道議会質疑文教委員会(4年11月1日)
(道議会 2023-04-07付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

◆生徒指導上の諸課題

Q佐々木委員 3年度のいじめの認知件数は、道内の公立学校全体で1000人当たり49・6件、前年度に比べ7・4件の増加となっている。2年度の調査においては、いじめの認知件数が減少していたが、3年度はいじめの認知件数が増加していることについて、どのように受け止めているのか伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 いじめの認知件数の増加について。3年度は、新型コロナウイルス感染症の感染を予防しながら、部活動や学校行事などが再開され、児童生徒の接触機会が2年度よりも増加したことや、法令に基づくいじめの積極的な認知について、道教委が各学校に対し継続して指導助言してきたことなどによって、いじめの認知件数が増加したものと考えている。

 道教委としては、いじめを積極的に認知することは、いじめ対応において重要な第一歩と捉えており、今後も各学校において、道教委が作成した関係法令に基づいたいじめ対応のフローチャートや早期発見、早期対応の分析シート等のいじめ対応支援ツールの活用を促進し、いじめが積極的に認知され、早期の組織的対応が徹底されるよう取り組んでいく。

Q佐々木委員 その中で、いじめ重大事態が道内で14件発生しており、前年度と比較して増加している。道教委としてどのように考えているのか、また、この事案について、その後の状況と道教委の対応について伺う。

A伊藤学校教育局生徒指導・学校安全担当局長 いじめ重大事態について。いじめの早期解決を図ることができず、いじめ重大事態に至った事案が、2年度と比較し増加したことは、極めて憂慮すべき状況と受け止めており、いじめの積極的認知と早期の組織的対応によって重大事態に至る前に解決することができるよう、事案の状況に応じて、専門家と連携した緊急支援チームを学校に派遣し、積極的に指導助言や支援を行い、実効性あるいじめ対策に取り組んでいく。

 また、3年度に発生したいじめ重大事態事案については、当該の市町村教委において、関係法令や国の調査ガイドラインに基づき調査が行われており、道教委では、適正な調査の実施に向けて、実情に即して指導助言してきたところ。

P佐々木委員 先般のコロナ禍ということもあり、学校での生活環境や児童同士の交流という環境も大きく変化したなど、様々な要因があると思う。また、認知については、積極的に学校が認知しているということであり、こういったいじめの重大事態につながらないような、初期の初動のしっかりとした対応を求めていきたい。

Q佐々木委員 不登校児童生徒については、道内の小・中学校とも年々増加しており、3年度は1万464人と3年前の平成30年度の1・6倍にも上っている。特に中学生は、1000人当たり60人と全国平均の50人を大きく上回っているところ。道教委は、不登校児童生徒数が増加した要因をどのように考えているのか伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 不登校児童生徒数の増加について。本道の公立小・中学校の不登校児童生徒数は、近年、全国と比べて多い傾向にあり、新型コロナウイルス感染症の影響などによって生活環境が変化し、学校生活において様々な制限がある中で、生活リズムが乱れやすい状況であったことや望ましい交友関係を築くことができないことへの悩み、学業不振などへの不安を抱えることなどによって、登校する意欲が湧きにくい状況となり、不登校となる児童生徒が増加していると考えられる。

Q佐々木委員 4年6月、国の不登校に関する調査研究協力者会議から、今後、不登校児童生徒の支援に関し、重点的に実施すべき施策の方向性について報告が出された。

 道教委は、不登校児童生徒に対する学習指導など教育の機会の確保や教育相談の充実など、不登校への対策にどのように取り組んでいくのか伺う。

A伊藤学校教育局生徒指導・学校安全担当局長 不登校児童生徒への対応について。子どもたちを取り巻く教育環境が大きく変化する中、不登校児童生徒への支援についても、新たな実効性ある取組を取り入れることが重要である。

