日本教育会 全国教育大会 「考える力」育てる教育を AI時代へ対応急務 松原教授(関係団体 2023-11-15付)
日本教育会全国教育大会北海道大会・基調講演
公益社団法人日本教育会(鷲山恭彦会長)は11日、ホテルライフォート札幌で第48回全国教育大会北海道大会を開催した。大会主題「自分のよさや可能性を認識し他者を尊重する教育」のもと、校園種を越えた全国の教育関係者約460人が参加。基調講演では東京大学次世代知能科学センター教授の松原仁氏が「AIと共に創る教育の未来」と題し、AI時代に対応する教育の在り方を提起した。
全国大会は2年度に函館市での開催を予定していたが新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった経緯があり、平成25年度の札幌大会に続く10年ぶりの道内開催となった。
会場・オンラインを含めて幼稚園、小・中学校、高校、特別支援学校などの関係者約460人が出席した。
開会に当たり鷲山会長があいさつ。子どもたちが自らの可能性を認識して多様な人々と協働するため、個々の興味・関心をキャリア形成と関連させて生涯にわたり学び続ける資質・能力を育成する必要があるとし「子どもたちの夢と希望の実現に向け、それぞれの立場であすからの教育実践に生かしてほしい」と期待した。
提言発表では幼、小、中、高、特の各校種、家庭・地域社会の6つの立場から学びに向かう力、主体性に焦点を当てた実践を紹介。道内からは奥尻町立青苗小学校の工藤崇校長が「児童が自ら判断し、自己と他者の命を守る安全教育・防災教育の充実」をテーマに発表し、子ども自ら判断する知識を定着し、管理職を含む教職員の見識を一層高める重要性を強調した。
つぎに東京大次世代知能科学センター教授の松原氏が講演。AI技術を活用して手塚治虫の作品を現代によみがえらせるプロジェクトや、医療・法律など各分野で改良が進む文章生成AIの現状を説明し「AIは仕事を“奪う”のではなく“変える”。翻訳であれば変換された文章を確認する仕事に変わっていくだろう」と予見した。
一方、AIへの過度な依存が「書く力」などの能力に悪影響を及ぼす可能性を懸念。AI時代においては「読み」「書き」「数学」、そして「自ら考える力」がさらに重要になっていくと指摘した。
「AIを道具として生活する時代に向けた教育を考えることが必要。AIとの適度な距離感や、最終的な判断は自分で下す“自己決定の意識”が重要になる」と述べた。
また、翻訳AIの開発は技術的にも間近であることから英語の教育の在り方が変わる可能性に触れ「“何を学ぶか”の変化に対応する議論が必要」と述べ、先端技術の高度化に教育が対応する必要性を示した。
講演後の質疑応答で松原氏は人間性のかん養に携わる教員の役割の重要性に言及し「個々の子どもの状況に応じて何をすべきかは先生でなくては分からない。高校までの教員は人間性を身に付ける非常に重要な部分を担っており、AIが進歩しても変わらないだろう」と述べた。
(関係団体 2023-11-15付)
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