文科省 7年度全国学力等調査 中学校理科をCBT化 IRT活用 多問題で分析可能に
(国 2023-10-31付)

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IRTに基づく調査のイメージ(クリックすると拡大表示されます)

 文部科学省は7年度の全国学力・学習状況調査の中学校理科をCBTで実施することを検討している。児童生徒ごとに異なる問題を割り当て、問題の特性に応じて点数を算出する項目反応理論(IRT)を活用。他の教科に関しては従来どおり筆記形式で実施する。27日の全国的な学力調査CBT化検討ワーキンググループ第1回会議で明らかにした。

 IRTとは、児童生徒の正答・誤答が問題の特性(難易度、測定精度)によるものか児童生徒の学力によるものかを区別して分析し、学力のスコアを推定する統計理論。単一問題で正答率を集計していた従来の方式と異なり多くの問題を使用するため、幅広い領域・内容での調査が可能となるほか、調査日の複数設定によってネットワークのトラブルを回避できるメリットがある。また、問題の一部を非公開として次年度以降も出題する設計とすることで、各教育委員会・学校でも年度をまたいで学力を比較・分析できる。

 文科省は全国学力・学習状況調査のCBT化を順次進めており、5年度は中学校の英語「話すこと」調査や生徒質問調査の一部をCBTで実施済み。6年度は児童生徒質問紙調査をオンライン方式で実施する予定となっている。

 7年度は中学校の理科のみCBT化し、小学校の国語・算数・理科、中学校の国語・数学に関しては従来どおり筆記方式で一斉に実施する。調査基準日は4月17日を予定しているが、中学校の理科に関しては学校単位で統一し、4日間(4月14~17日)に分散させる方針。

 学力調査のCBT化で、実験の続きを予想させる問題など動画・音声を使い思考力、問題発見・解決能力を設定する出題が可能に。また、拡大文字、ルビ振り、時間延長に対応した問題プログラムを作成して特別な配慮が必要な児童生徒に対応。視覚障がいのうち、点字対応に関しては紙の問題による実施を継続する。

 今後、教育委員会や学校関係者からの意見も踏まえ具体的な調査設計を行う。8年度調査では中学校におけるCBTの対象教科を順次拡大する予定で、小学校の教科調査のCBT化は7年度の実施状況を踏まえ検討を進める。

(国 2023-10-31付)

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