 道教委としては、現在、不登校対策の指定校において、児童生徒が1人1台端末を活用し、自分の心の状態や変化を可視化できるアセスメントや、家庭や教育支援センターと連携したオンライン授業等の実施に取り組んでいるが、今後、心理、医療の専門家の意見も踏まえ、アセスメントツールの改善を図り、道内全ての学校での普及促進を図るなど様々な取組を進めるとともに、不登校の児童生徒の実態に配慮した特色ある教育課程を編成する、いわゆる不登校特例校における先進的な取組や成果、課題などについて調査研究するなどして、不登校対策の取組を充実していく。

Q佐々木委員 新型コロナウイルス感染症によって学校や家庭における生活や環境が大きく変化しており、子どもたちの行動にも大きな影響を与えていると思われる。

 今後、道教委は、いじめや不登校など、生徒指導上の諸課題に対して、どのように取り組んでいくのか伺う。

A唐川学校教育監 今後の取組について。いじめの問題や不登校等への対応については、学校において日ごろから丁寧な児童生徒理解に努め、子どもたちが発する小さなサインを見逃さず、早期発見、早期解決に向け、組織的に取り組むことはもとより、新型コロナウイルス感染症の影響によって生活環境が変化する中、ストレスや様々な不安を抱えている児童生徒について、これまで以上に一人ひとりに寄り添ったきめ細かな生徒指導を展開することが重要である。

 道教委としては、今後も、各学校における校長のリーダーシップによる組織的な生徒指導体制の構築とスクールカウンセラー等との連携によるオンラインも活用した教育相談体制の充実をはじめ、教育支援センター等との連携や1人1台端末等を活用した教育機会の確保の取組を進めるなど、市町村教委とのさらなる連携を図り、生徒指導の一層の充実に取り組んでいく。

D佐々木委員 不登校が始まることによって、勉強についていけなくなる、また、周りの児童生徒の関わりが薄くなり、なおさら学校に行きづらい環境を生むということになる。初期段階として、早期の対応が不登校の児童生徒が減少していく要因になるのではないかと考えている。最近の状況等も踏まえて、しっかりと早く芽を摘めるよう、現場としても努力していただくよう求める。

Q赤根委員 長期化する新型コロナウイルス感染症の影響は当然あるにせよ、不登校の児童や生徒は増加する一方である。まず、この調査結果に対する受け止めについて伺う。

 また、効果的な対策を講じるためには、要因の分析が欠かせない。不登校の要因をどう分析しているのか、併せて伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 不登校児童生徒数について。本道の公立小・中学校の1000人当たりの不登校児童生徒数は、平成29年度は15・0人だったが、令和3年度は29・8人と約2倍に増加しているなど、依然として増加傾向が続いており、憂慮すべき状況と受け止めている。

 不登校の要因について。新型コロナウイルス感染症の影響などによって生活環境が変化し、学校生活において様々な制限がある中で、生活リズムが乱れやすい状況であったことや望ましい交友関係を築くことができないことへの悩み、学業不振への不安を抱えることなどによって、登校する意欲が湧きにくい状況となり、不登校となる児童生徒数が増加していると考えられる。

Q赤根委員 不登校の児童生徒が指導の結果、登校する、または、できるようになった児童生徒の割合は、小学校では、令和2年度、3年度共に32・7%、中学校をみると、2年度、3年度では、3年度の方が3ポイントほど落ちている。

 道教委では、不登校への対応としてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、市町村の教育支援センター等の関係機関との連携によって、相談体制の充実などに重点的に取り組んできたと承知しているが、当事者の話を伺うと、スクールカウンセラーの相談につながるまでに1ヵ月以上の時間を要するケースもあるとのこと。

 地域でばらつきがあるとは考えるが、相談体制を含めた対応について、課題をどう認識し、どのように改善を図ろうとするのか伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 相談体制等について。スクールカウンセラーは、週ごとや月ごとに担当する複数校を巡回するなどして児童生徒へのカウンセリングを行っており、希望する児童生徒は、あらかじめ日時を調整してカウンセリングを受けている。

