こども家庭庁　５年度補正予算案　誰でも通園制度試行へ　子の貧困対策や性被害防止も

（国 2023-11-14付）

　こども家庭庁は、５年度補正予算案の概要を公表した。総額は１８９５億円で、うち、こども未来戦略方針に基づく各種施策に１４３３億円を計上。児童手当拡充に向けたシステム整備や「仮称・こども誰でも通園制度」の試行的事業、制度創設に向けたシステム構築などを進める。このほか、子どもの貧困対策や保育所等におけるＩＣＴ化、教育・保育等の場における性被害の防止対策などを盛り込んだ。

　今回の補正予算案の大部分を占める「こども未来戦略方針」に基づく施策をみると、児童手当拡充に向けたシステム整備費に２３２億円を計上。地方公共団体の準備を着実に進めるため、児童手当の抜本的拡充に向けて地方公共団体が業務システムの改修等に必要な経費を奨励的に助成する。

　また、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付「仮称・こども誰でも通園制度」の本格実施に向けた試行的事業に９１億円を配分。創設に向けたシステム構築事業に２５億円を充て、システム基盤を整備し、各地方公共団体・施設・利用者が利用できるようにすることで制度の円滑な利用や、コスト・運用の効率化を図る。

　子どもの貧困対策に関わっては、地域こどもの生活支援強化事業に１３億円を充て、既存の福祉・教育施設などにおいて、気軽に立ち寄れる食事や体験等の場所を提供し、支援が必要な子どもの早期発見、早期対応につなげる。

　保育所等におけるＩＣＴ化推進等事業には２９億円を配分。保育士の業務負担軽減に向け、登降園管理、保護者との連絡等に加え、実費徴収等のキャッシュレス決済等のためのシステム導入等を支援する。

　また、保育所等におけるＩＣＴ化を推進するため、自治体において、ＩＣＴ事業者や保育事業者などで構成される協議会を設置し、域内保育所のシステム導入促進のための取組を行っている場合に補助率のかさ上げを実施。

　こども政策ＤＸの実現に向けた実証事業に１０億円を充て、モデル事業や調査研究を通じ、地方公共団体や保育施設等における行政手続や事務処理等のデジタル化・ＩＣＴ化や生成ＡＩの利用等の取組を実証的に進める。

　性被害防止といじめ防止対策の強化には２４億円を計上。教育、保育等の場における性被害の防止等の取組の促進や保育所等における性被害防止対策に係る設備等支援を進めるほか、学校外からのアプローチによるいじめ解消の仕組みづくりに向けた手法の開発・実証を実施する。

(国 2023-11-14付)