文科省地方教育行政功労者表彰 道内市町村8人に光 前大空町教委教育長・渡邊氏ら(国 2023-10-10付)
文部科学省は5年度地方教育行政功労者表彰(文部科学大臣)の受賞者を決定した。道内からは市町村教委の関係者8人が栄誉に輝いた。表彰式は12日、都内の文部科学講堂で執り行う。
表彰は昭和58年度から実施。地方教育行政においてその功労が特に顕著な教育委員会の委員または教育長を文科大臣が表彰しその功に報いるとともに、地方教育行政の発展に資することを目的とする。
文部科学省の5年度地方教育行政功労者表彰(文部科学大臣)の受賞者の功績概要はつぎのとおり。=敬称略=
▼渡邊國夫(前大空町教委教育長)
平成26年度に町立図書館のシステム更新を行い、小・中学校の学校図書館との間で網羅的に蔵書検索を行えるようにネットワーク化することで児童生徒の読書活動の充実に寄与した。
平成27~29年度までに女満別運動公園野球場の大規模改修工事を行ったほか、周辺体育施設の芝生も併せて更新することによって誰もが施設を安全・安心かつ快適に利用できる環境を整備した。
女満別高校と東藻琴高校の統合に尽力し、令和3年度に大空高校の開校を実現させたことによって町内の子どもたちの地元での進学を可能とするとともに、全国募集による生徒数の増加につなげるなど町の教育の発展に多大に貢献した。
▼北山陽子(前長万部町教委委員)
民生・児童委員としての活動経験を生かして保護者や地域住民の声にも耳を傾けながら委員活動を進め、平成29年度には全小・中学校にコミュニティ・スクールを導入するなど、地域に開かれ信頼される学校づくりを行った。
平成28年度に「シャクシャイン古戦場跡碑」を建立し、令和元年度には「シャクシャインロード事業」として、アイヌ民族への慰霊の意を表すパッチワーク旗の制作等を行うなどアイヌ文化の理解と普及に尽力した。
令和元年度からは学校教育活動以外で多様な体験の機会を児童生徒へ提供する「放課後みっけクラブ」事業の実施によって地域資源に注目した自然体験を通じて社会性を身に付けさせるとともに、放課後におけるふるさと教育の推進に貢献した。
▼河野髙好(前南富良野町教委委員)
町の郷土資料室の充実を図るために展示品を年代別に分類し、解説を各展示品に付記するなど町の歴史を後世に伝える基礎を築いた。また、平成20年度には町内の史跡マップを作成し、23年度からは年次的に標柱を設置して史跡巡りを開催するなど、町民が郷土を学ぶ環境づくりに貢献した。
町内の小学校5校を2校に再編するに当たり、26・28年度の校舎新築において特別支援学級児童用としてシャワー室や障害者用トイレを設置するなど、安全・安心な学校環境の整備に大きく貢献した。
28年8月の豪雨による堤防決壊によって市街地が甚大な被害を受けた際に、小学校が避難所として住民を支えた教訓を生かし、8月から10月までを重点期間として、町内全小・中・高校で防災学習や避難訓練を毎年実施するなど、防災教育の充実を図った。
▼清水義信(前余市町教委委員)
余市紅志高校に対し、各種資格取得や模擬試験受験に係る費用およびICT教育教材利用料の助成や町内施設活用のサポートを行うなど、魅力ある高校づくりの推進に貢献した。
日本国内において類を見ない岩壁に刻画を残すフゴッペ洞窟の保存に取り組むため、平成11~15年度までの間、岩体の変位や洞窟内外の環境調査を行うとともに、躯体の中性化対策、密閉度向上、照明環境の改善等の大規模な保存工事を実施し、文化財の保護に尽力した。
令和2年度からはインターネット機器を活用することで電子書籍をいつでも借りて読むことができる町電子図書館を開設し、学校教育との連携や、町民の読書活動の中心となる生涯学習利用の発展に寄与した。
▼小林悟(新冠町教委委員)
「レ・コードと音楽によるまちづくり」を推進する取組として、昭和音楽大学と提携し、中学校吹奏楽部への演奏指導を行うクリニック事業、認定こども園および小・中学校へのアウトリーチコンサート、町内音楽団体との交流によるパートナーシップコンサートを実施することによって町民各層が優れた音楽文化を体感する機会を創設した。
郷土資料館における自然や歴史・文化の伝承活動として、地元に伝わる伝説やエピソードなどを収集し作成した冊子「新冠百話」を活用した学芸員による授業協力やパネル展を開催するなど、ふるさと教育を推進した。
平成30年度には「給食費の無償化」を実施するとともに、食への感謝と食文化への理解を深める食育の取組として、地元産の農産物を取り入れた給食を教育委員が児童生徒と共に試食する学校訪問の実施に力を注いだ。
▼佐々木健一(前様似町教委委員)
江戸幕府が開削した蝦夷地初の官営の山道である「様似山道」について、歴史的・学術的に価値ある史跡として保存・整備を行うため、平成27~29年度までの3ヵ年計画によって「様似山道保存・整備事業」として各種調査および階段等の修復整備を実施し、歴史文化の継承に貢献した。
施設分離型の小中一貫校の様似小・中学校において、9年間を見通した中で児童生徒を育成するため、平成29年度から「6年生登校」として、小学6年生が中学校校舎に週1回身を置くことで入学後のイメージを持ち学ぶ意欲を高められるようにするなど、小・中学校の垣根を越えた児童生徒および教職員の意識改革に力を注いだ。
また、環境教育やふるさと学習などの複合的な視点を通して児童生徒の愛郷心を育む教育活動「ふるさとアポイ学」を推進し、教育活動の基盤として定着させた。
▼吉田孝志(北広島市教委教育長)
平成26年度にエコミュージアムセンター「知新の駅」を開設し、国指定史跡旧島松駅逓所および国の特別天然記念物野幌原始林の保存活用計画の策定など、貴重な遺産を次世代へ継承するための取組に尽力した。
平成30年度から全市一斉に小中一貫教育を導入し、将来の目標や成長過程を記録しキャリア教育につなげる「きたひろ夢ノート」の取組などが全国的にも高い評価を受け、令和3年度には「第16回小中一貫教育全国サミット」をオンライン開催した。
2年度にはスポーツに特化した計画となる「北広島市スポーツ振興計画」を策定し、北海道ボールパークFビレッジのあるまちとして、スポーツに親しみ元気あふれるまちづくりの実現に向けて多大な貢献をした。
▼高橋泰浄(美唄市教委委員)
美唄尚栄高校および美唄聖華高校が行う模擬試験の検定費用や部活動における交通費、宿泊費の支援、実習等に要する費用の助成制度および奨学金給付制度を導入し、高校の魅力化および教育の機会均等に大きく寄与した。
美唄市出身の彫刻家・安田侃の作品を展示する文化施設「アルテピアッツァ美唄」において平成25年にアートスペースの外部改修を行い、30年度からは専門スタッフによるガイドツアーを開催するなどより多くの方に展示物や施設の情報を提供できる環境整備に努めた。
26年度に市総合体育館の大規模改修工事を行い、29年度からは3ヵ年にわたり市営野球場の内外野グラウンドの排水対策、本部席およびバックスクリーンの改修を実施するなど、運動やスポーツを楽しめるまちづくりの推進に大きく貢献した。
(国 2023-10-10付)
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