校長会長インタビュー 第18回 “学び続ける校長”として(関係団体 2023-08-03付)
中村俊緒会長
―会長就任に当たっての抱負
十勝小・中校長会は、校長の職能向上と会員相互の連絡調整ならびに、十勝教育の振興を図ることを目的として活動している。本会には、昭和44年に設定された「豊かな人間性をもち、たくましく生きる子供が育つ学校を創造しよう」「子供一人一人の学ぶ喜びが大きく育つ学校を創造しよう」「十勝の風土に教育を進める生きた学校を創造しよう」という実践指標がある。その基盤となっているのが「子供の成長の歴史に責任を負うという態度」である。
そのことを踏まえ、本年度は「学び続ける校長」をテーマに掲げ、校長会の活動をスタートした。今、子どもたちに求められている資質・能力を着実に育成するためには、先頭に立って校長自らが「学び続ける」ことが大切だと考えている。
―管内教育の特色
「晩成社」に代表される開拓魂と進取の精神が十勝の教育会に脈々と流れ続けている。多くの民間教育団体や教科研究団体の活動が盛んであり「研修の秋」には、全ての教科サークルが一堂に会する合同研究会が開催されている。管内・全道規模の研究大会も毎年のように開催される。また、管内全町村に教育研究所が置かれ、地域の現状や課題を踏まえた教育研究を推進している。
さらに、70年の歴史がある十勝教育研究所では、町村教育研究所と一体となって取り組んでいる共同研究や、先導的な実践に取り組んでいる教員による協力員研究が推進されている。これは、十勝ならではの教育実践力を示すものである。
―管内の教育課題と対応
人材育成が大きな課題である。現在、十勝教育局が中心となって「とかち小・中学校教職員人材育成基本方針」を作成し、取組を進めているが、校長会としても、教育局、教育委員会、十勝教育研究所、十勝教育研修センター等との連携を図りながら、教職員の資質・能力向上やミドルリーダーの育成に取り組んでいく。
また「管内校長研究大会」「とかち採用校長研修会」「とかちスクールリーダー育成セミナー」等の取組にも力を入れていく。服務規律の保持・徹底も図りたい。
管内ではここ数年、教員によるわいせつ事故、体罰、交通事故など学校教育の信頼を失う事案が発生している。校長会としても、喫緊の重要課題と受け止め、帯広市校長会と連携した年2回の「不祥事防止対策強化月間」を設けるなど、コンプライアンスの徹底を図っていく。
このほかにも、働き方改革の推進、GIGAスクール構想の推進、新たな研修制度の導入など、やるべきことは多いが校長会としての役割を果たすよう努めたい。
―アフターコロナへの対応
「5類感染症」に移行されたが、まだ先が見えにくい状況であり、今後も校長同士のつながりを大切に、スピード感を持った情報共有を図っていきたい。校長が孤立し、立ち行かない学校をつくらないことが、校長会の役割と認識している。また、前年度は、管内校長研究大会の内容を一部縮小して開催したが、本年度は分科会協議を復活させるなど、コロナ前の日程に戻し、職能向上を図っていきたい。
―教育信条
「目の前の子どもたちの姿は、われわれの指導の結果である」ということを大切にしている。つい、思うようにいかない子どもの姿があると、子どものせいにしたり、保護者のせいにしたりしがちだが、それではいつまでも改善は見込めない。子どもの成長を目指すためには、諦めずに、自分自身に目を向け、指導の改善、生徒との関わりの修正、保護者との連携の再構築等を図る必要がある。そのためには、子どもたちに関わるわれわれ自身がいつまでも学び続けなければならない。
十勝小・中校長会会長 中村俊緒氏
昭和62年仙台大卒。美幌町立美幌中を振り出しに教諭として3校、教頭として陸別町立陸別中など3校、平成26年から校長として新得町立富村牛小中、中札内村立中札内中、足寄町立足寄中を経て令和5年から現職の池田町立池田中校長。
昭和39年8月21日生まれ、58歳。女満別町(現大空町)出身。
(関係団体 2023-08-03付)
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