校長会長インタビュー 第17回 一人ひとりの子を大切に
(関係団体 2023-08-02付)

帯広市校長会伊賀会長
伊賀真美会長

―会長就任に当たっての抱負

帯広市校長会は、昭和8年の創立以来、全市公立学校の責任者で組織する会として、帯広ならではの特色ある学校経営をまい進してきた。ことしは、新型コロナウイルス感染症が5類に移行して以来、学校行事や体験活動が活性化するなど“4年ぶりの”教育活動が展開されている。全てを以前のままに戻すのではなく、子どもを中心に据えた学校行事で、新たな学校像を構築していく必要がある。今期、会長を務めるに当たり「新しい時代の学校教育の創造改革」という、大きな使命を肝に銘じている。

 帯広市校長会は39校1万1500人の児童生徒が、小・中学校の生活を通して、持続可能な社会と幸せな人生の創り手となる力を育むことを目指す。1000人の教職員が心理的安全性のある職場で「働き方改革」を進めながらチーム力を発揮できるように全力を尽くす。微力ながら、会長としてその道筋を示していきたい。

―市内教育の特色

 帯広市は中学校区を核とした幼保小中のエリア・ファミリー構想を基盤として小中一貫教育の推進を図っている。前年度には大空学園義務教育学校が開校し、9年間を通した連続的・系統的な教育の充実をけん引する存在となっている。

 より良い地域づくりに関わる子どもを育てるため、2年度から全小・中学校で「おびひろ市民学」を始めたことも特色の一つ。義務教育9年間を見通したプログラムに基づき「ふるさと帯広」が有する豊かな自然や歴史・文化・産業について子どもたちの理解を深めるため積極的に取り組んでいる。

―市内の教育課題と対応

帯広市では「主体的・対話的で深い学び」の視点に立った教育や教職員の業務の効率化を一層推進するため、教育DXを重点的に進めている。

 本年度は不登校児童生徒の多様な学びの機会確保を図るほか、プログラミング学習教材の導入など、教育環境を整備している。市内全校で導入されたコミュニティ・スクールの活動を通して、地域と協働する体制を整えている。「子どもを主語」とした学びの充実、学校給食を生かした食育の推進、特別支援教育に関わる教職員の専門性の向上など、課題は多岐にわたっている。

 市校長会として、小・中学校別に学校経営・教育課程・教育課題・生徒指導・危機管理委員会の研究委員会を設置し、毎月の定例会議で課題究明や解決に向けた取組を推進している。校長が自主的で自律的な学校経営を行うための基盤となり「令和の日本型学校教育」を力強く推進していきたい。

―アフターコロナへの対応

 帯広市では市教委と教職員からなる「市立学校における行事の在り方検討プロジェクト」(令和3年)の答申に基づき「市学校教育活動についての考え方」が提示・更新されている。感染症対策とともに「働き方改革」の視点から、運動会や体育祭、学習発表会や文化祭など、新しい時代の学校行事の在り方について方向性が示され、本年度の行事もスムーズに運営することができた。

 校長会としては、これらの内容について、教育効果を最大限生かせるような取組を市教委と共に考え、実現に向けて動いている。

―教育信条

「一人ひとりの子どもを大切に」。初任者の時代から、子どもたち一人ひとりを大切にすることを心がけてきた。近年、社会が大きく変化する中、子どもたちが育つ環境や保護者の価値観も多様化している。全ての子どもが愛されるべき存在であり、一人ひとりが家庭や社会にとって大切な存在であることは、今も昔も変わらない。

 4月からこども家庭庁ができ、こども基本法も動き始めている。学校、家庭はもちろん、専門性のある関係機関や地域と連携して、子どもたちの命や心などを守る場でありたい。いじめや不登校、ヤングケアラーの問題など課題は山積みだが、全ての子どもが大切にされる社会を目指し、子どもを守り育てる中核として、学校が魅力ある環境となることを校長会の仲間と共に目指していきたい。

帯広市校長会会長 伊賀真美氏

 昭和61年道教育大旭川校卒。帯広市立広陽小を振り出しに、平成28年広野小校長、令和3年明星小校長、4年帯広市校長会副会長、道小学校長会副会長を経て、ことし現職。

 昭和39年2月17日生まれ、59歳。帯広市出身。

(関係団体 2023-08-02付)

その他の記事( 関係団体)

校長会長インタビュー 第19回 学び続ける姿勢を大切に

釧路市小中学校校長会校長会長インタビュー ―会長就任に当たっての抱負  常に子どもの幸せを願い、時代の要請に応える課題に向き合い、長年にわたり先輩諸氏が引き継いでこられた歴史と伝統のある釧路市小中学校校長会の会長の任に当たり、身の...

