札幌美園小と陵陽中　合同研修会　９年間の育ち考える　授業公開やグループ討議等

（札幌市 2023-09-08付）

札幌美園小と陵陽中合同研修会

　札幌市立美園小学校（古川恵美子校長）で８月２４日、陵陽中校区第２回小中合同研修会が行われた。小中一貫した教育に向けて、東山小学校と陵陽中の教職員が同小を訪問。全学年の授業公開や、授業・学習に焦点を当てたグループ討議を通じて、９年間を通した子どもの育ちに必要な取組について共通理解を図った。

　市では、義務教育段階において「知・徳・体の調和のとれた育ち」の充実を図り、小中一貫した教育を全市的に実施している。

　陵陽中校区のグランドデザインでは、目指す子ども像を「わかる・できる・楽しいという思いをもち関わり続ける子ども」と設定。①課題探究的な学習（各教科および生活科・総合的な学習の時間）②発達の段階に応じた継続的な子ども理解―の２つの柱に沿って、前期（小１～４）、中期（小５～中１）、後期（中２・３）に合わせた取組を行っている。

　この日は、１～６年生およびあじさい学級の国語、算数、外国語、道徳、総合的な学習の時間を公開。

　うち５年１組道徳（山田智史教諭、児童数３９人）では「集団の中での役割」を考える授業を展開した。

　めあては「自分の行動を決断する時、どんなことを考えますか」。児童たちはポスター作りとリレー練習の板挟み状態に置かれたケンタを想定し、ケンタが取るべき行動や心情を考えた。

　山田教諭が「あなたがケンタの立場ならば、どのように行動するかな？」と投げかけると、児童たちは積極的に挙手し、自分の意見を述べた。

　ポスター作りを優先する意見として「作成の締め切りが当日中だし、自分の仕事を他の委員に任せるのは申し訳ない」「今までリレーの練習をしていたことでぎりぎりになっているから、ポスター作りに集中した方がいい」などと発表。

　山田教諭は、リレー練習を優先する意見も尊重しつつ、他の図書委員がどのように感じるかについても考えさせた。「自分の考えを言うときは、相手の立場に立って考えることも大切。これからの生活に生かして」と呼びかけた。

　授業後は、低・中・高学年ごと、特別支援、養護教諭に分かれてグループワーク。この日は、記録的な猛暑だったことを考慮し、参加校の校長あいさつを省略。各教室で分散型協議を行うなど大幅な時間短縮が実施された。

　開始に当たって、古川校長が「グランドデザインの実現に向けて、活発に意見交流して」と期待を述べた。

　高学年ブロックでは、山田教諭のムーブノート活用やコの字型の座席配置を話題に、利点や課題点を共有。人前で発表することが苦手な児童も安心して発表できる一方で、タイピングに不慣れな児童への対応や学習と無関係なコンテンツの規制などが挙がった。

(札幌市 2023-09-08付)