道議会質疑 予算特別委員会(7月11日)
(道議会 2023-11-17付)

【質問者】

▼鈴木一磨委員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼倉本博史教育長

▼北村英則教育部長

▼伊賀治康総務政策局長

▼齊藤順二道立学校配置・制度担当局長

▼相川芳久ICT教育推進局長

▼金田敦史施設課長

▼手塚和貴道立学校配置・制度担当課長

▼遠藤直俊義務教育課長兼幼児教育推進センター長

▼髙橋宏明学力向上推進課長兼ICT教育推進課長

▼今村隆之健康・体育課長

▼大槻直広生徒指導・学校安全課長

▼田口範人部活動改革推進課長

▼中嶋英樹働き方改革担当課長

【Q 質問 Question A 答弁 Answer P 指摘 Point out O 意見 Opinion D 要望Demand】

◆部活動地域移行

Q鈴木委員 部活動の地域移行に関し、部活動指導員等の外部指導者の不足に悩む地域での制度設計や実効性が不明瞭だ。

 外部指導者がおらず、民間市場化も図られないへき地地域はどうすべきか、都市部へのタクシー送迎による部活動一元化も試行されているが、そうした各地のアイデアや試行、地方独自の方策などについてどのように認識し、財政的な支援などをどのように考えているのか伺う。

 また、総合型地域スポーツクラブは目指す姿なのか、どの程度推奨しどう位置付けるのか、併せて伺う。

A田口部活動改革推進課長 部活動の地域移行について。国のガイドラインでは、部活動の地域移行に当たっては、当該地域の実情等に照らし、各地域における関係者間で丁寧に調整をした上で方針を決定することと示されている。

 道内の市町村においては、拠点校方式による合同部活動を導入し、段階的に体制を整備するなど、各地域で検討が進められており、道教委では、各地域での取組が円滑に進むよう、先進地域の事例提供や財源確保の助言などを行うほか、指導者の配置や生徒が活動場所に移動する手段に係る財政措置について、全国都道府県教育委員会連合会と連携して国に要望してきた。

 また、部活動を地域移行する際の運営団体について、国のガイドラインで総合型地域スポーツクラブやスポーツ少年団などが示されているが、その整備に当たっては、地域の実情に合わせて当該地域に適したものを選択したり、複数の手法を組み合わせたりするなどしながら検討を進める必要があると考えている。

D鈴木委員 へき地地域等においては、子どもたちが自分たちで交通費等の費用負担をしながら対応している自治体もあるので、ぜひ、財政的な支援も含めて考えていただきたい。

Q鈴木委員 平日の指導を教職員が担い、土日、祝祭日の大会や練習などを外部指導者に負託する例がある。しかし、現実的に、大会や練習の様子確認など、活動場所に顔を出さないわけにもいかず、教職員の方が平日以外にも一切関知しないということにはならない実態がある。

 そうした教職員の負担軽減のための地域移行であるはずだが、教職員や関係者から意見集約や課題把握をどのように行い、その解決や現場フォローをどのように行っているのか、状況を伺う。

A田口部活動改革推進課長 課題の把握等について。道教委では、これまで、中学校長会や中学校体育連盟、市町村教委などの代表者で構成する部活動関係者会議の開催を通じて、部活動の地域移行に向けた意見や課題を把握し、ことし3月に策定した「北海道部活動の地域移行に関する推進計画」に反映した。

 また、課題に対しては、各教育局にサポートチームを設置し、地域の状況などをきめ細かく把握し、必要な情報を市町村に提供するほか、地域スポーツの実践研究者や大学教授を希望する市町村に派遣する、部活動の在り方検討支援アドバイザー派遣事業の実施等を通じて、地域の実情に応じた提案や助言を行うなど、各市町村や学校の取組を支援している。

Q鈴木委員 一方で、熱意を持って部活動指導に当たりたい教職員もいる。そうした教職員は、勤務時間外でも手弁当で部活動指導に当たり、交通費や必要な備品などを自費対応している。