(2023-08-04)  全て読む

校長会長インタビュー 第18回 “学び続ける校長”として

校長会長インタビュー中村会長 ―会長就任に当たっての抱負  十勝小・中校長会は、校長の職能向上と会員相互の連絡調整ならびに、十勝教育の振興を図ることを目的として活動している。本会には、昭和44年に設定された「豊かな人間...

(2023-08-03)  全て読む

電子教材作成に着手 ほっかいどう学推進フォーラム 総会開き事業計画決定

 認定NPO法人ほっかいどう学推進フォーラム(新保元康理事長)は7月28日、札幌国際ビルで5年度(第5期)通常総会を開き、次期学習指導要領の告示に向けて、小学校向けデジタル教材の作成に着手す...

(2023-08-02)  全て読む

「未来を創る」実践交流 旭川で北理研研究大会

北理研旭川大会会長あいさつ  【旭川発】道高校理科研究会(北理研、村田一平会長)は7月31日から3日間の日程で、旭川北高校を主会場に第66回研究大会を開催している。全道から理系科目の専門教諭を中心に132人が参加し、実...

(2023-08-02)  全て読む

ほっかいどう学第5回シンポジウム 子が愛着持つこと重要 高校教育と土木テーマに

ほっかいどう学シンポジウム  ほっかいどう学推進フォーラム(新保元康理事長)は7月28日、札幌国際ビルで第5回シンポジウムを開催した。「教育と土木でつくる北海道の未来~高校生、動く、考える!」をテーマに、基調講演やパネ...

(2023-08-02)  全て読む

全日本盲学校教育研究道大会 子の可能性を引き出す 講演や分科会 160人研鑚

全日本盲学校教育研究道大会  第98回全日本盲学校教育研究大会・北海道大会が7月27日から2日間、札幌視覚支援学校(野戸谷睦校長)を会場に開かれた=写真=。研究主題「“新しい時代の創り手を育む”~持続可能な令和の日本型...

(2023-08-01)  全て読む

校長会長インタビュー 第16回 愛情と信頼に基づく活力ある学校経営

―就任に当たっての抱負  オホーツク管内校長会は、昭和47年の設立以来、52年間にわたり管内教育の充実・発展と心豊かでたくましい児童生徒の育成に鋭意努力を続けてきた。歴史と伝統ある本会の会...

(2023-08-01)  全て読む

校長会長インタビュー 第15回 職場と教室に心理的安全性を

宗谷校長会・藤田会長 ―会長就任に当たっての抱負  前年度に引き続き宗谷校長会会長の任に就いている。本年度の宗谷校長会の運営方針はつぎの3点である。  ①校長としての使命を自覚し、自らの職能向上に努めると同時...

(2023-07-31)  全て読む

A―bank北海道が新サービス プロアスリートが部活動を指導 8月7日説明会 9月提供開始

 A―bank北海道は、9月からアスリートによる指導メソッドをパッケージ化した「部活動地域移行に向けた指導パッケージサービス」の提供を開始する。対象は陸上競技、バレーボールなど7種目で、プロ...

(2023-07-28)  全て読む

校長会長インタビュー 第14回 “子どもは教師の鏡”意識し

校長会長インタビュー・留萌管内小中学校長会・石田正樹会長 ―会長就任に当たっての抱負  「令和の日本型学校教育」の構築やGIGAスクール構想の具現化、教育DXなど教育の大きな転換期を迎えている中、歴史と伝統ある留萌管内小中学校長会を代表する立場と...

(2023-07-28)  全て読む