道　津波防災地域づくり講演会　最善の行動を意識して　東大院・片田特任教授講演

（道・道教委 2023-10-24付）

津波防災地域づくり講演会ｉｎ網走

　【網走発】道と道建設技術センターは１８日、網走市内のオホーツク・文化交流センターで「津波防災地域づくり講演会ｉｎ網走」を開催した。東京大学大学院情報学環の片田敏孝特任教授が「巨大津波想定にどう向かい合うか」と題して講話。今後の発生が懸念される日本海溝・千島海溝沿いの地震による津波被害について説明し、個々の防災意識向上を強く訴えた。

　はじめに道建設部の白石俊哉部長があいさつ。道が２月に公表した津波浸水想定について説明した上で「地震や津波は予測が大変難しいことから、万が一発生した際には迅速な避難行動が取れるよう、地域の方々に危機意識を持っていただくことが重要」と呼びかけた。

　続けて、片田特任教授が「巨大津波想定にどう向かい合うか」を演題に講演。津波警報が出て避難したにもかかわらず何事もなかった場合、以降警報が出ても避難する人が少なくなるデータを示し「空振りではなく素振りだと思って避難すべき」と促した。

　また、今後の発生が懸念される日本海溝・千島海溝沿いの地震による津波被害について説明。国や道が想定している津波の高さなどの数値やハザードマップをうのみにせず、可能な限り対策を講じることを呼びかけた。

　道では積雪寒冷地特有の被害として、堆積雪による避難の阻害、インフラの凍結、流氷による津波被害の増大などの可能性があることを指摘。危機管理評論家の佐々淳行氏の言葉を引用し「悲観的に準備し、楽観的に対処せよ」などと話した。

　一方、最悪な状況の想定を悲観し続けるのではなく「その日その時だけしっかり避難することが、その地に住まう作法」と付け加えた。

　片田特任教授は避難３原則として「想定にとらわれるな」「最善を尽くせ」「率先避難者たれ」を示し「大切なのは自分や家族を守るために最善の行動をすること。今できる一つ一つの行動を積み重ねることで、最悪の状況を回避できる」と訴え、日常生活から防災を意識するよう求めた。

(道・道教委 2023-10-24付)