幕別町 5年度教育行政執行方針 幕別小校舎 整備方向性を検討 小中一貫教育推進に向け(市町村 2023-07-05付)
菅野教育長
【帯広発】幕別町教委の菅野勇次教育長は、第2回町議会定例会において5年度教育行政執行方針を説明した。小中一貫教育の推進に向け、幕別小学校校舎の施設整備の方向性を早急に結論付けることを表明。ナウマン象記念館では解説パネルの設置などの更新工事を実施するほか、6年度の建設に向けたアイヌ文化拠点空間整備事業の生活館棟の実施設計に着手する。
執行方針の概要はつぎのとおり。
▼豊かな人生を育む生涯学習の推進
百年記念ホールや町民会館、札内コミュニティプラザや忠類コミュニティセンターなどの施設を活用し、生涯学習施策を展開する。学習情報の効果的な発信や地域の特性、年齢階層などを考慮した生涯学習講座等の充実に取り組み、生涯学習を通じた幅広い世代の交流を促進し、様々な学習機会を提供する。
図書館では、5年度からの6ヵ年計画「第4期町子どもの読書活動推進計画」に基づき、地域全体で連携し、子どもの読書環境の整備を図る。本年度は「第6次町生涯学習中期計画」の最終年度となることから、町民ニーズの変化や課題を捉え、次期の計画策定に取り組む。
▼生きる力を育む学校教育の推進
▽学校教育の充実
小中一貫教育の推進については、小・中学校の協働による学園内の児童生徒の習熟度分析を行う。各学園で教科や時数を具体化させた年間計画をもとに乗り入れ授業を推進する。
不登校への対応強化では、学園内で不登校が心配される児童の指導計画を検討するなど情報共有を図り、保護者への働きかけを協働で行う。登校不安の解消のため、生徒指導の機能を生かした学習指導など具体的な取組を実施する。
保護者や外部機関との連携強化では、スクールカウンセラーや子どもカウンセラーによる授業参観や校内生徒指導研修等への同席、PTA研修会での講話など、生徒指導のチームの一員として活用する。
特別支援教育の充実として、進路を見通した適切な目標設定と教育課程を編成。小・中学校担当者と保護者による面談や情報共有によって支援方針や指導内容の点検、充実に努める。通常学級に在籍する特別な配慮を必要とする児童生徒の学習や学校生活を支援するため、小学校6校に36人、中学校3校に7人の特別支援教育支援員と、昨年度に引き続き、医療的ケア児を支援するため小学校1校に看護師1人を配置する。
コミュニティ・スクールの推進については、各学園において、9年間で目指す児童生徒の資質、能力の育成について、地域で担うことを焦点化する。
一体的に進めている地域学校協働活動については、既存の活動を整理し、教育計画などに具体的に位置付け、活動経過等の積極的な発信によって、新たな活動につなげる。
学校における働き方改革の推進については、校務支援システムの効果的な活用を通して、校務の効率化による教職員の事務負担の軽減を図る。業務の平準化や時間外在校等時間の縮減に努め、生み出された時間を活用し、児童生徒指導の充実や職能向上を目指す。引き続き学校事務補助員を小学校5校、中学校4校に1人ずつ配置する。
中学校の部活動は、生徒にとって望ましい部活動の在り方や地域移行等について町部活動地域移行検討委員会で検討を進める。
▽学校給食
栄養教諭を中心とした指導、農協青年部との連携などによって、食に対する指導の充実に努める。地場産食材を活用したまくべつの恵み給食の提供を通じ、安心・安全で栄養バランスの取れたおいしい給食を提供する。
▽高等学校への支援
幕別清陵高校は、これまでの各種学校活動等に対する支援に加え、道内外の大学の教授による出前授業や学生との交流を通して、学習に対する考え方や自主的・主体的な生徒会活動、地域貢献について学び、地域への誇りと愛着を持ち、地域の未来を担う人材を育む高校となるよう支援に努める。
昨年、開校10周年を迎えた中札内高等養護学校幕別分校は、町内の福祉関係団体や経済団体等で組織する地域協力会と連携し、引き続き就労促進につながるよう支援する。
▼青少年の健全育成の推進
自然体験や郷土幕別の歴史など幅広い学習機会を通して、ふるさと館ジュニアスクールや学び隊などの事業を継続する。家庭、地域、関係機関の連携を図り、子どもたちを守り育てていく活動を推進する。
町PTA連合会や町児童生徒健全育成推進委員会、子ども会などの活動を支援し、未来を担う青少年が心身ともに健やかに育つ環境づくりを推進する。
▼芸術・文化活動の振興
百年記念ホールの指定管理者である特定非営利活動法人まくべつ町民芸術劇場と協働・連携を図り、優れた芸術文化に接し、体感できる鑑賞機会を提供する。
▼歴史的文化の保存・伝承
ふるさと館やナウマン象記念館の特長を生かし、郷土の歴史や文化等を学習する場としての活用を図る。6年度に着手する保存改修工事の準備によって、4月に閉館した蝦夷文化考古館の展示資料を有効活用するため、ナウマン象記念館や百年記念ホールで開催予定のアイヌ文化講演会に合わせ、移動展示を開催する。
ナウマン象記念館の展示物については、開館から35年が経過し、近年の研究成果などで化石発掘当時の学説が変わったことから、現在の学説に沿って解説パネルや一部の展示を変更する改修工事を行う。映像コーナーなどの機器類の更新工事を実施する。
町アイヌ施策推進地域計画に基づき、6年度建設を予定している生活館棟の実施設計、木彫や刺繍などのアイヌ文化体験講座、アットゥシ製作技術体験講座等を実施するため、幕別アイヌ協会やマクンベツアイヌ文化伝承保存会などの関係団体と連携を図り、進める。
▼健康づくりとスポーツ活動の振興
町応援大使や日本体育大学などの関係機関等と協力・連携を図り、子どもの運動・スポーツを支えるための講演会やオリンピアンの学校訪問、応援大使とのイベントや大学のスポーツ合宿誘致事業などを実施する。アスリートと創るオリンピアンの町創生事業を展開し、町民ニーズの変化や課題を捉え、第1期幕別町スポーツ推進計画の次期計画の策定に取り組む。
▼国内交流や国際交流の推進
国内交流については、埼玉県上尾市、神奈川県開成町および高知県中土佐町と小学生の派遣・受け入れの相互交流を毎年実施。コロナ禍の影響を受け2年度から中止したが、4年度は中土佐町と派遣、受け入れの相互交流を再開。本年度は、開成町と中土佐町からの受入を実施し、町からも上尾市に児童10人を派遣する準備を進める。
海外研修事業については、受入校メルローズハイスクールと協議が整った。本年度は、中学2年生16人と幕別清陵高校1年生3人をオーストラリアのキャンベラ市へ派遣。6年度からオーストラリアからの生徒の受入を再開し、派遣と受入体制に万全を期す。
(市町村 2023-07-05付)
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