マイスター・ハイスクール運営委 育成すべき人物像共有 静内農高自走に向け協議(学校 2023-07-11付)
多くの成果を確認するとともに、指定終了後の在り方について協議した
【苫小牧発】道教委は6月上旬、静内農業高校とオンラインで5年度第1回マイスター・ハイスクール運営委員会を開いた。3ヵ年の指定最終年に当たり、これまでの経過を確認するとともに、指定終了後の「自走」の在り方を協議。指定終了後の授業支援や産業界との施設等を活用する関係性の構築等に向け、育成すべき人物像の共有や連携体制の構築を図ることとした。
委員長の大野克之新ひだか町長をはじめ、委員の倉本博史教育長、生田泰日高振興局長、水野治道経済連合会専務理事、鈴木一由酪農学園大学教授らが参加した。
開会に当たり大野委員長があいさつ。「マイスター・ハイスクールの指定も3年目となり、生徒の変化が感じられる。本年度は集大成として検証を行っていきたい」などと述べた。
続いて、マイスター・ハイスクールCEOの桑名真人静内農業高副校長が2年目の事業経過、3年目の事業計画、事業終了後に向けての取組などを説明した。
2年目の事業経過では、夏季休業を活用した町外(主に札幌方面)での実践的な企業実習など、デュアルシステムを活用した地域の企業等と連携したキャリア教育の充実や、日本中央競馬会(JRA)からプロジェクト学習に関する指導助言を受けるなど、プロジェクト学習を中核とした教科等横断的な地域課題探究型の学習活動を推進。
探究型学習については、本年度から3年次の課題研究を1人1テーマとし、個別指導を行うこととした。
馬事コースでは、競走馬の生産、育成、販売に至る学習はJRA等と連携し、内容や実施方法などは「完成に近い」と評価。加えてウマをより良く成長させるため飼料や牧草、土壌についても学ぶこととした。
同校ではマイスター・ハイスクール事業実施から入学者数が増加傾向で、特に馬事コースのある生産科学科は大幅に増加。これに伴い大学(農学・獣医学部)希望の生徒も増えていることから、学校設定科目「応用英語」「応用数学」を導入。夏休みから1・2学年で1単位ずつを実施し、受験に係る学力の育成を図ることとした。
このほか本年度は、専門的知識・技能を有する職業人材を活用した講義・実践的研修、ICT等を活用している農業施設等の視察研修、産業界や農業関連施設・大学等の施設見学や実習・施設の共同利用、特別支援学校と連携した乗馬交流(馬セラピー)の実証研究、デュアル派遣実習・農業インターンシップ、産業界等と連携した食品に関する新たな商品開発・販売、収益活用のシステム構築などを計画している。
課題として「将来、地域のために貢献したい」と考え行動できた生徒の割合が目標の80%を下回る53・7%にとどまったことから、静内川流域の1次産業の生産現場や付加価値向上の取組を実際に見て、地域の方から話を聞くなどの機会を充実させることを検討。
食品科学科の商品開発では、科学的・分析的な手法も活用し、さらなる商品に磨き上げるため、酪農学園大や道総研食品加工研究センターなどと連携し、開発された商品の分析方法を習得する。
生産科学科園芸コースでは、将来にわたって営農活動を続けるための環境負荷の少ない栽培技術の習得のため、バイオ炭を教材に持続可能な農業についての学習を強化する。
マイスター・ハイスクール指定終了後の「自走」に向けた取組では、新ひだか町や新冠町の中学校と連携し、先進地の調査や外部講師を招いての講演・演習、ICT活用の公開授業などを検討している。
馬事コースは入学者が倍増したことから、バスの利用費の増額について補助金の増額支援の要請を検討。
道経済連合会や在札企業との連携は、引き続き実施しつつ、旅費・謝金の負担軽減のためリモートの利用や内製化等を検討する。
農業に由来する環境負荷軽減や環境と調和の取れた食料システムの学習に向け、町、JA等と協議会方式で実証試験を実施。新ひだか町農業実験センターと同校の学校農場を実証試験ほ場として活用する計画。
新ひだか町が事業主体となった商品開発プロジェクトは4年度から3ヵ年の計画だが、マイスター・ハイスクール指定終了後も継続する。
今後は、研究成果の他の専門高校への普及が可能な体制を検討。学校ホームページやSNS、報道などを通じ、道内農業高校への普及・横展開を目指す。
またウマを専門とする獣医師、畜産指導者、農業教員が極めて少ないことから、担当教員の育成等を要請していく。
また、指定終了後の授業支援や産業界との施設等を活用する関係性の構築、地域・産業界とのエコシステムの充実に向け、育成すべき人物像の共有や新しい知識・技術を受け止めていける連携体制の構築を図る。
協議では、大野委員長が今後について「子どもたちのためになるように、役割分担など推進体制を検討していきたい」と話した。
(学校 2023-07-11付)
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