道倫研　第５７回研究大会　公共の見方・考え方探る　観点別評価の在り方等中心に

（関係団体 2023-08-21付）

道倫研第５７回研究大会

　道高校「倫理」「公共」研究会（道倫研）は９日、札幌市内のかでる２・７で第５７回研究大会を開いた。大会主題「公民科“公共”における指導と評価のあり方について～学びを深める授業の実践と観点別評価のあり方を中心にして」のもと、講演や高校生・保護者意識調査報告、授業実践発表などを実施。約６０人が参加し、公民科「公共」における社会的な見方・考え方の在り方を探った。

　開会式では、鈴木究会長代行があいさつ。新学習指導要領の実施が２年目となり、「公共」に続いて「倫理」の授業が各学校で本格実施されていることに触れた上で「本日は公共の授業のあるべき姿について皆さんと一緒に考え、熱い議論を展開したい」と期待した。

　引き続き、千葉大学人文科学研究院の山田圭一教授が「“公共”的な見方とは何か～学習指導要領を哲学的に問い直す」をテーマに講演した。

　はじめに、新科目「公共」の創設の経緯や「公共」指導要領の問題点と評価すべき点を解説。評価すべき点の一つとして「各教科における見方・考え方」を取り上げた。

　見方は①必ず自己中心的なもの②概念所有によって変化するもの③想定される背景によって変化するもの―と定義。その上で「“公共”的な見方とは、今自分（生徒）のいる地点から遠近法的に開けるもので、新しい概念のもとで見ることや異なるシステムのもとで多層性に見ることを可能にする見方」と整理した。

　最後に、これまでの公民科の議論について「各教科において知識・思考・対話のどれが大切なのかなどの問われ方をされることが多かった」と回顧。その上で「各教科や科目の学習を通じて、固有の“見方・考え方”を獲得し、深めていくことが重要」とし「公共科目の設立目的を達成するために、生徒たちが実際に出合う出来事を公共的な見方で見ることが必要」と説いた。

　講演後には、本年度道倫研高校生および保護者意識調査について報告したほか、札幌創成高校の渡辺祥介教諭と名寄高校の濱中聡志教諭が実践発表。また、公民科「公共」の授業における「社会的な見方・考え方」について研究協議を行った。

(関係団体 2023-08-21付)