 緊急にカウンセリングが必要な場合は、道教委が、スクールカウンセラーを当該校に派遣し対応しており、児童生徒がいつでも気兼ねなくカウンセリングを受けられるよう必要な見直しを図ることは重要であることから、現在、スクールカウンセラーに関する実態調査を行っており、今後も効果的な相談体制の整備に向け取り組んでいく。

Q赤根委員 教育支援センターの道内の設置状況を伺う。また、不登校児童生徒のうち、相談や通級などを通じて、この教育支援センターとの関わりを持つ割合がどの程度かを併せて伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 教育支援センターにおける対応について。本道においては、市町村教委による設置は現在、54市町村65施設となっている。

 また、不登校児童生徒のうち、市町村教委の教育支援センターなどにおいて相談や指導等を受けている割合は約2割となっている。

Q赤根委員 文部科学省は、不登校児童生徒が通う公立の特例校について、自治体の新規設置を後押しするとして、5年度概算要求に7200万円を新規で計上している。また、4年6月に決定された骨太の方針には、不登校特例校の全都道府県での設置や指導の充実が初めて明記された。道内における特例校の設置状況と取組状況について伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 不登校特例校について。不登校特例校は、道内では札幌市内に私立の中学校1校が設置されており、当該の学校では、生徒の実情に配慮した特色ある教育課程のもと、学習指導等を行っていると承知している。

 道教委では、現在、道内外の不登校特例校の教育課程の工夫や教育実践等について調査研究を進めており、調査研究の内容等については、今後、市町村教委に情報提供することとしている。

Q赤根委員 不登校の児童生徒らが学校以外で学んだり自然と触れ合うなど、体験活動をする場所としてフリースクールがある。このフリースクールについても道内の設置状況を伺うとともに、通っている児童生徒の状況について併せて伺う。

A新居義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 フリースクール等の設置状況等について。道教委が現時点で把握しているフリースクールなどの不登校児童生徒等が通う道内の民間施設は25施設あり、これらの施設では、児童生徒が個々の状況や意欲などに応じて、個別の学習、社会体験や自然体験等の体験活動、授業形式による学習など、社会的自立に向けた多様な活動を行っている。

Q赤根委員 東京都教委では、都内の公立小・中学校などに在籍し、不登校のためのフリースクールなど民間施設に通う児童生徒の実態を把握しようと、保護者を対象に調査を実施していると承知している。

 フリースクールの活動内容や不登校の子どもの支援ニーズについて調査することで、不登校の子どもを支える民間との連携を模索するという。道教委では、フリースクールの活動実態をどのように把握し、今後の連携にどう取り組むのか所見を伺う。

A中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 フリースクール等との連携について。不登校児童生徒の一人ひとりの状況に応じて必要な支援を行い、社会的自立を支えていく上で、フリースクール等の民間施設は、重要な役割を果たしており、道教委では、これまでも施設への訪問やフリースクールなど民間施設との懇談会などを通じて、活動内容や運営状況等、施設の実情を把握し、一人ひとりの学びの充実に向けた協議を行っている。

 今後も市町村教委とこうした状況等を共有しながら、フリースクール等の民間施設との一層円滑な連携を進めることなどを通して、不登校児童生徒一人ひとりに応じた多様な教育機会の確保に努めていく。

Q赤根委員 コロナ禍においては、1人1台端末等を活用し、双方向型の授業配信やオンデマンド型の授業配信によって児童生徒の学びの保障に取り組んできたと承知している。これまでの実施状況について、道教委の評価と併せて伺う。

A新居義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 オンライン学習の実施状況等について。4年4月から9月までの間、新型コロナウイルス感染症の拡大によって休業措置を講じた学校におけるオンライン学習の実施状況は、札幌市を除いて、小学校73%、中学校72・4%、道立学校100%となっている。

 道教委としては、臨時休業などの非常時にあっても学習の機会が確保されるよう、全ての学校において、オンライン学習を行える環境を速やかに整えることが重要と考えている。

Q赤根委員 今後はさらに導入状況を向上させていくことはもちろん、オンライン授業を一層活用して学びの保障を充実すべきと考える。今後の取組について所見を伺う。

A中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 今後の取組について。道教委では、新型コロナウイルス感染症等により、やむを得ず学校に登校できない児童生徒への学びの保障に向けて、非常時の端末の持ち帰りについて必要な準備が整っていない学校は早急に準備を行うよう通知するほか、オンライン学習を実施している学校の好事例や教員および児童生徒の声などを掲載した資料を作成し、各市町村教委や学校に周知してきたところ。

