道教委 帰国・外国語児童生徒支援連絡協 言葉の力どう評価する 文科省アドバイザーが講義 (道・道教委 2023-08-07付)
道教委は7月28日、オンラインで帰国・外国語児童生徒等教育の推進支援第1回連絡協議会を開いた。文部科学省外国人児童生徒教育アドバイザーで大阪大学大学院人文学研究科の櫻井千穂准教授が帰国・外国人児童生徒等の教育の在り方について講義。自身が出会った様々な外国人児童生徒の事例を紹介し、子どもと大人の言語習得は異なること、日本語教育の知識だけで外国人児童生徒を指導することはできないことなどを指摘した。
同協議会は、日本語指導が必要な帰国・外国人児童生徒等が自信と誇りを持ち、生き生きとした学校生活を送ることができるよう受け入れ体制の整備や特別な教育課程、日本語指導の在り方について理解を深め、指導力の向上を図ることで各地域や学校における支援の充実につなげるもの。
日本語指導が必要な児童生徒等が在籍する幼稚園、小・中学校、高校、特別支援学校の教職員、市町村教委の職員ら約80人が参加した。
協議会の説明に続き、櫻井准教授が「帰国・外国人児童生徒等の教育~ことばの力をどう評価するか」をテーマに講義した。
櫻井准教授は、公立学校における日本語指導が必要な児童生徒数の推移やOECDのPISA調査の結果を示し、日本語指導が必要な児童生徒が10年間で約1・8倍増えていること、世界的に移民の子どもの読解力はネイティブの子どもに比べて低い傾向にあることなどを提示。「日常会話がある程度できても、教科学習言語能力につながる読書力の獲得は難しい現実が子どもたちの前に立ちはだかっている」と指摘した。
また、自身が出会った外国人児童生徒の様々なケースを紹介。その上で「子どもと大人の言語習得は異なる。習得順序、学習方法、心の発達など、日本語教育の知識だけでは子ども(外国人児童生徒)は教えられない」と説いた。
このほか、文科省の外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント(DLA)における実施・評価方法について解説。「DLAによる評価の目的は子どもの日本語の力を点数化・序列化することではない」とし「子どもの実態を多角的・包括的に捉えること、子どもが一人で何ができるか、支援を得て何ができるかを見極め、指導支援に役立てること」と整理した。
その上で、DLAを活用することで得た情報を子どもの指導・支援に当たる人々で共有し、子どもの成長を見守る一助とするよう期待を寄せた。
このあと参加者で「日本語指導が必要な児童生徒等への指導・支援の充実に向けて」をテーマに交流・協議した。
第2回協議会は、9月29日に実施予定。日本語指導の方法や外国人児童生徒等への進学・キャリア支援についての講義、個別の指導計画の作成に向けた演習などを行う。
(道・道教委 2023-08-07付)
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