 教職員が地域クラブ活動に従事する場合、兼業の許可を受けることやその場合に報酬を受けることが可能か、あらためて伺う。

A中嶋働き方改革担当課長 教員の兼業等について。教員が地域クラブ活動の指導者となることを希望する場合、地方公務員法や教育公務員特例法の規定に基づき、服務を監督する教育委員会の許可を得た上で、報酬を受け兼職兼業することが可能となっている。

 こうした取り扱いについて、道教委では、ことし2月に文部科学省などが作成した地域クラブ活動に従事する場合の兼職兼業に関する手引きによって、市町村教委や学校に周知している。

P鈴木委員 部活動の地域移行後も子どもたちの部活動に関わる教職員は多く、完全に部活動から手が離れることもなく、現場対応している実態がある。課題の収集や制度の周知など、フォローアップをしっかりと行うよう指摘する。

◆教育費の無償化

Q鈴木委員 近年、子どもの貧困対策が社会的な問題となっている。孤独にさせることなく、発育期や成長期の健康維持のためにも栄養価のある食事を取ることが重要であり、地域住民や自治体が主体となって無料または低価格帯で子どもたちに食事を提供する、いわゆる子ども食堂の開設も増えている。

 一方、政府が公表した、こども未来戦略方針の素案では、小・中学校での給食の実施状況や地方自治体による無償化の状況について全国規模の実態調査を速やかに行い、1年以内にその結果を公表するとしているが、年間約5000億円の公費負担と併せて、給食未提供の自治体との不公平感などの課題もあり、いまだ先行きが不透明となっている。

 子どもたちの成長を見守り、誰もが気兼ねなく安心、安全な給食をいただく環境とするためにも、給食費無償化は重要政策の一つと考える。道教委の見解を伺う。

A今村健康・体育課長 学校給食について。現行の学校給食法では、給食費は保護者が負担するものと規定されているが、先般、国が策定した、こども未来戦略方針において、学校給食費の無償化の実現に向け、自治体における給食実施状況や法制面も含めた課題の整理や検討を行うことが示されたと承知している。

 道教委として、保護者負担の軽減を図るため、過日、学校給食費無償化の具体化に向けた検討を早急に進めるよう国に要望した。今後も国の検討状況や他都府県の動向を注視しつつ、様々な情報を各市町村教委と共有するとともに、知事部局とも連携し、学校給食に係る補助制度の充実について、引き続き国に強く要望するなど、保護者負担の軽減に向け取り組んでいく。

Q鈴木委員 子どもたちの健康を守るとともに、食の教育の観点で、安全・安心な学校給食の提供を考えた際に、地産地消を推進すべきと考える。しかし、道内各地では、財政難で自校方式からセンター方式へ、直営方式から委託化へと切り替えが進む中、一定の給食費収入の中で材料費の高騰などに対応しなければならず、採算性重視に伴い、トレーサビリティーが軽視される懸念が生じている。

 子どもたちにとって食の安全や地域農業との関わりなども重要な教育テーマと考えるが、輸送負荷軽減などゼロカーボンにもつながる地産地消を推進するに当たり、どのようにチェックし指導しているのか伺う。

A今村健康・体育課長 学校給食における地産地消について。学校給食に地場産物を取り入れ、食に関する指導の生きた教材として活用することは、子どもたちに地域の自然や文化、産業等に関する理解を深め、郷土を愛する心や食への感謝の念を育むとともに、新鮮で安全な食材を確保できるなど、食育の推進や安全・安心な学校給食を提供する上で意義あるものと考えている。

 道教委が隔年で実施している、学校給食における地場産物の使用状況に関する調査では、献立に使用した食品数に占める地場産物の割合は、平成29年度は45・1%、令和元年度は48・7%、令和3年度は48・2%となっており、さらなる活用の促進が必要と考えている。

