とかち教育講演会に２３０人　熱意は見えない学力　東大・池谷教授「子を育てる脳科学」

（関係団体 2023-11-15付）

　【帯広発】一般財団法人北海道公立学校教職員互助会（宇田賢治理事長）、十勝管内調査研究事業実行委員会（委員長・山田洋十勝教育研究所所長）は９日、十勝教育研修センターを主会場に「とかち教育講演会」を開いた。管内の教育関係者および保護者ら約２３０人がオンラインで参加。講話を通して、子ども理解に向けて重要な視点を脳科学の観点から学んだ。

　山田委員長は開会に当たり「教育現場や家庭において、子どもの特性に応じた適切な対話が重要」とし「講話から子ども理解につなげ、より良く子どもの成長に関わるヒントを得られたら」と期待を寄せた。

　続いて、東京大学薬学部の池谷裕二教授が「子どもを育てる脳科学」と題して講演した。

　池谷教授は「守ってくれる親が優れている場合、初期能力が低いと多様な環境に柔軟に適応できる」と、知的動物故に人間が子育てに困難を抱えやすいことを説明。子ども同士が支え合っていた古代の子育て事情から「友人関係が人間性を育む」「子どもがより良く関わる環境を」と呼びかけた。

　知能を支える要素として「論理」「言語」「熱意」の３点を示した。特に「熱意」を「見えない学力」と呼び、「知ることを楽しむ好奇心」に当たることを説明。「初期段階から、判断に時間をかけた多様な失敗を経験すること」によって脳が成長することを説き、「失敗に負けない熱意が大切」と伝えた。

　先行研究を踏まえ、過程を褒められた子どもは挑戦心を持って勉学に励むことを説明。

　ただし、人間は行動と感情に整合性を求めることから、行為自体を褒めるのではなく、子どもが必要としている声かけや感謝を伝えることが効果的であることを述べた。

(関係団体 2023-11-15付)