道国公立幼・こども園協が研究大会 遊びの重要性力強く発信 個々に寄り添った保育充実
(関係団体 2023-08-04付)

道国公立幼・こども園協全道大会
道国公立幼・こども園協全道大会

 道国公立幼稚園・こども園協議会(佐藤公文会長)は7月31日、ホテルライフォート札幌で第1回全道研究大会および第71回全国国公立幼稚園・こども園協議会北海道大会プレ大会を開催した。全道各地から92人が参集し、オンラインからは86人が参加した。研究発表や分科会協議のほか、記念講演を行い、幼保小の円滑な接続や一人ひとりに寄り添った保育の充実を図った。

 協議会は本年度、道国立幼稚園・こども園長会(道園長会)と道国立幼稚園・こども園研究会(道幼研)が統合し、発足したもの。研究主題「子どもの未来への架け橋となる幼児教育~今こそ、遊びの重要性の力強い発信」のもと、家庭や地域と協働し、小学校以降の学校教育への確実な接続に向けて、各園の実践の充実を期している。

 開会に当たり、佐藤会長があいさつ。コロナ禍の3年間を振り返り「日常の幼児教育がいかに大事かを再認識した。今後の教育実践に生かし、遊びの重要性を力強く発信していこう」と呼びかけた。

 道教委の倉本博史教育長は、新組織が歩み出したことを祝し「幼児期の遊びの在り方等に関する研究は意義深い。本道の幼児教育の課題解決に多くの示唆が得られるものと力強く感じている」と述べた。

 札幌市教委の檜田英樹教育長は、札幌市の幼児教育との共通点に触れ「遊びを通した幼児期の学びや小学校以降につながる子どもの育ちを支えることが重要」と語り、次年度の全国大会に期待を寄せた。

 研究協議・分科会では「教育・保育」「幼小の円滑な接続」「子育て支援」「特別支援教育」について発表した。

 教育・保育では「乳幼児期にふさわしい育ちを求めて~乳幼児が伸び伸びと生活するための保育者の役割とは」と題して、訓子府町認定こども園の硯見直美保育教諭が発表。同園の特徴と実態を踏まえた研究成果から、0~5歳児の異年齢でのつながりを広げる必要性や未満児と以上児の遊びを共有することの難しさを実感。遊びの様子を動画や画像で共有し「保育者支援や環境構成の工夫につなげたい」と語った。

 幼小の円滑な接続では「子どもの育ちがつながる・ひろがる幼保小の架け橋」を主題に、認定こども園中西別幼稚園の西塚奈美園長が発表。別海町立中西別中学校区内でコミュニティ・スクールを組織し、幼小中共通テーマ「目指す子ども像」にのっとりキャリア教育を軸とした連携を進めている事例を紹介した。

 子育て支援では「子どもも家庭も笑顔になる子育ての支援~“○○ちゃんのものがたり”の実践」をテーマに道教育大学附属旭川幼稚園の櫻井和湖教諭が発表。園児一人ひとりの日々の成長を伝える広報誌「○○ちゃんのものがたり」を作成する活動を紹介し、園児の成長を園と保護者が共有できる取組を重要視していることを示した。

 特別支援教育では、研究主題「一人ひとりに寄り添い、共に育ち合う園生活」のもと、札幌市立はまなす幼稚園の櫻井有紀教諭が発表。互いが影響し合いながら、学んだり成長したりする「育ち合い」をキーワードに、園児が自己と他者を知るために支援することや肯定的な接し方を意識することなど、教師が持つべき視点を示した。

 分科会後は、共立女子大学家政学部児童学科の田代幸代教授が「子供らしく遊びこむ幼児期の教育を創る~国公立幼稚園・こども園の役割とは」と題して、記念講演。未来人材ビジョンとして、時代の変化に合わせて教育も転換する必要があると説明し、学びあふれる遊びの姿や子ども中心の保育の重要性を説いた。

 質の高い遊びを創り出し、子どもの思いを実現する環境づくりや対話的な保育の実践を呼びかけた。多様な子どもを受け入れる幼児教育モデルを示し「保護者や地域に開かれた学びの場を目指すべき」と訴えた。

(関係団体 2023-08-04付)

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