函西高 中核市における地域連携へ 函西概念図(大枠)作成 人口減で魅力ある人づくり
(学校 2023-10-30付)

函館西西高概念図
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 【函館発】函館西高校の古御堂徹校長は、函館市の市政執行方針を反映した同校の方向性「函西概念図(大枠)」を作成した。市の急速な人口減が喫緊の課題であることを踏まえ、学校教育目標を「魅力ある人づくり」に設定。市内西部地区の教育資源を活用した探究活動を通して地域活力の維持発展を目指すほか、授業改善に向けた教職員研修の推進、芸術科目や部活動を通した芸術スポーツの振興等を進めていくとしている。古御堂校長は「道南出身の教職員こそが、函館の未来を考えるモデル的存在」と強調。中核都市における地域と密着した活動の展開に意欲を燃やしている。

 大枠の大きなポイントは、市の市政執行方針を反映している点。道内自治体で人口減少数が最多となっている市では、本年度新たに人口減少対策本部を設置するなど、現状に強い危機感を示している。

 こうした地域の実情を学校教育目標「魅力ある人づくり」に反映。「函館に住み、まちの未来を考え、支える人」「函館以外に居住し、函館の応援団として活躍する人」のモデル像は、同窓生や国内外で活躍する著名人を例とした。

 目標達成に向けた高校魅力化には①グローカルな人材の育成②探究活動③芸術・スポーツの西高―の3点を据えた。同校では、探究活動「函西Well―being共創プロジェクト」を中心に、各教科で身近な生活課題を切り口とした探究活動に力を入れており、大学や市、企業等の外部人材との連携によって地域とのつながりを深化。生徒が社会に役立つ自己を表現できる教育活動を目指している。

 今後は近隣小・中学校で構成するコミュニティ・スクールとの連携を視野に入れている。「地域と共にある学校」の実現に向け、防災教育や芸術活動の協働を検討するなど、同校が所在する西部地区のまちづくりに積極的に参画していく方針だ。

◆道南の教職員が 地域のモデルに

 ことし4月に着任した古御堂校長は「一人ひとりの生徒」を主語に、生徒が自身の良さや可能性を認識すること、他者を尊重し、多様な人々と協働しながら人生を切り拓くことを基本的な考え方として教職員に説明。生徒指導、学習指導、進路指導、学校安全指導における重点項目を職員会議で周知した。ささいな変化の気付きをはじめ、不断の授業改善、多様な進路選択の実現に向けた支援、防災への意識向上など未来を創造する生徒へ向けた「ⅰ+1」を心がける指導を呼びかけている。

 大枠の作成に当たっては、全教職員との面談、学校評議員会、大学や市、近隣中学校への訪問を通して、学校の良さと課題などのイメージをヒアリング。学校の方向性について教職員から要望が上がっていたこと、アフターコロナにおける教育活動の再構築などを踏まえ、校内で合意形成を図ってきた。

 古御堂校長は「人材育成を支えているのは道南生まれの教職員」と力を込める。函館市内にある学校として探究活動を通した地域連携を一層推進し、卒業後のUターン就職などを視野に入れた「函館に住み、まちの未来を考え、支える人」を目標に掲げるとともに、生徒と教職員にとって安全・安心な教育環境の構築を目指している。

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