 今後も1人1台端末等のICT環境を活用した学びの保障に向けて、学校の効果的な事例等を随時更新し、普及するとともに、指導主事等による学校訪問などを通じて、各学校の実情に応じた指導助言を行うほか、校長会とも連携し、各市町村教委や学校への支援に努めていく。

Q赤根委員 全国的にはコロナの対応として、分散登校やオンライン授業を実施する中で、オンライン授業への参加でアクセスが集中すると、通信障害が生じるなどの課題が報告されていたと承知している。6年度からは、デジタル教科書の段階的な導入も控えている。道内の学校のネット回線に問題はないのか。

A髙橋学力向上推進課長兼ICT教育推進課長 学校のネットワーク環境について。国のGIGAスクール構想によって道内全ての学校で校内ネットワーク回線の高速大容量化が実現したが、3年度実施された国の調査では、道内の一部の学校において、全校生徒が一斉に端末を利用するとネットワークに接続しにくくなる、クラスで一斉にオンライン教材などを利用する際、一部の児童生徒が教材に接続できない状況が発生するなどの不具合が生じていることが報告されている。

 このため、道教委では、サポートデスクに通信状況の不具合などの相談があった学校や市町村教委に対し、校内ネットワーク整備の際に国が示した通信速度を参考として、通信量の多いサイトに同時に接続しないなど、授業を円滑に行うためのICT機器活用の工夫や国のGIGAスクール運営支援センター整備事業を活用した専門家によるアセスメントの実施など十分な通信環境の確保について必要な助言に努めながら、道内全ての地域で児童生徒がICTを円滑に活用できる環境が確保されるよう取り組んでいく。

Q赤根委員 文科省は、病気や障がいのため小・中学校を長期欠席している病気療養児について、出席基準を緩和し、授業の録画配信を見ることで出席扱いにするとして、これまではリアルタイムでの視聴が条件だったものが、動画を録画して好きな時間に見るオンデマンド視聴も可能にし、体調に合わせて勉強できるようにするとしている。

 先の調査結果で、3年度は道内の公立の小・中学校で病気による長期欠席者は2763人となっているが、現状、病気療養児のうち、教師の訪問などによって対面授業を受けている場合やリアルタイムで視聴している割合はそれぞれどのようになっているのか伺う。また、病気療養児の学びの保障について、課題をどう認識しているのか併せて伺う。

A大畑特別支援教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 病気療養児の学びの保障について。病気療養児のうち、対面授業を受けている児童生徒と、オンラインで授業を受けている児童生徒の割合は把握していないものの、特別支援学校においては、院内学級を除く入院中の病気療養児に対面やオンラインを活用した訪問教育を実施している状況である。

 本道においては、高度かつ専門的な治療を受ける児童生徒が、遠隔地の病院に入院することが多いため、在籍校による直接の支援が困難な場合がある。

 また、コロナ禍によって教員が直接訪問できない場合や病室内での通信機器の使用の制限がある場合など、サポート体制に課題が見られることから、一人ひとりの児童生徒に寄り添った支援を行うことができるよう、学校と家庭、医療機関等の連携の充実が必要と認識している。

Q赤根委員 まずは把握すべきではないか。

 その上で、国は、コロナの流行やGIGAスクール構想の進展により、授業の動画配信が一般的となったため、病気療養児の視聴がどれだけ増えているか把握するための調査を4年度内にも行いながら、病気療養児の学習状況を再調査するとしている。

 国が示した授業の録画配信を見ることで出席扱いにするという方針を受け、道教委ではどのように対応するのか伺う。

A大畑特別支援教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 今後の対応について。病気療養児については、治療の時間が授業時間と重なることなどによって、リアルタイムでの授業を受けることが難しい児童生徒もいるほか、訪問教育を受けている児童生徒についても、体調によって欠席せざるを得ない場合があることなどにより、授業時数が十分確保できない状況があると認識している。

