札幌藻岩高　平和を考える授業　安心できる世界築こう　ウクライナ出身者招き交流

（札幌市 2023-08-02付）

札幌藻岩高平和を考える授業

　市立札幌藻岩高校（尾﨑茂樹校長）は７月中旬の２日間、同校にウクライナ出身のヤシンスカ・オレナさんとパスコ・フェーディアさん、日本航空高校北海道の橋詰典明教諭を招いて、平和について考える授業「グローバルシティズンシップ」を行った。３年生１１人が参加し、ウクライナの文化や歴史、ロシアによる侵攻に関する体験談などを聞き、国際交流に花を咲かせた。

　学校設定科目内の選択講座「グローバルシティズンシップ」の一環。世界市民としての教養やモノの見方を養うことを目的に、多文化共生や世界の諸課題について学習するもの。

　１２日は、オレナさんとフェーディアさんがウクライナに関する基礎知識を紹介。「明るい空と金色の麦畑の国」をテーマに、言語や四季、自然環境、伝統的な料理や民族衣装などについて、写真や映像を交えながら説明した。

　このあと、２グループに分かれて交流。生徒たちは、２人に質問を投げかけ、コミュニケーションを楽しんだ。

　１９日は、ロシアによる侵攻に関する講話を行った。ロシア軍の攻撃によって破壊された建物の写真を見せ、浸水を引き起こしたことなどの被害状況を説明。地下室に避難した４８日間の生活では、食料や薬、電気などが尽きた中で耐え忍んだ経験を話し、ロシア兵に銃口を向けられた際には「生きる希望を失った」と心情を吐露した。

　日本に避難した経緯に続いて、平和を自分事として見つめ直し「どこに住んでいても誰もが安心して生活できる世界を築いていこう」と呼びかけた。

　橋詰教諭が「平和について～ウクライナの状況を受けて」と題して講演。紛争解決に必要な４ステップを解説し、日本の現状を見つめ直した。平和を暴力不在の状態と定義し「直接的暴力、構造的暴力、文化的暴力の撲滅を目指して、行動する姿勢を持つべき」と訴えた。

　生徒から、インターネットの誹謗中傷を例に挙げ「暴力には様々な形がある。身近な人と話したり伝えたりして考え直すことが大切」と感想が上がった。

　９月には課題研究調査として、これまでの学習からテーマを設定。探究を深め、発表を行う予定。

(札幌市 2023-08-02付)