校長会長インタビュー 第16回 愛情と信頼に基づく活力ある学校経営
(関係団体 2023-08-01付)

―就任に当たっての抱負

 オホーツク管内校長会は、昭和47年の設立以来、52年間にわたり管内教育の充実・発展と心豊かでたくましい児童生徒の育成に鋭意努力を続けてきた。歴史と伝統ある本会の会長を仰せつかり、身の引き締まる思いである。管内は18の市町村に小学校71校、中学校43校、小中併置校1校、義務教育学校4校が設置されており、地理的にも広域で学校数が多いのが特徴である。

 これまで各市町村校長会との緊密な連携によって確かなネットワークを構築してきた。意思伝達の速さと実行力をさらに高め「チームオホーツク管内校長会」として歴代の先達が築き上げてきた成果をより強固なものにすることを目指している。

―管内教育の特色

 オホーツク管内は極寒のイメージが強いが、知床世界自然遺産に代表される自然豊かな地域であり、古来、オホーツク以北に居住する北方民族からは、流氷が南下して行き着く「南の楽園」と呼ばれていた土地である。沿岸地域では縄文文化、オホーツク文化、アイヌ文化等の遺跡が分布しており、内陸部は雄大な大雪山に隣接し、ことし6月に国宝に指定された遠軽町の「北海道白滝遺跡群」を有している。

 また、ロコ・ソラーレが市の顔となった北見市は「カーリングの聖地」と言われるようになり、多くの児童生徒が2つのカーリングホールで冬季オリンピック種目に挑戦している。地域の自然や史跡、生物、人材、施設等を活用し、特色ある地学協働の取組を展開できることがオホーツク教育の強みであり、この強みを最大限に生かして知徳体のバランスの取れた児童生徒の育成を図っている。

―管内の教育課題と対応

 教育委員会協議会教育長部会とオホーツク教育局、そして本会の3者で進める「オールオホーツクで学力向上を!」の取組は7年目を迎えた。全ての学校が共通のロードマップを活用した検証改善サイクルに取り組むことで、管内全体で授業改革と組織力の向上を目指している。また、北見市の3校、網走市の4校が学校力向上総合実践事業に取り組んでいる。

 本年度は「ICTを活用した教育の充実」と「ICTを活用した働き方改革」を重点に実践を積み、これらの成果を共有することで管内教育の充実・発展を目指していく。さらに、教職員の職能向上に大きく貢献している機関として「網走地方教育研修センター」がある。毎年多くの研修講座や研修会議が開催され、管理職を目指す者が減少する中、研究員や講師を経て教頭や指導主事の道に進むことも多く、オホーツクにおける人材育成の拠点となっている。

―アフターコロナへの対応

 コロナ禍においては、感染拡大への対応、行事の取り組み方、部活動の対外試合など、迅速で確実な情報共有に努めてきた。また、管内校長会教育研究大会をハイブリッド方式で開催し、各種会合や研修会においても、これまで常識とされてきたことをちゅうちょなく変更してきた。本年度もこれらを継続させながら、研究大会等については参集することを目指している。

 学校教育においてはICT機器の活用を日常化させることを軸に、感染対策を徹底しながら取り組んできた「個別最適な学び」と「協働的な学び」を深化させ、全ての児童生徒の可能性を引き出す教育活動を推進していく。

―教育信条

 「我以外皆我師」。

 これまで出会った生徒や保護者、地域住民、職場の同僚が数多くの気付きを与えてくれた。教師である以上自分の考えは正しいと思うべきだが、固執せず学ぶ姿勢を持ちながら丁寧に対応することも大切であると考える。

 人に限らず、自然やモノ、出来事などは自分を成長させてくれる糧と捉え謙虚な姿勢を心がけていきたい。

オホーツク管内校長会会長 德増 秀隆 氏

 昭和63年日本体育大卒。津別町立本岐中を振り出しに、端野町立端野中、北見市立小泉中に勤務。平成23年紋別市立上渚滑中教頭、26年網走市立第二中教頭、28年北見市立上常呂小校長、30年北見市立留辺蘂中校長、令和2年網走市立第一中校長、本年度から北見市立小泉中校長、オホーツク管内校長会会長を務めている。

 昭和39年4月14日生まれ。59歳。北見市出身。

(関係団体 2023-08-01付)

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