全国の学校ネットワークを改善　２年程度で加速化へ　盛山文科相　近日に通信調査も

（国 2023-11-16付）

　盛山正仁文部科学大臣は１４日の記者会見で、本年度から２年程度をかけて全国の学校のネットワーク診断を推進することを明らかにした。２～３割の自治体でネットワークの遅延や不具合が生じたことから対策を講じるもので、自治体が実施する通信環境の診断に必要な経費の３分の１を補助する。

　文科省の４年度調査によると、動画視聴時に映像の乱れが発生するなどの不具合が未解決だった自治体の割合は２１・８％、オンライン教材の利用時に一部の児童生徒が教材に接続できない状況が未解決だった自治体は２９・３％に上る。

　６年度予算概算要求では新規事業のネットワークアセスメントの実施促進事業に１０億円を計上。デジタル教科書の導入や学力調査のＣＢＴ化など教育のＤＸを加速化させるため、６年度から全国的な学校のネットワーク診断に取り組むことを計画していた。

　しかし１０日に閣議決定した５年度補正予算案において要求額の２倍以上となる２３億円を計上し、事業を前倒しで実施する方針を固めた。

　補助内容は都道府県・市町村が民間事業者に委託するネットワークアセスメントの費用の３分の１を補助。補助上限は１校当たり１００万円で、最大で３３万３０００円程度が補助される。

　記者会見で盛山大臣はことし２月、「動画がスムーズに再生されない」「教材に接続できない」などの不具合が生じた自治体にネットワークの診断の実施を強く要請したことを説明した。

　補正予算案で措置した事業に基づきネットワークアセスメントを加速化させる考えを示した。

　また、並行してアセスメントの実施率や改善状況、通信速度、契約の実態を把握する調査を近日中に実施する考えを示し、結果をもとに必要な対応を講じていくとした。

(国 2023-11-16付)