千歳市　新規に医ケア児支援事業 利用施設に看護師派遣 本人と家族負担緩和へ

（市町村 2023-07-05付）

　千歳市は、児童福祉に関わる新規事業として、医療的ケア児支援事業を展開する方針を示した。医療的ケアを日常的に必要とする児童とその家族の負担を緩和すべく、児童が利用する事業所等に看護師を派遣し、医療ケアを提供する計画だ。

　３年９月に施行された医療的ケア児支援法の第５条が地方自治体の責務を明記した点を受け、市は本格的に医療的ケア児支援の準備を始めた。

　２年度「厚生労働省医療的ケア児者とその家族の実態調査報告書」のアンケート結果によると、日常生活上の課題として「登校や施設・事業所を利用するときに付き添いが必要である」に「当てはまる」「まあ当てはまる」と回答した家族は６割を超えており、いわゆる「動ける医療的ケア児者」を抱える家庭において高い傾向が見られた。

　また、日々の負担を軽減するために必要なサービスをみると「送迎時の移動支援」や「学校や通所サービスにおける看護の支援」ニーズが高くなっており、医療的ケアを有することで家族が付き添いを求められる場合が多い状況も明らかになった。

　今回の支援事業は、医療的ケア児と保護者が抱える負担を緩和することを目的として、本年度から新規に開始するもの。

　具体的支援として、医療的ケア児が利用している障がい児通所支援事業所等に訪問看護ステーション等から看護師を派遣。たん吸引や経管栄養、導尿など一人ひとりに必要な医療的ケアを提供し、その費用の一部を支援する。

　このほか、関係機関による協議会の運営や、医療ケア児が利用可能な福祉サービス等をまとめたガイドブックの作成、配布を行うとしている。

　こども療育課の松本純子課長は「医療的ケア児に対する支援は、まだ様々な課題があることから、引き続き当事者のニーズに応えられるよう努めていきたい」と述べている。

(市町村 2023-07-05付)