 このため、道教委としては、引き続き、各市町村教委や学校に対し、地場産物の積極的な活用を働きかけるとともに、地域の食材を活用した特色ある献立や調理の事例をはじめ、生産者等と連携協力しながら活用促進に取り組む実践事例等を広く周知するなど、学校給食における地場産物の活用や地産地消の推進に努めていく。

P鈴木委員 給食予算が限られている中、食材や食料品の価格高騰が続くと、今後、安価な食材を選択せざるを得ない状況となる懸念が拭えない。給食は、学校給食法に基づく食育を支える大切な時間であり、栄養価だけではなく、地産地消を守る視点からも今後もしっかりと取り組んでいただきたい。

Q鈴木委員 就学援助制度において、卒業アルバム代等が対象費目となっているが、地域によっては、要保護児童生徒だけに援助が行われ、市町村が認定を行う準要保護児童生徒には、対象費目となっておらず、援助が行われていないという対応の差が生じている状況が見られる。

 道内において、就学援助で卒業アルバム代を費目に設定している市町村は何ヵ所あるのか、また、援助の対象となる児童生徒全員が制度を受けられるよう、道教委ではどのような対応をしているのか伺う。

A遠藤義務教育課長兼幼児教育推進センター長 卒業アルバム代の援助の状況等について。道内において、準要保護児童生徒への就学援助対象費目に卒業アルバム代等を設定している市町村は、4年度の時点で129市町村である。

 道教委では、毎年2回、市町村教委に対して通知を発出し、就学援助制度の趣旨を踏まえ、対象費目の拡大や必要な予算の確保などに努めるよう継続的に働きかけているほか、市町村が十分な就学援助を行えるよう、財源措置の拡充に加え、各市町村における支援内容等が統一されるようなガイドラインを設定するよう国に要望している。

◆高校配置計画

Q鈴木委員 学校や病院は地域存続の要であり、子どもの数の減少と募集停止、廃校を直接的に結び付ける判断基準は、地域まちづくりの未来を閉ざすことにつながる。

 定住自立圏構想などと連動した高校配置計画であるべきと考えるが、所見を伺う。

A手塚道立学校配置・制度担当課長 高校配置計画について。道教委では、高校の再編整備等について、これまで主に同一市町村内に所在する高校の規模や学科などを勘案し、地域のご理解をいただくよう努めながら実施してきたが、中学校卒業者数の減少によって高校の小規模化が進み、高校が1校しかない市町村が増加する中、市町村の枠を越えた一定の圏域という視点で高校配置を検討することが必要と考えている。

 このため、改定した「これからの高校づくりに関する指針」において、関係市町村の参画を得ながら、圏域内の高校が担うべき役割や高校の魅力化、高校配置の在り方などについて協議を行い、その結果を配置計画に生かすこととした。

 具体的な圏域については、圏域全体として必要な生活機能等を確保するといった定住自立圏の枠組みをはじめ、学区内の市町村と相談しながら設定していく。

Q鈴木委員 特別支援学校の在籍者数が増えてきているにもかかわらず、校舎の整備が進んでいない状況であり、障がいのある子どもたちへの心理的、身体的な負担を考えると速やかに対策を講じる必要があると考える。今後どのように特別支援学校の狭あい化対策を進めていくのか伺う。

A齊藤道立学校配置・制度担当局長 特別支援学校の教室不足について。道教委では、これまで教室不足への対応として、校舎の増築や既存施設を活用した学校の新設、通学区域の見直しなどによって、必要となる普通教室は確保できているが、一部の学校で、そうした対応を上回るペースで児童生徒数が増加し、依然として教室不足が続いている状況にあり、早急に対応しなければならない課題と考えている。

 このため、道教委では、今後の児童生徒数の推移を見極めた上で、緊急度の高い学校を優先し、整備を検討することとしており、子どもたちが安全・安心に学校生活を送り、必要な指導や支援を受けることのできる適切な教育環境を確保できるよう、教室不足の解消に取り組んでいく。