 道教委としては、対面による支援に加えて、在籍校と自宅や医療機関をつないだ遠隔授業の実施、授業の録画配信などにより、教育の機会を可能な限り提供するよう、各学校および市町村教委に働きかけるなど、国の動向も見据えながら、病気療養児に対する教育環境の整備に努めていく。

Q赤根委員 信仰を持つ保護者による望まない宗教活動や信仰生活の強制などの虐待や高額献金による貧困、さらには教育の機会喪失などの権利侵害について、まず、道教委の認識を伺う。

 また、これまで、こうした事案を把握しているのか、その場合の対応と併せて伺う。

A新居義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 子どもたちの教育機会の確保等について。学校教育を受ける権利は、経済的地位や信条などに差別されることなく、全ての子どもに等しく保障されるべきものであることから、虐待や貧困などにより、子どもたちからその機会が失われることはあってはならないことである。

 これまで、道教委では、保護者の考えによって子どもが授業の一部または全てを履修できない事案などについては、市町村教委と連携し、人権や学びが保障されるよう、丁寧な対応に努めてきたところ。

 今後も、家庭の事情や貧困、虐待などにより、教育の機会が保障されないことが懸念される場合には、学校は学びの保障に努めるとともに、必要に応じてスクールソーシャルワーカーを活用したケース会議を開催するなどして、保健福祉部局はもとより、児童相談所、警察等の関係機関とも連携を図りながら、一人ひとりの状況に応じた支援を行っていく。

Q赤根委員 霊感商法などへの対策を協議してきた消費者庁の有識者検討会は、10月、世界平和統一家庭連合への宗教法人法に基づく質問権行使などを提言した報告書を公表しており、この中では、高校などでの消費者教育を通し、霊感商法に関する周知や啓発を行うことが盛り込まれている。

 また、消費者庁の消費者教育推進会議では、消費者庁の検討会を踏まえ、消費者生活に関する基本的な知識や批判的な思考力など、消費者力の育成策を検討するとして、現行の高校生向け教材が作成から約5年経過していることから、新たな教材の開発を決定したと承知している。

 道教委では、消費者教育において霊感商法等の被害防止についてどのように取り組んでいるのか伺う。

A山城高校教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 高校における消費者教育について。4年4月から成年年齢が引き下げられたことに伴い、18歳から1人で有効な契約をすることができるようになる一方、高校生が悪質な商法によって被害を受ける恐れが予想されることから、各高校では、学習指導要領に基づき、家庭科等において消費者庁が作成した高校生向けの教材である「社会への扉」も活用しながら、消費行動における意思決定や契約の重要性、消費者保護の仕組みなどについて指導している。

 また、道教委において消費生活センター等の関係機関と連携し、消費者教育アドバイザーや弁護士等を講師として、消費生活に関わる様々な問題に関して理解を深める教員研修を行っているほか、「高校教育課程編成・実施の手引」において、不当な契約などの具体的な消費者問題に関する効果的な学習指導事例を掲載して各学校に周知するなど、高校生が社会の一員として自立した生活を営むことができるよう、消費者教育の着実な推進に努めているところ。

Q赤根委員 この問題は、いわゆるヤングケアラーと同様に、家庭における潜在的な側面も強く、本人の自覚がないなど、教育現場での対応が難しいことは重々承知するが、こうした環境での生活を余儀なくされる児童生徒が存在するとの前提に立ち、関係機関との連携も含めて対策を検討していく必要があると考える。今後の対応について所見を伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 児童生徒への対応について。国の関係省庁連絡会議における取りまとめを踏まえ、文科省からは、学校においては宗教に関係することのみを理由として消極的な対応をすることなく、課題を抱える児童生徒の早期発見、早期支援、対応等に努め、必要に応じて関係機関と連携して支援を行うよう通知があった。

