校長会長インタビュー 第23回 教育は人なり、人は心なり
(関係団体 2023-08-10付)

校長会長インタビュー(札幌市中学校)
小澤保範会長

―就任に当たっての抱負

 社会構造の変化や急速な技術革新等による多様な教育的ニーズに応じた指導の充実、家庭や地域との連携の一層の推進など、持続的で魅力ある学校教育の実現が求められている。

 このように教育界が大きな変革期を迎える中、札幌市中学校長会は、この2年間で約半数の校長が入れ替わった。校長会としても各校長が学校運営において適切な判断を下し、難局においても互いに支援し合えるよう、情報の共有とこれまで以上の連携強化を図り、100人の校長同士の「つながり」と「信頼」を大事にしたいと考える。

 また、複雑化・多様化した今日的課題の解決に向け、研鑚を積んでいくことは重要である。前年度、札幌で開催した「全日中研北海道(札幌)大会」での経験や学びを生かし、研究基本主題「新たな価値を見出し、持続可能な社会を創る力を育む札幌市中学校教育」のもと、本年度から始まった3ヵ年継続研究を丁寧に推進していきたい。加えて、魅力ある学校づくりのための働き方改革も急務であり、これらの実現のために会長としての職責を全力で全うしたい。

―市の教育の特色

 札幌市の教育が目指す人間像「自立した札幌人」の育成に向け、「人間尊重の教育」を基盤とし、子ども一人ひとりが「自分が大切にされている」と実感できる学校づくりを進めている。

 さらに、子どもたちがつくった全市共通の子どもの合言葉「さっぽろっ子宣言」をもとに、集団づくりや社会に主体的に参画する「さっぽろっ子自治的な活動」を推進している。

 また、札幌市学校教育は「ふるさと札幌における学び・成長に誇りをもてる教育」を統括として位置付け「家庭や地域とともにある学校づくり」「知・徳・体の調和のとれた育ち」「札幌らしい特色ある学校教育」「子どもの発達への支援」「信頼される学校の創造」「教科等の枠組みを超えた教育」を重点としている。

 特に5年度は、包括的重点として「さっぽろっ子“学び”のススメの活用」「小中一貫した教育の推進」「ICTを活用した教育の推進」を掲げ、全ての学校で取組を進めている。さらに「札幌らしいコミュニティ・スクール」の在り方検討委員会が設置され、地域と一体となって子どもたちを育む仕組みづくりがスタートしている。

―市の教育課題と対応

 「不登校への対応」「いじめの防止」「休日部活動の地域移行」「教職員の働き方改革」など課題は山積している。本市教育委員会と連携し、各校において丁寧に粘り強く課題の解決に向けて取り組んでいる。また、本会は管理部、施設部、研究部、指導部、保健体育部、進路指導部、特別支援教育部の7つの部で構成されており、会員全員がそれぞれに所属するとともに、諸課題の解決に向けて研鑚を深め、校長としての職能の向上を目指している。

―アフターコロナへの対応

 コロナ禍においては、学びを保障するために感染対策をしながら内容や方法を工夫しながら教育活動を進めてきた。この3年間の経験を生かし、コロナ禍前に行っていたことの必要性や妥当性などを検証し、創造的かつ持続可能な教育課程の編成とともに、学びの質を向上させる取組を推進する。校長会の会議や研修会等は、オンライン開催も適宜活用し、校長ができるだけ自校において業務に当たれるよう工夫していきたい。

―教育信条

 「教育は人なり、人は心なり」を心に留めて教師を続けてきた。情熱と愛情を持って子どもたちに向き合い、温かく育てていきたい。そのためにも、職場では、教職員それぞれの良さを引き出しながら、みんなが気持ち良く仕事ができる雰囲気づくりを大切にしている。

札幌市中学校長会会長 小澤 保範 氏

 昭和61年道教育大札幌分校卒。札幌市立稲陵中を振り出しに、平成28年手稲中校長、30年屯田北中校長、令和3年から現在の北辰中校長。

 昭和38年5月3日生まれ、60歳。池田町出身。

(関係団体 2023-08-10付)

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