道議会質疑 一般質問(4年12月2日)
(道議会 2023-05-24付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼船橋賢二議員(自民党・道民会議)

▼畠山みのり議員(民主・道民連合)

▼渕上綾子議員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼鈴木直道知事

▼京谷栄一保健福祉部長

▼鈴木一博保健福祉部少子高齢化対策監

▼倉本博史教育長

=役職等は当時=

◆ケアラー支援

Q船橋議員 道ケアラー支援条例では、ケアラー支援に関する施策を総合的かつ計画的に進めるため、推進計画を策定することとされている。

 これまでの実態調査や道民意向調査などからは、家族の世話をするのが当たり前との見方がある中、ケアラー・ヤングケアラー自身に自覚がないことや、支援を求めることをちゅうちょすること、どこに相談をしたらよいか分からず、悩みや負担を抱え込んでしまうこと、一方で、周囲の方々のケアラーという言葉自体の認知度は高まりつつあるものの、ケアラーに関する認識や支援の必要性への理解は十分ではないことなどの課題が明らかとなっている。

 道は、こうした課題を踏まえ、ケアラーであることを包み隠すことなく、いつでも助けを求めることができ、気軽に相談し合える環境が実現できるよう、どのような考え方で具体的な取組や目標値などを新たな推進計画に盛り込んでいく考えなのか伺う。

A鈴木保健福祉部少子高齢化対策監 ケアラー支援について。条例に掲げる、全てのケアラーとその家族が夢や希望を持って暮らすことのできる地域社会の実現を目指していく上で、現状では、道民の理解が十分とは言えないことや、周囲に悩みを相談できず、孤立しがちといった課題があることから、まずは、ケアラーを取り巻く実情や支援の必要性への理解を広げ、学校現場では教員等、地域では介護事業所の職員や民生委員、児童委員など、周囲が早期に気付き、協力して支援につなげていく身近な環境づくりを進めていくことが必要と認識している。

 このため、今般策定する第1期推進計画では、市町村や学校などの関係機関、道内に広く店舗等を展開している企業等と幅広く連携し、ケアラー支援の理解促進や、地域包括支援センターなど相談先の明確化、さらには、ケアラーに寄り添う人材の育成、子どもの権利と利益を尊重した相談しやすい環境づくり、交流拠点の整備促進などの具体的な取組を盛り込み、これらの実効性が確保されるよう、数値目標を設定することとしている。

 道としては今後、これらの取組の実施状況を推進管理するとともに、新たな課題への対応など必要な見直しを行いながら、着実に施策を推進し、ケアラーの方々が悩みや負担を抱えることなく、将来にわたって安心して暮らすことのできる地域づくりに取り組んでいく。

◆自殺予防

Q船橋議員 4年10月、国が公表した自殺対策白書によると、平成15年をピークに年々減少していた全国の自殺者数は、令和2年に前年より約900人増となり、3年も2万1007人とほぼ同水準だったが、女性の自殺者は2年連続で増加している。

 また、年齢階級別の自殺者数を新型コロナウイルス感染症の拡大前の5年平均と比較すると、男女とも60歳代は減少しているものの、19歳以下および20歳代で自殺者が増加している。

 本道においても、コロナ禍の拡大前に比べ、子どもや若者、女性の自殺者の増加傾向が見られる。

 第3回定例会におけるわが会派の代表質問の際、計画の見直しに当たっては、自殺の要因や死亡率が高い地域の特性を分析し、対策に反映するよう指摘しているが、道はどのように対応しているのか。また、次期自殺対策行動計画の素案が示されたが、これまでの取組の検証結果や本道の実情を踏まえ、今後どのような基本的な考えで計画を策定するのか伺う。

A鈴木知事 第4期北海道自殺対策行動計画について。道としては、現行の自殺対策が道内の自殺者総数の減少につながったものの、近年、子どもや若者、女性の自殺者数が増加しているなど、依然として多くの貴い命が失われているといった道自殺対策連絡会議における検証、評価などを踏まえ、何物にも代え難い大切な命を守ることにつながる自殺対策の重要性を道民に理解いただきながら、社会全体で取り組むことが重要と認識している。

 このため、次期計画では、社会全体の相互連携による包括的な支援などを基本方針とし、悩みを抱える方々を身近で見守り、必要な支援につなげるゲートキーパーの養成や、若者、女性などが相談しやすいSNSの活用などを重点施策として位置付けることとしたところ。