◆不登校対応

Q鈴木委員 各児童相談所も地域の学校も多忙を極める中、家庭事情も含めて、本当に不登校児童生徒一人ひとりにきめ細かな対応ができているのか。

 現場任せにすることなく、実効性ある対処方策がないのか、不登校児童生徒支援連絡協議会の取組実績などについて、併せて伺う。

A大槻生徒指導・学校安全課長 不登校児童生徒への対応について。道教委としては、空き教室を活用した校内教育支援センターの開設や、1人1台端末を活用し、家庭と学校等を結ぶオンライン学習の促進など、児童生徒個々のニーズに応じた対策の推進について、市町村教委に継続して働きかけ、児童生徒が学びたいと思った際に、多様な学びにつながることができるよう努めていく。

 また、不登校児童生徒支援連絡協議会は、不登校児童生徒への効果的な支援等について理解を深めることを目的に毎年度2回実施しており、4年度は、377校、106市町村、17のフリースクールなどの参加を得て、市町村における教育支援センター等の実践や全国の不登校特例校の教育課程等に関する調査研究をもとにした、自己肯定感の向上への効果的な実践について理解を深めるなど、不登校児童生徒への支援の充実に向けた検討を行ってきた。

◆学習環境の整備

Q鈴木委員 道立学校の校舎に関し、洋式トイレの整備率について伺うとともに、今後の整備計画について伺う。

A金田施設課長 洋式トイレの整備について。学校トイレの洋式化については、利用しやすさから整備する必要があるとの意見がある一方で、人の座った便座の使用に抵抗を感じるとの声もあることから、学校の実情等に応じて整備を進めていくことが大切であると考えている。このため、3年度までに高校について80%以上となるよう整備を進めたところ。

 道教委としては、今後も、大規模改造工事などの際に、学校の実情等を考慮しながら学校トイレの洋式化に取り組んでいく。

Q鈴木委員 道立学校の障がい者用トイレの導入状況について伺う。併せて、道立学校において、スロープや点字ブロック、ユニバーサルデザインへの配慮など、障がいのある子どもたちが快適に学校で生活できるよう、どのように取り組まれているのか伺う。

A金田施設課長 道立学校のバリアフリー化について。道教委では、国の学校施設バリアフリー化推進指針や北海道福祉のまちづくり条例の趣旨を踏まえ、校舎のバリアフリー化を進めている。

 身障者用トイレについては、施設上の制約があり設置が困難な1校を除く255校に整備し、玄関スロープ等による段差の解消は全ての学校で対応を完了しているほか、屋外点字ブロックについても約9割の学校に設置している。

 道教委としては、今後も児童生徒の実情に応じて必要な改修を行うなど、全ての方が安心して利用できる施設整備に努めていく。

Q鈴木委員 近年は、地球温暖化の影響のせいか、全国にたがわず、本道も夏は高温になる日が多く、熱中症になる子どもたちも増えている。

 道立学校の保健室の空調設備の整備率は100%であるものの、小・中学校の保健室の空調設備の整備率は、自治体によって差があるものと聞いている。今後、道として市町村をどのように支援していく考えなのか伺う。

A伊賀総務政策局長 道としての市町村への支援について。冷涼とされてきた道内でも近年、特に厳しい暑さが続く地域もあり、暑さ等によって学校内で体調を崩された方に対応する保健室の環境を向上させることが重要なことから、道教委では2年度に、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、全ての道立学校の保健室に換気機能付きの空調設備を設置した。

 安全・安心な教育環境を提供するためには、保健室などへの空調の設備について検討が必要と考えており、市町村も含めた学校における空調設備への財政支援について、道内全ての市町村で構成する北海道公立学校文教施設整備期成会とも連携して、引き続き、国に対し強く要望していく。

