不登校・いじめ緊急対策へ　文科省が施策パッケージ　端末ルールなど注意求める

（国 2023-10-19付）

　小・中学校の不登校児童生徒が約３０万人、いじめ重大事態の発生件数が９２３件と過去最多となったことを受け、文部科学省は１７日、不登校・いじめ緊急対策パッケージを発表した。端末を活用した健康観察の推進やＳＯＳ相談窓口の集約化など緊急に取り組む施策を整理。４年度の調査で明らかになった課題から学校・教育委員会が講じるべき対応と合わせて、同日付で都道府県教育委員会に通知した。

　国の調査によると、学校内外の専門機関で相談や指導を受けていない不登校児童生徒数が約１１万４０００人と過去最多となったことからつながりのない児童生徒に対する支援を強化。オンラインで自宅から学べるよう教育支援センターのＩＣＴ環境の整備を支援するほか、アウトリーチ機能を活用した自治体への支援を充実させる。

　また、端末のアプリを活用して児童生徒の心身の変化の早期発見・支援を行う「心の健康観察」を全国で推進。秋の臨時国会に提出する補正予算案に盛り込む見通し。

　併せて、４年度調査で明らかになった課題をもとに学校、教育委員会が講じるべき対応を周知。いじめを認知していない学校に関しては、放置されているいじめが多数潜在している可能性を懸念し、認知件数がゼロであることを児童生徒や保護者に公表・検証を仰ぐよう確認を求めた。

　また、インターネット上のいじめが増加していることから端末活用のルール作りや情報モラル教育の充実を要請。端末活用のルールの明確化や児童生徒間の共通理解を図るとともに、教員が書き込み内容の確認が可能な設定とするよう呼びかけた。

　いじめ重大事態の対応に当たっては、あらためていじめの認知と組織的対応の徹底を求めた。児童生徒や保護者から申し立てがあった場合、その時点での学校の考えにかかわらず「重大事態が発生したもの」として報告・調査に当たるよう、特に注意を求めている。

(国 2023-10-19付)