 また、自殺の要因とされる失業や疾病などの項目について、都道府県や、道内の2次医療圏別の比較分析を行っており、自殺との関連性が明らかとされた要因については、必要な対策を計画に盛り込んでいく考えである。

 今後、道としては、道議会での議論はもとより、パブリックコメントによる道民からの意見を幅広く伺い、一人でも多くの大切な命を守るため、実効性ある計画を策定していく。

◆いじめ問題

Q船橋議員 道においては、いじめ防止対策推進法に基づき、いじめ防止対策を総合的に進めるため、平成26年にいじめ防止基本方針を策定し、その後、30年に、国の基本方針の改定を踏まえ、一部改定され、現在に至っている。

 この間、各市町村や学校においては、道の基本方針を踏まえ、それぞれのいじめ防止基本方針を策定し、いじめの未然防止、早期発見、早期対応に向けた取組を進めているが、旭川市において発生したいじめ重大事態について、市教委が設置した第三者調査委員会の最終報告書では、市教委や学校の法制度の理解不足などが厳しく指摘されており、本道の他の教育委員会や学校においても、いじめ防止対策推進法に基づく適切ないじめ対応が徹底されていない可能性があることを強い危機感を持って認識したところでもある。

 平成26年の地教行法の改正によって、総合教育会議を通じ、市町村長がいじめの重大事態等を協議、調整できるようになっているが、法改正の経緯や背景などを踏まえ、道の基本方針を検討する必要があると考える。

 道教委は、いじめ問題への対応についてどのような課題があると認識し、いじめ防止基本方針を改定していこうとしているのか伺う。

A倉本教育長 いじめ問題への対応について。いじめは、未来ある子どもたちの命や心を深く傷つける深刻な問題であり、学校、家庭、地域、行政等が連携、協力し、社会全体でいじめ問題を克服していくためには、本道の現状や課題、社会情勢の変化を的確に捉え、いじめ防止基本方針を見直し、必要な取組を進めることが重要である。

 道教委としては、本道において、全ての学校が法に基づいて設置をするいじめ対策組織によるいじめの認知および早期対応や、長期化、深刻化した事案への対応、道教委と市町村教委との連携協力体制などに課題があると考えている。

 基本方針の改定に当たっては、いじめ問題審議会や道民の意見を伺うとともに、議会での議論を踏まえ、道関係部局と連携をし、いじめ防止対策推進法におけるいじめの定義に基づくいじめの認知の徹底、関係法令に基づく学校、教育委員会における被害児童生徒に寄り添った対応の徹底、市町村長と市町村教委の連携強化に向けた総合教育会議の効果的な活用などの観点から基本方針を見直し、学校と設置者の一層の連携と迅速かつ組織的な対応による事案の長期化、深刻化の防止の徹底を図り、いじめ問題に一層危機感を持って、本道の子どもたちの命と心を守る取組を進めていく。

P船橋議員 特に、子どもについては、いじめなどが原因となって重大事態につながる事例も見られますので、学校など教育関係者との連携が必要不可欠である。

 子どもの命を守るためにも、道と道教委が一層連携を強化し、子どもが自殺に至ることのない社会の実現に全力で取り組むべきであり、この点を強く指摘させていただく。

◆建設産業振興

Q船橋議員 道では、建設産業の持続的な発展に向け、全庁を挙げて計画的な支援を実施するため、平成30年度から、北海道建設産業支援プラン2018に基づき、各般の施策に取り組んでいる。

 少子・高齢化や人口減少の影響などで、人材確保に悩む業界は少なくない。特に建設産業の根幹を支えるのは、技術や技能を有する優秀な人材であり、次期計画の検討に当たっては、こうした点に十分留意し、働きやすい職場環境の整備や処遇の改善など、人材確保に結び付く諸施策に重点を置く必要がある。

 道は、今後どのような観点を重視し、今後の建設産業振興施策の検討を進めていくのか伺う。

A鈴木知事 建設産業振興施策について。本道の建設産業は、就業者の方々の高齢化や若年者の入職が進まないなど、依然として厳しい状況が続いており、地域の安全・安心や、経済、雇用などを支える建設産業の方々が担う重要な役割を十分に果たせなくなることが懸念される。

