端末活用し学び質向上で札幌日新小 組織的実践へGIGA部 実践事例集やDX通信など
(札幌市 2023-10-02付)

日新小GIGA部の取組
実践事例集を手にする保科教諭

 1人1台端末導入から3年目を迎えた札幌市立小・中学校。発展の段階に入った本年度は、各校がICTを活用した学びの質向上へ汗を流す中、日新小学校(三浦恵校長)はGIGA部を立ち上げ、組織的な実践の定着・充実を図っている。1学期に行われた校内での実践を収集した事例集作成や、教職員の日々の悩みの解決になればとDX通信を発行。子どもたちのICTを活用した主体的な学びの実現へ、全教職員が一丸となって取り組む風土の醸成に努めている。

 市教委が昨年12月に実施したICT活用に関するアンケート結果では、端末活用による楽しさを感じる一方で、自分なりに調べたり伝えよう・表現しようとしたりする姿が課題に上がった。

 同校も例外ではなく、「思考・判断・表現の場面で苦手意識を感じる子どもたちに、教職員全員でアプローチする」必要性を痛感。本年度は、アンケートの各項目の数値5ポイント以上アップを教職員41人の共通目標に掲げ、新たに教員3人で構成するGIGA部を立ち上げた。

 リーダーを務めるのは保科陽教諭。同校では、若手や中堅、ベテランを問わず、端末を活用しようと思考を巡らせる熱心な教諭が多い。一方で「個々の実践が共有されていなかったり、ICTが得意な先生が転勤すると技術が継承されなかったりする懸念があった」と明かす。同様の課題を感じていた三浦校長に、組織的な実践推進の必要性を訴えた。

 まず、5月の連休明けから「日新DX通信」の発行を始めた。日々寄せられる同僚からの相談や自らの体験をもとに、予約投稿の活用やカメラアプリの使用方法、共有フォルダの作り方、クロームブックから直接紙に印刷する方法などといったハード活用から、アナログとデジタルの使い分けの必要性、子の主体的な活用を促す意識定着を呼びかけるコラムを連載。8月末までに14回発行した。

 同時に、校内での実践事例収集に着手。低学年の生活科や図工、中学年の理科や社会、国語、体育、高学年の外国語や家庭科、学級活動や、特別支援学級など、各教諭が1学期中に実践した37例が集まった。オクリンクやスクールタクト、クラスルームなどのアプリを活用した事例を、ICTの利活用に関する①興味喚起②理解促進③授業効率化④表現手段・思考手段拡充⑤情報共有手段拡充―など9つの目的に分類。一斉学習や個別最適、協働学習、学級経営、業務改善のどの場面で活用できるかをひも付けし、冊子にまとめた。

 かゆいところに手が届くコラムや、教職員がいつでも気軽に手に取ることができるよう工夫を凝らした事例集は好評だ。

 保科教諭は本年度を「発展していけるのかどうかを占う重要な1年」と捉える。事例集や校内研修での意見交換などをもとに「学年内での教材研究が進み、全体で子どもたちを育成しようとする意識が一層高まれば」と期待を寄せる。

 三浦校長は「校内での実践例やノウハウを積み上げ共有することこそが、ICT活用への意識やスキルの向上につながる」と力を込める。

 保科教諭は、2学期以降も実践事例の収集やコラム発行に努めるという。校内での活用意識が一層高まり、子どもたちの主体的な学びを促す実践が軌道に乗るまで、GIGA部の挑戦は続く。

(札幌市 2023-10-02付)

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