 道教委としては、該当する事案があった場合には、学校内の関係者が情報共有し、スクールカウンセラーによる教育相談のほか、スクールソーシャルワーカーと連携し、児童相談所や人権擁護機関等の支援につなげるよう、学校や市町村教委に指導助言していく。

Q赤根委員 不登校の問題について、全国的には、熊本県での仮想現実や拡張現実などの新たな技術の活用や、広島県教委における東京大学の先端科学技術研究センターと連携した、ラーンイン広島のスクールエスなど多様な教育プログラムを準備し、不登校に対応しようとする取組も見られる。不登校の児童生徒への対応について、具体的にどのように取り組むのか所見を伺う。

A伊藤学校教育局生徒指導・学校安全担当局長 今後の不登校児童生徒への対応について。子どもたちを取り巻く教育環境が大きく変化する中、不登校児童生徒への支援に向け、新たな実効性ある取組を進めることは重要である。

 道教委としては、今後、各学校において、不登校の予兆や早期段階から適切に対応できるよう、心理や医療の専門家の知見をいただきながら、1人1台端末を活用したアセスメントツール等の活用促進に取り組むとともに、児童生徒の実情に即した教育相談の充実に向け、校長会や市町村の教育支援センター、フリースクール、不登校特例校などの関係者による連絡協議会を通して、各地域や施設での取組状況や他県の効果的な実践例をもとに協議を深めるなどして、市町村教委とさらなる連携を図り、不登校対策に取り組んでいく。

Q赤根委員 不登校を巡る状況は、複雑多様化している。既に教育行政や学校現場だけで頑張って対応する時代ではないのではないか。まずは、道教委が方針を策定しなければいけないと考える。教育機会確保法を踏まえて、福岡県の教育委員会では、県の不登校児童生徒支援グランドデザインを3年12月に策定し、民間連携を含めた施策を推進している。まずは道教委としての方針を示すべきだと考える。その点について所見を伺う。

A伊藤学校教育局生徒指導・学校安全担当局長 今後の不登校対策について。各地域や教育支援センター、フリースクールなどの施設での取組状況や他県の効果的な実践例などをもとに市町村教委等と協議を深めるなどして、市町村教委との連携を図り、今後の不登校対策に取り組んでいく。

Q赤根委員 道内の公立小・中・高校、特別支援学校を合わせた前年度のいじめの認知件数は2万2083件、認知率が65・6%で、全国平均の79・9%を14・3ポイント下回っている。調査結果に対する受け止めについて伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 いじめの認知率について。いじめを認知した学校の割合である、いじめ認知率については、法令に基づくいじめの積極的認知について継続して指導助言してきたことなどによって、本道の3年度の結果は、2年度と比較して5・7ポイント上昇したものの、全国に比べて認知率が低いことを踏まえると、全教職員が法令等によるいじめの定義を再確認することや、いじめの認知件数がない場合は、児童生徒や保護者に公表し、検証を仰ぐことなどの取組を着実に行うことが大切と考えており、学校の実情に応じて、指導助言する必要がある。

Q赤根委員 緊急支援チームの対象の事案は、チームを派遣するに当たり、いじめの認知が派遣の必要な条件なのか、その点、まず見解を伺う。

A泉野生徒指導・学校安全課長 緊急支援チームについて。対象となる事案は、学校がいじめとして認知しており、児童生徒に重大な被害が生じる恐れがある、または、生じた事案などのうち、学校や市町村教委に対する支援の必要性が認められる場合である。

 また、当該事案をいじめと認知していない場合については、道教委では、関係法令に基づいた認知について指導助言した上で、学校や市町村教委と当該事案について情報を共有し、事案への対応等について協議の上、支援の必要性が認められるとき、緊急支援チームを派遣する考えである。

Q赤根委員 旭川市におけるいじめの問題では、そもそも、道教委がいじめの疑いがあるとして繰り返し指導していたものの、市教委は、いじめの認知に至っていないと回答していたことから、時間ばかりが経過し、必要な支援や対応が取れなかったということだ。今後は、こうした状況にあっても緊急支援チームの派遣は可能という理解で良いのか、再度見解を伺う。