 このため、道では、関係団体の意見を伺いながら、現行プランの評価、検証を行うとともに、道建設業審議会において議論をいただき、充実強化が必要な施策について検討するなど、プランの見直しを進めてきた。関係団体の皆様からは、社会的役割、魅力のさらなる発信や、長時間労働の是正を求める声のほか、審議会からは、デジタルトランスフォーメーションによる建設産業の変革は、若者を引きつけるチャンスであるなどの意見をいただいた。

 また、先般、関係団体から、地域における課題などについて、私が直接、話を伺い、担い手不足に対する強い危機感を感じたところ。

 道としては、新たなプランにおいては担い手の確保育成を早急に解決すべき重点課題と位置付け、週休2日の導入促進などによる建設現場の働き方改革、ICTに精通した若手技術者育成への支援などによる生産性の向上、高校生との意見交換や就業体験の実施などによる建設産業への関心や理解を深める魅力の発信を3つの柱としているところ。将来の担い手となる若者や子どもたちにとって、本道の建設産業の未来が魅力あるものとなるよう、教育機関や関係団体等との連携を図りながら、さらに検討を進めていく。

P船橋議員 雇用のミスマッチ解消や、地域の実情に応じた労働移動の円滑化、企業のニーズに即した職業訓練の実施、デジタル化といった時代の要請に応えられる職業能力の獲得、さらには、外国人材の安定的確保といった人材に関する様々な課題は、いずれも人口減少が避けられない状況を踏まえると、将来の本道経済や社会の維持発展に対するボトルネックとなりかねないものであると考える。

 当面の人手不足対策はもとより、今後、深刻化が懸念される人材に関する諸課題を本道経済の発展にとっての構造的な課題として捉え、中長期的な視点から、全庁が一体となって、その解決に全力で取り組むべきであると指摘する。

◆部活動地域移行

Q船橋議員 スポーツ庁と文化庁の有識者会議から出された提言では、少子化の進む中、子どもたちがスポーツや文化に継続して親しめる環境を整備するとともに、教員の働き方改革にも資するため、公立中学校における部活動を休日から段階的に地域移行していくこととし、5年度から7年度末までを目標達成のめどとすることを掲げている。

 地域や保護者からは、これまでの学校主体の部活動から地域主体のスポーツ・文化活動に変わることによって、指導者の確保はもとより、受け皿となる団体の整備や財源の確保、保護者の負担など、様々な課題があると指摘されている。

 過日、部活動の地域移行に関する道の推進計画の素案が示されたが、道内の市町村の検討状況はどのようになっているのか、また、道教委としては今後どのように部活動の地域移行を進めていく考えなのか伺う。

A倉本教育長 部活動の地域移行について。中学校における部活動の地域移行は、生徒一人ひとりの望ましい成長のために、学校および地域の持続可能で多様な環境の一体的な整備によって、スポーツ・文化芸術活動の最適化を図り、体験格差を解消することを目指して行うものであり、現在、道内において約6割の市町村が地域移行の検討に着手した。

 仮称・北海道部活動の地域移行に関する推進計画の素案において、国のガイドラインに基づき、5年度から7年度までを計画期間とし、道教委として、取組例の普及および市町村間の調整、人材バンクの整備、道立施設を含めたスポーツ・文化施設の確保の検討、大会、コンクール等の見直しの要請などに取り組むほか、地域移行までの間、部活動指導員の効果的な配置や地域の人材の活用などによって、地域と連携した部活動について引き続き指導することとしている。

 今後とも、各市町村の状況をきめ細かく把握しながら、全国都道府県教委連と連携して必要な財政措置等を国に引き続き要望するとともに、それぞれの実態に応じた提案や支援に努めるなどして、全ての市町村が地域移行を進められるよう取り組んでいく。

◆保育の質向上

Q畠山議員 9月、静岡県の認定こども園において、送迎バスに3歳女児が置き去りにされ、死亡するという痛ましい事件が起きた。こうした送迎バスに取り残される事案は、死亡事故とはならないまでも、全国各地で起こっている。

 保育園や幼稚園、認定こども園、幼児教育施設などに勤務する保育士や教諭の質の問題や、そもそも保育士自体が不足しているという声も地域から伺っている。

 保育士確保に向けては、処遇を含めた働く環境の改善が急務と考える。保育・幼児教育における保育士、教諭の質の向上と処遇改善などに対する知事の所見と今後の対策について伺う。

A鈴木知事 保育の質の向上等について。近年の女性の就業率向上や幼児教育の無償化などによって、子育てを取り巻く環境が変化している中、地域の保育ニーズに的確に対応していくためには、担い手の確保が重要な課題と認識している。

