総合経済対策　重点事項案　デジタル人材育成へ新基金　不登校対策　前倒しを計画

（国 2023-10-13付）

　自民党文部科学部会は１１日、総合経済対策に盛り込む重点事項案を審議した。デジタル人材育成を強化するための基金の創設を盛り込み、５年程度をかけて１人１台端末の更新や義務教育・高校段階における拠点整備を遂行する。増加する不登校・いじめへの対応では、児童生徒の心身の状態を把握するＩＣＴの導入など、６年度に計画していた事業を前倒しして実施する。今月末をめどに取りまとめる補正予算案に反映させ、秋の臨時国会への提出を目指す。

　デジタル人材育成の強化に向けて創設する基金は主に①小・中学校における１人１台端末の更新②高校段階のデジタル人材育成強化③義務教育段階のデジタル人材育成強化④通信ネットワークの維持・整備―を想定。このうち端末の更新に当たっては先進自治体の故障率を踏まえて十分な予備機を含めて整備するため、全自治体が見通しを持って安定的に更新できるスキームの構築を図る。

　高校教育段階におけるデジタル人材育成の強化に向けては、ハイスペックパソコンや３Ｄプリンターなどデジタル設備を備えた拠点整備（仮称・ＤＸハイスクール）を複数年度をかけて支援する計画で、情報Ⅱの開設や文理横断的な探究学習の強化、外部人材の活用などを前提とする考えだ。

　義務教育段階においては、教育課程内外を通じて才能を発掘する「仮称・デジタルものづくりラボ」の全国的な整備を目指すほか、外部人材の活用を含めたデジタル課外活動への支援を行う。

　さらに、現状参加率がごくわずかにとどまっているプログラミングコンテストへの参加者の抜本的な増加を図っていく。

　また、校内ネットワークの十分な速度を確保するため、通信環境の維持・整備のための安定的な予算措置を図る。５年程度をかけてこれらの取組を進め、デジタル人材育成の強化を図っていく考え。

　生徒指導関連の施策をみると、国の４年度調査で不登校の児童生徒数やいじめ重大事態が過去最多となったことを受け、概算要求で盛り込まれた一部の施策を前倒しして実施する。

　具体的には、１人１台端末を活用して心身の変化やリスクを把握する「心の健康観察」の導入を全国で進めるほか、校内の教育支援センター（スペシャルサポートルーム）や教育支援センターの設置促進、さらにはスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等による早期支援を行うために必要な経費を求める。

　このほか、熱中症対策として普通教室や体育館における空調設置、休日の部活動の地域連携・地域移行、学校施設の老朽化対策・耐震対策などを重点事項として示した。

(国 2023-10-13付)