重要である。
このため、道教委では、幼児教育のさらなる振興に向け、平成30年度に作成した幼児教育振興基本方針において、保育者の資質向上を基本的な方向性の一つとして位置付け、幼児教育施設の保育者が参加しやすい研修体制を整備するとともに、研修内容の充実を図ってきている。
道教委として、引き続き、幼稚園や保育所などを実際に経営している施設長や、市町村長、大学教授、PTAなどで構成する道幼児教育推進協議会から意見を伺いながら、幼児教育施設のニーズを踏まえた資質向上の機会を設定するとともに、キャリアプランを念頭に置いた初任保育者の育成や園と保護者との相互理解の促進に向け、研修内容のさらなる充実と改善に努めていく。
(道議会 2023-04-12付)
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