 このため、道では、返還免除型修学資金の貸付けなどの人材確保対策のほか、キャリアアップ研修を通じた保育の質の向上や、保育所などによる処遇改善加算の取得促進等に取り組んでいる。

 道としては今後とも、人口の減少が進み、必要とされる保育人材の確保が難しい地域の市町村や保育現場の声をきめ細かに伺いながら、国に対し、運営実態や地域の実情を考慮した公定価格の改定と保育士等の方々のさらなる処遇改善を強く要望するとともに、研修内容の充実を図るなど、従事者の資質向上に努め、全道のどこに住んでいても安心かつ安全に保育サービスを受けられるよう、取組の一層の充実を図っていく。

◆働き方改革

Q畠山議員 教員の欠員や成り手不足を解決するためには、給特法の廃止が求められるが、知事ならびに教育長の所見を伺う。

A鈴木知事 教員の確保について。いわゆる給特法については、令和元年の法改正における国会の付帯決議において、3年後をめどに教員勤務実態調査を行った上で、関係法令の規定について検討を加え、その結果に基づき、所要の措置を講ずるよう求められており、現在、文部科学省では、給特法など関連する諸制度について情報収集や論点整理を行い、円滑な検討に資するための準備を進めていると承知している。

 私としては、給特法の見直しを含めた教員の処遇の在り方などについて議論を深め、多忙化の解消に取り組むことは喫緊の課題であると考えており、今後の国の動向も踏まえつつ、より多くの方々に教員を志望してもらえるよう、道教委と連携しながら、部活動の地域移行やスクールロイヤーの活用など、働き方改革による勤務環境の改善を着実に推進し、意欲ある優秀な人材の確保に努めていく。

A倉本教育長 給特法について。平成31年1月の中教審答申では、業務の改善の基本となる勤務時間の管理に関し、給特法に定める校外実習その他生徒の実習に関する業務や、修学旅行その他学校の行事に関する業務などの超勤4項目以外の業務も含めた業務の削減を行う必要があり、仮に、現状において、教育委員会や管理職、教職員などの関係者の意識が長時間勤務を是としたまま、現行の給特法の規定を廃止しても、働き方の改善につながらないこと、授業の質の向上を目指した教員の主体的な研究や専門性の発揮を妨げる可能性が否めないことなどが指摘されている。

 道教委としては、教員が子どもたちと向き合う時間を確保できるような体制を整備し、学校を魅力ある職場とすることが必要と考えており、都道府県教委連と連携をし、給特法の見直しを含めた検討を国に要望するとともに、国において今年度実施している教員の勤務実態調査の結果などを基に、今後行うこととされている給特法等の法制的な枠組みを含めた検討の動向を踏まえるほか、学校における働き方改革の取組を鋭意進め、教員一人ひとりの時間外勤務の縮減を図っていく。

Q畠山議員 月当たり80時間以上の時間外勤務は、過労死レベルである。それを強いられている教員および職場における健康管理対策は、道立学校職員安全衛生管理規程および道立学校職員の過重労働による健康障害防止対策取扱要領によって取り扱うものとされている。

 要領では、持ち帰り業務についても、校務のために従事した時間と同様に記録することになっているが、道教委が集約している時間外在校等時間においては、持ち帰り業務は除外されている。

 時間外在校等時間の調査には、持ち帰り業務を加えるとともに、市町村に対して早急に要領の周知徹底をすべきと考えるが、所見を伺う。

A倉本教育長 持ち帰り残業について。道教委では、文科省の公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインに基づき、在校等時間の実態を把握しているが、併せて、業務の持ち帰り時間についても、教員から報告を求め、健康障害の防止に努めることとしている。

 道教委としては、学校の働き方改革を進め、学校を魅力ある職場とするためにも、教員一人ひとりの業務の持ち帰り時間を含めた実態を把握することとし、今後とも、市町村教委と連携して、業務の持ち帰りの解消に向けた取組を進めていく。

Q畠山議員 9月、教育団体が実施した勤務実態調査では、中学校の時間外在校等時間が100時間を超える者が5人に1人当たりいることが分かるなど、部活動が大きな負担となっている。