A伊藤学校教育局生徒指導・学校安全担当局長 緊急支援チームの派遣について。道教委としては、市町村教委と認識を共有できず、事案への対応に改善が図られない場合は、今後の事案への対応等について協議の上、道教委の支援の必要性が認められるときには、緊急支援チームを派遣する考えである。

Q赤根委員 最終的には、道教委が主体的に行くということを決断するということで良いか。再度伺う。

A伊藤学校教育局生徒指導・学校安全担当局長 緊急支援チームの派遣について。道教委としては、市町村教委と認識を共有できず事案への対応に改善が図られない場合は、今後の事案への対応等について協議の上、道教委の支援の必要性が認められるときには道教委が緊急支援チームの派遣を決定していく。

D赤根委員 今、明確に答弁いただいた。そうでなければ旭川市の事例の反省を踏まえた取組とはならない。こうしたこと自体が、そもそもあってはならないが、昨今の全国的な状況を見ても、いまだに学校現場、あるいは教育委員会の隠蔽体質と思われる事例が散見される。ぜひ、万が一の際には、道教委が主体的に取組を行い、早急な対策、改善に努めていただきたい。

Q赤根委員 道教委では、緊急支援チームやいじめ相談窓口での早期発見、早期対応はもとより、道いじめ問題審議会や道いじめ問題対策連絡協議会の意見を踏まえながら、市町村教委との連携を一層強めるとともに、いじめ防止基本方針の改定や次期取組プランの策定を進めていると承知しており、9月には第2回道いじめ問題審議会が開催されている。

 審議会や協議会では、これまでどのような意見が出され、議論が進められているのか伺う。また、議論を踏まえ、今後、いじめ根絶に向け実効性のある対策にどのように取り組むのか所見を伺う。

A唐川学校教育監 今後のいじめ問題への取組について。4年度の2回の審議会を通して、道のいじめ防止基本方針や取組プランの改定に向けて委員からは、いじめの認知率の向上など、いじめの積極的な認知の在り方、人間関係の形成や特に配慮が必要な児童生徒への対応などについて意見をいただいた。

 引き続き、本審議会で協議を深めていただくとともに、今後、市町村教委、校長会、警察等の関係機関や団体で構成するいじめ問題対策連絡協議会からも意見をいただき、基本方針や取組プランの必要な見直しに取り組んでいく。

 また、道教委としては、関係法令に基づいたいじめ対応が全ての学校や市町村教委で着実に実施できるよう、いじめ対応のフローチャートや早期発見、早期対応の分析シート等のいじめ対応支援ツールを活用し、市町村教委との連携を一層強め、実効性ある取組を進めていく。

◆感染症対策

Q佐々木委員 学校においては、国の衛生管理マニュアルのレベルに基づいて感染症対策に取り組んでいると承知している。現在の具体的な感染症対策について伺う。

A今村健康・体育課長 新型コロナウイルス感染症対策について。本道では、新型コロナウイルスの病床使用率等を踏まえた道の感染レベルおよび国の衛生管理マニュアルに照らし、現在の状況を警戒を強化すべき、レベル2に該当するとして、必要な感染対策に取り組んでいる。

 具体的には、各学校において密閉、密集、密接のいわゆる3つの密の回避をはじめ、人と人との距離の確保、マスクの着用、手洗いなどの手指衛生、換気などの基本的な感染対策の取組を徹底するとともに、特に、長時間、近距離で対面形式となるグループワークや児童生徒が密集する運動など、感染リスクの高い活動については、実施を慎重に検討することや、できるだけ個人の教材教具を使用し、貸し借りはしないこと、器具や用具を共用で使用する場合は、使用前後の手洗いを行うことなどにも留意しながら、教育活動に取り組んでいるところ。

Q佐々木委員 これまで学校で蓄積してきた感染症対策を徹底しながら、学習内容や活動内容を工夫して可能な限り教育活動を継続していくことが重要と考えるが、この点について道教委の見解を伺う。

