大学生が部活動を遠隔指導 蘭越中吹奏楽で試行開始 ICTで高度な奏法学ぶ
(学校 2023-07-24付)

蘭越中、吹奏楽部遠隔指導
タブレット端末を活用し、遠隔で大学生から指導を受けた

 【小樽発】蘭越町立蘭越中学校(久米達夫校長)は6月からタブレット端末を活用した吹奏楽部の遠隔指導を開始した。町教委が文化庁の実証事業の採択を受け、札幌大谷大学の協力のもとで試行しているもの。同大音楽学科の学生が1楽器1人のマンツーマン体制で技能水準の高い演奏指導を行っている。文化・芸術活動の体験機会の提供や指導人材の確保が全国的にも大きな課題となる中、新たな指導形態の可能性を模索している。

 同校の吹奏楽部は、少人数の中で多くの楽器が1楽器1人の体制となっており、先輩から奏法を学ぶ機会が少ない状況。このため町は4年度から教員退職者である部活動指導員を配置するなど指導人材の確保に努めているほか、休日の部活動の地域移行に向けた取組として土日に地域の吹奏楽愛好者3人による指導や交流を行っている。

 昨年10月には札幌大谷大と地域連携協定を締結。その一環として同大音楽学科の学生と教授から演奏指導を受けることとなった。遠隔指導は6月中旬から開始。グーグルチームを活用して楽器ごとに部屋を割り当て個人指導を受けた。最初は緊張の表情を見せていた生徒たちも、音の出し方や息遣いなどの基本的な指導に真剣に取り組み、きれいな音が出るとガッツポーズで大学生と意気投合する姿も見られた。

 ホルンを担当する伊藤舞雪さん(2年)は「知らなかったことを丁寧に教えてもらい、練習の仕方が変わった」と専門的な指導に感嘆の声を上げる。部活動指導員の松本佳世子さんは「指導経験のない楽器もあり困っていたが、今回の指導でその方法を学ぶことができた」とし、指導力の向上にも効果が期待される。

 一方初の遠隔指導では楽器の音響による音声トラブルもあり、急きょ使用する教室を増やして対応。スムーズな接続が困難だったため役場の職員が応援に駆けつけた。端末の電池切れを懸念し、予備機や充電ケーブルを用意するなど万全の体制で臨んだという。

 町教委の梅本聖孝教育次長は、高等教育機関がなく専門的知識を持つ人材も限られる地域の現状を踏まえ「ICTの活用で直接高度な指導を受ける機会を得られたことは子どもと地域にとって貴重なこと。地域移行を単に目的としないためにも、子どもたちに魅力ある活動の機会をしっかり提供できるよう、教育委員会と学校が主体となって取り組んでいきたい」と力を込める。

 遠隔指導は本年度計3回実施し、8月26日には対面指導や成果発表の演奏会を行う予定。町教委は今後、今回の事業で見えてきた諸問題を整理し、新しい指導形態の可能性について検討を進める方針だ。

(学校 2023-07-24付)

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