 このことから、教職員の兼職兼業に頼らないことを基本とした推進計画にすべきと考えるが、教育長の所見を伺う。

 また、部活動の地域移行を進めるに当たって、教育の機会均等の理念を踏まえ、都市部とその他の地域の取組状況に差が生じないよう手だてを講じ、子どもたちの多様な活動の機会の確保を第一に制度設計を行うべきと考えるが、所見を伺う。

A倉本教育長 部活動の地域移行について。部活動の地域移行は、生徒の望ましい成長のために、地域の持続可能で多様な環境の一体的な整備によって、地域の協力を得ながら、スポーツ・文化芸術活動の最適化を図り、体験格差を解消することを目的として行うものである。

 また、国による教員の兼職兼業に関する通知においては、地域クラブ活動の指導を希望しない教員を業務に従事させないこと、長時間勤務が見込まれる場合は、許可を出さないことが適当であることなど、留意事項が示されている。

 道教委としては、学校部活動が、生徒の自主的、自発的な参加によって行われるものであることを踏まえ、全ての市町村において、子どもの意向や地域の実情に応じた地域クラブ活動が展開できるよう、知事部局をはじめ、市町村教委や関係団体と連携しながら、持続可能な子どもたちのスポーツ・文化環境の整備に取り組んでいく。

Q畠山議員 文科省が出した学校の働き方改革を踏まえた部活動改革では、5年度から休日の地域移行をする方向性が示された。この改革を行わなければならない理由の一つが、教員の労働環境改善である。

 教員の労働環境改善が図られない中、希望するという枕言葉はつくものの、教員の兼職兼業を前提とする指導者の確保には違和感を覚える。あらためて教育長の見解を伺う。

 また、競技によっては、自治体をまたぐ部活動となる可能性もある。そうした際の調整や指導者への謝礼、移動に伴う交通費など、地域間格差が生じると想定されるが、この格差をどのように埋めていくのか、併せて教育長の所見を伺う。

A倉本教育長 部活動の地域移行について。部活動の地域移行は、生徒の望ましい成長のために、地域の方々の協力を得ながら、地域の持続可能で多様なスポーツ・文化芸術環境の整備によって、体験格差を解消することを目指して行うものである。

 道教委としては、指導を希望する教員の兼職兼業に当たり、長時間勤務が見込まれる場合に、許可を出さない取り扱いの徹底を図っていく。

 また、複数の市町村が合同で地域移行を実施する場合、市町村間の調整を行うとともに、地域移行に関わっては様々な経費が生じることから、全国都道府県教委連と連携をして、財政措置などを国に引き続き要望していく。

◆いじめ問題

Q畠山議員 旭川市いじめ重大事態など、いじめ問題への対応を振り返り、道いじめ防止基本方針を本年度中に改定し、一層危機感を持っていじめ問題に対応することは必要だが、実際に対応する現場、教職員の声が反映されていない。

 子どもたちの変化に気付き、子どもたちが抱えるトラブルを解消させるためには、教職員の時間的・精神的余裕がなければ対応できない。

 いじめ担当教員の全校配置など、教職員定数増はもちろん、教育課程の過密化解消や全国学力・学習状況調査の自校採点の廃止など、実効ある具体策を提示すべきと考えるが、所見を伺う。

A倉本教育長 いじめ問題への対応について。いじめは、児童生徒の心身に重大な影響を及ぼす人権侵害であり、早期発見、早期対応に向け、学校いじめ対策組織を中心に対応するとともに、いじめの未然防止に向け、全教職員が児童生徒理解を深め、ゆとりを持って対応できるよう、子どもと向き合う時間を確保することが重要である。

 道教委としては、いじめ対応支援ツールの活用促進やアンケートの自動集計の導入のほか、市町村教委と連携を図りながら、効果的かつ効率的な教育活動を進めることができる教育課程の改善、スクラップ・アンド・ビルドの観点による働き方改革の推進を図ることなどを通して、各学校が、いじめ問題に組織的かつ迅速に取り組む体制づくりや、子どもと向き合うことができる時間の確保を進め、教育活動全体を通して、一層の危機感を持っていじめ問題に取り組むことができるよう指導、支援するとともに、児童生徒支援加配など、教職員定数配置の拡充などについて、国に対し、引き続き強く要望していく。

◆多様性への対応

Q渕上議員 色の見え方には個人差があるため、人によっては、一部の色の組み合わせが区別しにくく、不便さを感じるケースがある。

 道は、障がいのある方への配慮と情報保障のための指針の中で取り扱われているが、カラーユニバーサルデザイン(CUD)の考え方はあらゆる場面に必要である。全庁での共有についてはどのようになっているのか伺う。

