校長会長インタビュー 第22回 子の成長、教員の力量向上へ努力
(関係団体 2023-08-09付)

校長会長インタビュー徳田
札幌市小学校長会・徳田恭一会長

―会長就任に当たっての抱負

 札幌市小学校長会では、本年度「札幌市の教育が目指す人間像“自立した札幌人”の実現に資するよう、校長としての役割と指導性の研鑚など、職能向上に努め、本市教育の振興に寄与する」を運営方針として掲げている。

 3年間にわたる感染症対応の知見を踏まえて、これからは、コロナ禍の最中でも、その前の状況でもない、新たな教育課程の再編成に、創造的な視点を持って取り組まなければならない。

 また、時期を同じくして、教育現場には「ICTを活用した教育の推進」「一人一人の教育的ニーズに応じた学びの支援の推進」「学校における人材育成や働き方改革等の推進」等、様々な変革の波が押し寄せている。

 加えて、札幌市の教育に関わっては「“人間尊重の教育”の推進」「札幌らしいコミュニティ・スクールを見据えた小中一貫した教育」などについて、引き続き取り組む必要がある。

 直面する課題は非常に多く多岐にわたる。校長としての判断力・決断力が一層求められる中、職能の向上に努めなければならない。

学校の最高責任者として、会員が、主体的・自律的に判断し実行することに資する、研鑚の場、情報共有の場、相互連帯の場として機能する校長会でありたい。微力ながら力を尽くしていきたい。

―市の教育の特色

 「令和5年度札幌市学校教育の重点」では、まず、重点の基盤として「人間尊重の教育」を位置付けている。「一人一人が自他の生命を尊び、互いにかけがえのない人間としての尊厳や個性、多様性を認め合い、あらゆる偏見や差別をなくし、支え合う温かい人間関係の構築」と定義されている。

 その基盤の上に「さっぽろっ子“学び”のススメの活用」「小中一貫した教育の推進」「ICTを活用した教育の推進」という3つの包括的重点、および「知・徳・体の調和のとれた育ち」「札幌らしい特色ある学校教育」「子どもの発達への支援」「信頼される学校の創造」など各重点が設定されている。

 本年度から、新たに重点として「家庭や地域とともにある学校づくり」が加わった。これは、従来進められてきた「小中一貫した教育の推進」の将来を、札幌らしいコミュニティ・スクールの実現へと結び付けていくことを意図したものと受け止めている。

 各校においては、これらの方針に基づいて、学校経営方針の策定や、教育課程の編成を進めている。

―市の教育の課題と対応

 本会では、重点の基盤である「人間尊重の教育の推進」を本市の課題と受け止め、学校経営の充実、研修活動の充実、組織の充実・強化を図っている。

 具体化の観点となる「学ぶ力の育成」「豊かな心の育成」「健やかな体の育成」「学びの支援」「教育環境の充実」「人材の育成」に沿って、6つの専門部を組織し、校長の役割と指導性に係る考え方を深める研究・研修を行っている。

 また、区ごとの10支部ごとの研修会では、各専門部の研究成果を交流するとともに「直面する喫緊の課題」「地域、或いは、近隣校ごとに対応を検討すべき課題」についての協議を積み重ねている。

―アフターコロナへの対応

 まず、機関会議である理事研修会と、事前の事務局研修会について、大幅なオンライン会議の導入を図った。半分以上の会議がオンラインによるものとなった。使用する資料も、ファイルサーバー内に格納したデータを、各自が引き出し準備する形とした。このような体制を確立することによって、会議の効率化、準備の負担軽減、費用の節減を実現することができた。

 年2回行われる総会・研修会については、4月総会を会同とオンラインとのハイブリッド形式とし、参加する会員の負担軽減を図った。

 2月総会・研修会は、全員会同を基本としている。「会員相互の連帯と協調」を築く最も大切な機会である。本年度は3年ぶりに会同開催を予定している。

 札幌市が掲げる「小中一貫の教育の推進」については、前年度、新たに「小中引継に関する課題の改善」に向けて、札幌市中学校長会と連携してプロジェクトチームを立ち上げ検討を進めている。

―教育信条

あえて言葉に表すなら「至誠一貫」である。子どもの成長のため、教職員の力量向上のため、自分に何ができるのかを常に意識して取り組んできたつもりである。まだまだ及第したとは言えない。残された期間も努力を続けていく。

