全日本盲学校教育研究道大会 子の可能性を引き出す 講演や分科会 160人研鑚(関係団体 2023-08-01付)
全日本盲学校教育研究道大会
第98回全日本盲学校教育研究大会・北海道大会が7月27日から2日間、札幌視覚支援学校(野戸谷睦校長)を会場に開かれた=写真=。研究主題「“新しい時代の創り手を育む”~持続可能な令和の日本型盲学校教育の構築」のもと、フリークライマーの小林幸一郎氏による講演や5つの分科会による研究協議を実施。道内外を合わせて約160人が集い、子どもたちの可能性を引き出す教育の推進、個別最適な学びの充実を目指して研鑚を積んだ。
主催は、全日本盲学校教育研究会と全国盲学校長会。参集とオンラインのハイブリッドで開催した。
初日の開会式では、大会長を務める全日本盲学校教育研究会の郡司弘子会長があいさつ。視覚障がい教育における山積する様々な課題を挙げ、大会を通して、これからの未来を切り開いていく子どもたちの可能性を引き出す教育の探究、個別最適な学びの充実と専門性の継承から発展につながる研究・協議に期待した。
続いて大会運営委員長として札幌視覚支援の野戸谷校長が登壇。「社会の変化には、主体的に向き合って関わり合うことが大切」とし、具体的な方策の一つとして「新しい時代に向かって研究的であり続けること」を挙げた。
来賓あいさつでは、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課の森田浩司特別支援教育調査官が永岡桂子文部科学大臣の祝辞を代読。文科省が進めている特別支援教育を進展させていくための取組を報告した上で、障がいのある子どもの自立と社会参加に向けた教育の充実が図られるよう引き続き理解・支援を求めた。
NPO法人モンキーマジック代表理事・一般社団法人日本パラクライミング協会共同代表でフリークライマーの小林氏が「ライフ・イズ・クライミング~見えない壁だって、越えられる」と題して講演した。
小林氏は、28歳の時に発覚した「網膜色素変性症」によって両目の視力を失ったが、競技選手としてパラクライミング世界選手権を4連覇するなどの功績を残しており、現在も現役として活躍している。また、道内や全国の盲学校を訪問し、子どもたちと触れ合いながらクライミングの楽しさを伝えている。
講演では、クライミングに出合ったきっかけや世界7大陸の最高峰を制覇した全盲クライマーのエリック・ヴァイエンマイヤー氏との出会いなどを回顧。「クライミングと向き合うことで失いかけていた自信を取り戻し、新しい可能性に気付けた」と振り返った。
また、人生において大切にしているキーワードとして「プチチャレンジ」「即動力」の2点を提示。「小さな挑戦が自分の人生を大きく変えることにつながる。自分が少しでもやってみたいと思うことがあったら悩まず即動くことが大事」などと説いた。
講演後①学習指導1②学習指導2③生活④特別支援⑤理療―の5つの分科会による研究協議を実施。2日目は、引き続き研究協議を行い、未来を切り開く子どもの可能性を引き出す教育の在り方を探った。
(関係団体 2023-08-01付)
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