 特に、ハザードマップについては、命を左右する極めて重要な情報だが、道は、道内各市町村のCUD導入の働きかけについてどのように対応しているか伺う。

A京谷保健福祉部長 カラーユニバーサルデザインについて。道では、視覚に障がいのある方や色を識別しづらい方にも正確な情報が伝わるよう、見えやすい配色の例や文言を作成する際の留意点などを内容とする、障がいのある方への配慮と情報保障のための指針を作成し、知事を本部長としている障がい者が暮らしやすい地域づくり推進本部会議や全庁掲示板などを通じ、活用を呼びかけてきた。

 また、地域の浸水深を段階的に区分して色分け表示する必要がある洪水や津波のハザードマップの配色は、国が定めた「作成の手引き」において、色覚障がいのある方々に配慮した表示例が示されており、道としても、市町村のハザードマップ作成の基本となる浸水想定区域図の提供に当たっては、この「手引」に沿って対応をしている。

 道としては今後とも、道職員が日常業務を通じ、カラーユニバーサルデザインの考え方の普及をはじめ、障がいのある方の情報保障に率先して取り組んでいく。

Q渕上議員 学校では、多様性を認め合う教育が進んでいる一方で、進路指導になると、社会の差別や偏見に迎合してしまうケースがあることを第2回定例会で指摘した。一方で、多様性への理解が先行している事業者もる。

 進路指導の状況を確認し、指導助言を行うとの答弁だったが、どのような状況でどのように助言を行ったかを伺うとともに、先行して取り組んでいる事業者との意識のずれをどのように解消するのか伺う。

A倉本教育長 高校における進路指導について。高校では、一人ひとりの意欲や適性、能力等を考慮しながら、きめ細かな進路指導を行うことが大切であり、学校での進路指導上の課題として把握した、企業を選択する際に性別が限定され苦慮している事例や、自分らしく振る舞える企業の情報を知りたいという生徒からの相談事例などに対し、一人ひとりの希望に沿った適切な進路指導が行われるよう、学校に指導を行っている。今後とも、生徒が円滑な就職活動を進めるためには、企業等と適切に連携を図りながら進路指導を行うことが重要と考えている。

 道教委としては、指導主事、進路指導担当教員等を対象とした研修によって、性の多様性への理解を深めるとともに、教育局の担当者や学校が求人先の企業の状況を丁寧に確認しながら、きめ細かな進路指導を行うよう指導助言するほか、道労働局をはじめ、民間事業者等の関係団体で構成される道高校就職問題検討会議などを通じて、関係機関の理解や協力等を求めながら、生徒一人ひとりの希望を尊重した進路実現に向けた環境づくりに努めていく。

Q渕上議員 学習指導要領の中には、歯止め規定があり、妊娠の経過については取り扱わないということになっている。

 ネットにあふれるアダルトコンテンツが教科書になってしまっているという専門家の指摘もある。現実との乖離が大きく、現実に持ち込めば犯罪になるものも少なくない。

 文科省は、歯止め規定の内容について、各学校でその必要性があると判断すれば指導することはできるとしており、各学校に判断を委ねられている。

 性犯罪の加害者・被害者にならない、傍観者にならないために、どのように取り組むのか伺う。

A倉本教育長 性に関する指導について。中学校の保健体育科の学習において、妊娠の経過は、個々の生徒間で発達段階の差が大きいことなどから、全ての生徒に共通して指導するべき事項としては取り扱われていないが、発展的な内容として教えることは可能とされている。

 道教委ではこれまでも、性に関する指導の充実に向けて、健康教育推進研修会などを開催し、児童生徒の発達段階に応じた実践事例の発表を通した情報交換等を行うほか、医療や警察をはじめ、性暴力被害の支援団体等と連携した講義を行うなど、教職員の理解の深化と指導力の向上に努めてきたところ。

 今後とも、一人ひとりの児童生徒の発達段階や負担に配慮するとともに、児童生徒が性犯罪の被害者や加害者、傍観者になることを防ぐため、いわゆる歯止め規定も含め、今日的な教育課題について全道の指導主事の協議会で協議するほか、引き続き、道徳教育や人権教育とも関連を図りながら、学校の教育活動全体を通じて、性に関する指導を充実させることができるよう、各学校への指導助言を徹底していく。

(道議会 2023-05-24付)

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