札幌市小学校長会会長 徳田 恭一 氏

 昭和61年道教育大札幌分校卒。札幌市立大通小を振り出しに5小学校で勤務。平成27年新陽小校長、30年資生館小校長、令和3年白楊小校長。

 昭和39年3月29日生まれ、59歳。日高町出身。

(関係団体 2023-08-09付)

その他の記事( 関係団体)

垣根越えて活発に交流 道高校教頭・副校長会オホ支部研究協

北見北斗高校教頭会夏季研究協議会  【網走発】道高校教頭・副校長会オホーツク支部(中西正志支部長)は8月初旬の2日間、北見北斗高校で夏季研究協議会を開いた。管内高校・特別支援学校の副校長・教頭ら約30人が参加。研究発表や講話...

(2023-08-16)  全て読む

道高校長協会家庭部会が研究協 生活を創造する力育成 森高、小樽水産高が実践発表

道高校家庭科教育研究協議会  道高校長協会家庭部会(古市俊章部会長)は1日から2日間、札幌市内のかでる2・7で第72回道高校家庭科教育研究協議会を開催した。全道各地から94人が出席し、研究主題「よりよい生活を創造する力...

(2023-08-16)  全て読む

上川管内いじめ対策連絡協が会合 学校全体で組織的対応 不登校児童生徒支援充実など

上川教育局いじめ等対策協議  【旭川発】上川管内地域いじめ問題等対策連絡協議会は7月24日、上川合同庁舎で5年度第1回会合を開催した。オンライン参加を含めて管内の教育委員会や校長会、PTA連合会などから関係者47人が出...

(2023-08-10)  全て読む

校長会長インタビュー 第23回 教育は人なり、人は心なり

校長会長インタビュー(札幌市中学校) ―就任に当たっての抱負  社会構造の変化や急速な技術革新等による多様な教育的ニーズに応じた指導の充実、家庭や地域との連携の一層の推進など、持続的で魅力ある学校教育の実現が求められている。 ...

(2023-08-10)  全て読む

北特研と北斗高支が道南地区大会 個別最適な指導充実へ 部会別協議 130人が研鑚

北特研道南大会  【函館発】道特別支援教育研究協議会(山本貴路会長)と北斗高等支援学校(澤田崇史校長)は7月31日、第45回道南地区大会兼全道研修会兼北斗高等支援学校夏季研修会を同校で開催した。会員および特...

(2023-08-09)  全て読む

北小英研 5年度総会 11、12月に研究大会 役員改選 関会長を再任

 道小学校英語教育研究会(北小英研、関敏明会長)は7月24日から5日間、5年度総会を紙面開催した。11月に第65回道小学校・中学校・高校英語教育研究大会、12月に第1回道小学校英語教育研究大...

(2023-08-08)  全て読む

全国特支知的障害教育校長会が大会 共生社会の実現目指し 栗山氏講演や7分科会など

全国特別支援学校知的障害教育校長研究大会北海道大会  全国特別支援学校知的障害教育校長会、道特別支援学校知的障害教育校長会主催による第46回全国特別支援学校知的障害教育校長研究大会北海道(札幌)大会が3日から2日間、ホテルライフォート札幌で開...

(2023-08-08)  全て読む

校長会長インタビュー 第21回 横糸に会員連携、縦糸に小中一貫

―就任に当たっての抱負  前年度に引き続き、会長の大役を担うこととなった。責任の重さに、身の引き締まる思いである。  本会は令和5年1月、名称を根室管内小中学校校長会から、根室管内校長会...

(2023-08-08)  全て読む

北私幼 第65回研究大会 社会に開かれた教育を 子と向き合う毎日過ごして

北私幼研究大会  道私立幼稚園協会(北私幼、近藤宏会長)は1日、ホテル札幌ガーデンパレスで第65回教育研究大会を開催した。大会テーマ「新しい時代を伸びやかに生きる~社会に開かれた質の高い幼児教育を」のもと、...

(2023-08-07)  全て読む

魅力ある食育推進へ 釧路で学校給食研究大会

 【釧路発】第64回道学校給食研究大会釧路大会が7月28日、釧路市内の生涯学習センターまなぼっとで開かれた。道内の栄養教諭や調理員、教育行政職員ら約200人が参加。大会主題として設定した「魅...

(2023-08-04)  全て読む