 また、今時期は修学旅行が実施、予定されている学校も多くあり、修学旅行は多くの児童生徒にとって学校行事で最も楽しみにしている行事であることからも、感染数の増加による影響を心配する声も聞かれている。このような学校行事における対応はどのようになっているのか、併せて伺う。

A中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 学校における教育活動について。各学校においては、日ごろの健康観察の徹底はもとより、3密の回避など、基本的な感染対策に取り組むとともに、地域の感染状況を踏まえ、学習内容や活動内容を工夫しながら可能な限り学校の教育活動を継続し、子どもたちの健やかな学びを保障していくことが重要である。

 道教委では、道医師会や道薬剤師会、校長会やPTA団体等で構成する道学校保健審議会をはじめ、大学、保健所等の専門家の意見を伺いながら、コロナ禍における教育活動の在り方について検討し、学校への助言を行っているところ。

 修学旅行をはじめとする学校行事においては、健康観察表を活用した日常的な体調管理の徹底を図り、安全・安心な活動となるよう指導しているところである。

 今後は、各学校に対し、感染対策等に係る必要な情報を迅速に提供するとともに、状況に応じて必要な指導を行うことなどを通して、各学校が衛生管理マニュアルを踏まえつつ、効果的・効率的な感染予防対策を提供できる体制を整えながら、各教科の学習活動や給食等の食事を取る場面、卒業式等の学校行事、部活動など、日常の教育活動を可能な限り実施し、さらに充実することができるよう支援していく。

D佐々木委員 学校としては、子どもたちの健康を守ることが最重要なことであるが、子どもたちにとっては、学校生活の中で学校行事や部活動、勉強などを制限なくできることが重要である。できる限りリスクを軽減しながら、活動が制限なくできるように取り組んでいただくことをお願いする。

Q佐々木委員 感染症の専門家からは、この冬は新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザが同時流行する可能性が極めて高いとの見通しも示されており、医療の逼迫の恐れや発熱時の対応なども心配されている。

 道教委では、どのように対応するのか伺う。

A今村健康・体育課長 インフルエンザとの同時流行への備えについて。国では、4年10月13日に、医療関係団体や学術研究機関等で構成する、新型コロナ、インフル同時流行対策タスクフォースの第1回会議を開催し、この冬には、新型コロナウイルスと季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されるとして、保健医療体制の強化、重点化や感染対策の考え方を示したところである。

 道教委としては、過日、文科省から発出された通知を踏まえ、児童生徒や教職員の日常的な健康観察を継続的に行い、体調が優れない場合には、出勤、登校させないこと、3つの密の回避や人と人との距離の確保、マスクの着用、手洗い等の手指衛生、換気等を適切に行うこと、学校医や学校薬剤師等と連携しながら取り組むことなど、基本的な感染対策を徹底するよう、各道立学校および各市町村教委にあらためて通知したところ。今後とも、国の動向等を踏まえながら、必要な情報の発信と継続的な指導助言に努めていく。

Q佐々木委員 当面は、この冬を乗り越えていくことが大変重要と考えるところ。各学校が感染対策に万全を期すことができるよう、道教委としてどのように取り組んでいくのか伺う。

A唐川学校教育監 この冬に向けた感染対策について。本道では、これまで新型コロナウイルスの感染者数が冬期間で増加傾向にあることや、海外における季節性インフルエンザの流行状況などを踏まえると、この冬は、これらが同時流行することも懸念されると承知している。

 このため、道教委としては、各学校に対し、基本的な感染対策の徹底について指導することはもとより、寒冷な時期においても換気を徹底することの重要性を踏まえ、引き続き、道総合研究機構と連携し、冬季における効果的な換気の方法等について周知するとともに、専門家と共に学校を訪問し、感染対策の助言を行う、感染症対策改善セミナーを実施するほか、こうした取組の成果を広く普及するなどして、学校における感染拡大の防止と学校教育活動の継続の両立を図り、子どもたちの健やかな学びの保障に努めていく。

(道議会 2023-04-07付)

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