国研教育課程検証協力校の札苗緑小 “感受”足掛かりに対話 志民氏招き音楽3授業公開
(札幌市 2023-09-11付)

札苗緑小授業公開
札幌札苗緑小授業公開

 国立教育政策研究所の教育課程実践検証協力校・札幌市立札苗緑小学校(石川篤司校長)は4日、同校で授業公開を行った。国研の志民一成教育課程調査官を招き、音楽の3授業を公開。6年生の授業では「ハンガリー舞曲第5番」を題材に聴き取ったこと、感じ取ったことを交流し、音楽の良さや面白さを感じさせる授業を展開した。

 同校は本年度、教育課程実践検証協力校として音楽に関する研究を推進している。

 「音楽との出合いの場面で“感受”を足掛かりにし、聴き取ったことや感じ取ったことについて音や音楽、言葉によるコミュニケーションを積み重ねることによって主体的に音楽を表現したり、進んで音楽に関わったり、音楽を愛好したりする子を育成することができる」と研究仮説を立て、年間指導計画の在り方に関する研究などに取り組んでいる。

 公開した授業のうち、6年1組「曲想の変化を感じ取ろう」(児童数37人)は、専科教員の小西正一郎教諭が指導。ブラームス「ハンガリー舞曲第5番」の鑑賞を通して、速度や強弱などの曲想の変化を聴き取り、感じ取ったことを言葉で表現する活動を設定した。

 小西教諭は導入で、前時で取り扱った「ラデツキー行進曲」を強弱などの変化に着目しながら振り返り、児童たちは手拍子しながら鑑賞。つぎに、本時の題材「ハンガリー舞曲第5番」を同じように鑑賞させた。児童たちから「さっきより慌ただしい」「手拍子が間に合わない」など課題につながる発言を引き出し、ラデツキー行進曲とは違う“しかけ”があることを想起させた。

 その上で「ブラームスはどんなしかけをつくったのかな」と課題を提示。曲を3つのブロックに分けて鑑賞し、聴き取ったこと(知覚)、感じ取ったこと(感受)を交流させた。

 曲の中間部分では「逃げて隠れての繰り返しに聞こえる」「ゆっくりしているところは優雅な感じ」「急に速くなって追いかけられる感じがする」などのイメージを出し合った。小西教諭は曲想の変化に着目し、速度や強弱の急激な変化とその反復という“しかけ”によってイメージが引き出されていることに気付かせた。

 授業後の研究討議で、札幌市教委の河合博子指導主事は、評価との関連などをより明確にした年間指導計画の見直しを図ったことに触れ「教材を教えるという観点から脱却し、身に付けさせる資質・能力の育成につながるもので非常に意義のある提案。年間指導計画を活用し、6年間で系統性のある学習を実現させて」と述べた。

 志民調査官は、小西教諭の授業について「一番驚いたのは、知覚と感受を分けて考えさせていたこと。これは日頃からやっていなければできない」と評価。また「子どもたちの感受が豊か。普段から先生が子どもたちの考えを大切にしてきたことがうかがえた」と話した。

 このあと、志民調査官が「生活や社会の中の音や音楽と豊かに関わる資質・能力の育成に向けた授業づくり」と題して講演した。

(札幌市 2023-09-11付)

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