オール檜山学び合いプロジェクト 子ども本人と向き合う 学びの場変更 将来見通して(道・道教委 2023-11-13付)
【函館発】檜山教育局は2日、オール檜山学び合いプロジェクトをオンライン開催した。せたな町立北檜山小学校の田中淳子教諭が講師を務め、特別支援学級から通常学級へ移籍する「学び場の変更」について、自身が携わった経験からみえた課題や成果を解説。子どもの意思の尊重を根底に保護者や学級、校種間と連携し、将来の見通しを持った丁寧な支援に当たる必要性を訴えた。
田中教諭は学びの場の変更に携わった経験を踏まえ、過去に支援に当たった自閉症を抱える6年生児童の事例を紹介。保護者から「将来のために通常学級を希望したい。本人も頑張りたいと望んでいる」と要望があったことを振り返った。
通常学級への移籍に向け、学習面での課題や通常学級の友人や教職員との関わり、通常学級で困った際の対応方法を確認。保護者面談後は本人と合意形成を図り、今後の見通しを意識して支援を進めた。
学習参加については児童が得意としていた算数からスタート。宿題は通常学級の半分の量から開始した。通常学級の担任と連携し、当該児童がスムーズに教室になじめる環境も整備。3学期からは休み時間の過ごし方についても情報を共有した。
友人との関わりについては「“自分から声かけをする”“毎日〇人とあいさつをする”などのめあてを設定した結果、児童が自信を持つことができるようになった」と説明。ソーシャルスキルトレーニングやロールプレイングを重ね、自信を持って休み時間も過ごせるようになった。
児童は将来、普通高校の進学を希望していたため、中学校との情報共有を徹底。3年間の中学校生活を、大きなトラブルなく過ごし、普通高校へ進学できたことを紹介した。
田中教諭は学びの場の変更で必要な取組として、保護者本人と学校が同じ方向で取組を進め、必要に応じて修正するなど情報共有を欠かさないことを挙げた。「通常学級と特別支援学級のインクルーシブ化が進み、特別支援に対する理解が進んでいる。学びの場の変更によって進路選択の幅も広がるため、個に応じた方法に取り組んでいくことが大切」と述べた。
講座には管内の小・中学校、町教委の特別支援教育担当者ら20人が参加。参加者は「中学校から通常学級に移籍したいという保護者の要望が多く、外部機関とのつながりを意識していく必要があると感じている。具体例があれば教えてほしい」と質問した。
田中教諭は「教育委員会や発達支援センター、高等養護学校とつながる研修や会議の場があると心強い」と回答。「高学年になると進路をどうするかを逆算して考えなければならない。最低5年生の時点で受験に向けて保護者と適宜相談する必要がある」と指摘した。
一方で「保護者がなぜ通常学級に児童を移籍させたいと考えているのか、特別支援学級の方が望ましいケースがあるため、常に児童本人と向き合う必要がある」と解説した。
道立特別支援教育センターで勤務経験がある津川周一教育支援課長は教育相談の経験から「特別支援学校に進学した場合においても退学してしまうケースもあるため、本人の意思を尊重することがとても大事。普通高校に進学したい児童生徒については、学び遅れがない状態で支援を進める必要がある。先入観ではなく、本人の状況を丁寧に見取った上で進路決定を進めてほしい」と呼びかけた。
(道・道教委 2023-11-13付)
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