高校配置計画地域別検討協〈日高〉 放課後活動の充実が鍵 希望する進路実現が必要
(道・道教委 2023-08-04付)

 【苫小牧発】道教委は7月中旬、オンラインで第2回公立高校配置計画地域別検討協議会(日高学区)を開催した。高校の魅力化等について協議し「地元の子が地元で学べることが大切」との声が多数上がった。また魅力ある高校になるため「国公立大を含め希望する進路を実現できること」や、生徒数減少の中「部活動など放課後の活動をいかに充実させられるかがキーとなる」といった声が出された。

 学区内の小中高校、PTA、教育委員会、経済団体などから約40人が参加。冒頭、日高教育局の行徳義朗局長があいさつし「本日は、道教委の高校配置計画についての考え方や、今後検討すべき事項を説明し、多くの意見をお聞きしたい」と述べ、忌憚のない意見を求めた。

 続いて、高校教育課の担当者が説明。「日高学区では中卒者の6割以上が地元高に進学している」「9~12年度に60人の中卒者減が見込まれる」「5年度の欠員は学区全体で151人に及んでいる」などの実態や、6~8年度の計画案について説明した。

 協議では、中高の連携や進路指導について意見を交わし、浦河町立浦河第一中学校の水上義則校長は「例年本校では8割近くが浦河高校に進学するが、3年生全員が1日体験入学を行うほか、小・中学校の校長会議に毎回浦河高の校長先生に来ていただいており、普段から様々な情報をいただいている」「現2年生は3年生より30人ほど少なく、来年度の高校入学者は30人近く減ることになる」などと述べた。

 浦河高の齊藤雄大校長は「小・中の校長会には私が、教頭会には本校の教頭が伺い、生徒の状況や道の教育動向などを説明している」としたほか「小学校高学年向けの学校説明会を計画している。特に保護者は総合学科に対する認識が少ないため、児童・保護者に理解を深めていただく」などと述べた。

 また、浦河町立浦河東部小学校の中島主税校長は、親としての立場も踏まえ「小中高と地元で進学していけることが大切。どれが欠けても困る」「高校生になってもまだ中身は子ども。地元の高校に通い、全人教育を行うことが大切だと思う」などと述べた。

 再び高校教育課が高校の魅力化に向けた取組について説明したあと、協議。

 えりも高校の木村嘉延校長は「高校の魅力は、自分の進路が実現できるかが一つ。本校は町から加配があり、大学進学から就職までカバーできるのが強み。中高合同会議で日常的に中高の連携も図られる」と。

 えりも町教委の川上松美教育長は「えりもの子はえりもで育てるという方針に町民からは感謝されることが多い」「地元で高校生活を送りつつ、かなりの生徒が自らの進路を実現していると自負している。令和13年くらいには生徒数がかなり厳しくなるが、えりもで勉強しても進学・就職できるということを示しながら、町を挙げてできるだけえりもで子どもを育てられる環境を保っていきたい」と述べた。

 富川高校の尾崎慎一校長は「保護者・生徒が一番関心を持っているのは進路。国公立大を含め、中学生が描いている進路を実現できるよう授業改善を行っている」と。

 課題として「部活動をやりたい子が多いが、1間口だと教員は10人前後で十分に対応できない」ことを挙げ「放課後の活動をいかに充実させていくかが進学率を上げるキーになると思う。地域と連携し、部活動にこだわらず放課後の活動の充実を模索している」と述べた。

 平取高校の鈴木浩校長は「全国募集にシフトし、アイヌ文化など多様性と共生・協働を学ぶ。アイヌの施設や行事は町の歴史であり財産であり魅力そのもの。それを生かしていきたい」「まずは周知し全国から生徒を集めたい。道内からも来てほしい」と期待した。

 日高高校の大木康弘校長は「全国から来た子が総合的な探究の時間、地域の人と一緒に課題に取り組んでいる。住民も高校生の感性に刺激を受け、生徒も視野を広げている」との成果を紹介した上で「管内の中学生に魅力をもっと分かりやすくアピールできるよう情報発信に努めたい」などと述べた。

 最後に、傍聴者の大谷賢也北教組日高支部副支部長が「生徒数の減少は課題ではあるが、35人以下学級を進めることで少人数学級として充実した教育を行える」「部活動は既存の枠にとらわれず、地域の方や中学生と一緒に行う放課後活動などとして検討してはどうか」などとしたほか、高校配置計画について「当事者である子どもの生の声を聞く場も設定してほしい」と求めた。

(道・道教委 2023-08-04付)

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