Q鈴木委員 保健室には横臥するベッドが置かれているが、学校によっては、布団やシーツのクリーニングの予算が年1回分しかなく、職員が家に持ち帰って手洗いしている実態があると聞く。

 少なくとも、夏はシーツに汗が染み込み、ダニやカビの発生源になるため、十分な衛生予算の確保なども含めどのような対策を講じるべきか、所見を伺う。

 また、アレルギー体質の児童生徒も増えており、体の抵抗力などを考えると、皮膚炎などの衛生医療問題につながる懸念も生じる。

 児童生徒の健康を保持・増進し、健康で快適な学習環境を維持するために、学校環境衛生がどうあるべきか、併せて所見を伺う。

A今村健康・体育課長 保健室の衛生管理について。学校においては、学校保健安全法および同施行規則に基づき、児童生徒等の心身の健康の保持・増進を図るため、換気や採光、照明、保温などについて、毎年度、定期に検査を行うほか、日常的な点検によって、環境衛生の維持改善を図る必要がある。

 また、保健室については、学校環境衛生管理マニュアルにおいて、寝具は定期的に乾燥を行うことや、布団カバーやシーツをかけ、使用頻度等を考慮し、適切に交換するとされている。

 道教委としては、引き続き、学校や市町村教委に対し、会議や学校訪問等の機会を通じて、保健室等の適切な環境衛生の維持改善を図るよう指導していく。

Q鈴木委員 道立学校施設のLED照明への切り替え進捗率について伺う。

 また、暖房や空調設備更新時の省エネ機器導入や、ごみ排出量、水使用量の削減など、ゼロカーボン北海道の実現に向けた施設管理をどのように行っているのか伺う。

 併せて、学校生活や授業の中でどのように取り入れて普及啓発に努めているのか伺う。

A北村教育部長 ゼロカーボン実現に向けた取組について。これまで、脱炭素社会の実現に貢献する持続可能な教育環境等の実現に向けて、大規模改造、長寿命化改修等を通じ、道立学校施設の照明LED化を進めており、4年6月時点で、道立学校の照明器具数に占めるLEDの割合は21・6%となっている。

 また、道立学校では、空調設備の更新時に省エネ機器の導入について配慮しているほか、必要な個所のみの照明、両面コピーの徹底、資料の簡素化、共有化など、学校の実情に応じ、様々な取組を実施している。

 道教委としては、子どもたちが地球環境について理解を深めるとともに、環境を守るための行動を取ることができるよう、より良い環境づくりを目指す態度を育んでいくことが重要と考えており、各学校に対し、関係機関と連携して資源の有効利用や自然環境の保全、科学技術の利用の在り方などについて学ぶことができる学習プログラムを提供するとともに、SDGsの17の目標と関連付けて編成した教育課程の成果普及の取組を進めるなど、ゼロカーボン北海道の実現に貢献していく。

Q鈴木委員 学習用タブレットについて、小・中学校においては、児童生徒全てに無償で貸与されているが、道内の公立高校は、原則、自費購入である。高校入学時においては、教科書や学用品、制服などの出費に重ねて、タブレット端末やカバー、充電器などの指定周辺機器、そして、家庭内ワイファイ環境など、相当の負担額となる。

 保護者負担を軽減するため、高校の学習用タブレットの無償貸与などをさらに検討すべきと考えるが、所見を伺う。

A相川ICT教育推進局長 高校の学習用端末について。道教委においては、個人が所有し使用する教科書や電子辞書等の教材に係る経費は、これまでも保護者の理解を得ながら私費負担としてきており、端末についてもこれらの教材と同様に私費負担を基本としているが、端末の購入に当たっては、様々な事情によって、その用意が困難な生徒に対し、本年度においては5月1日現在で約2100台を貸与するなど、きめ細かな対応を行っている。

 道教委としては、端末の準備に当たっては、引き続き、保護者に対して丁寧に対応するとともに、生徒が端末を活用した個別最適な学びや協働的な学びを継続することができるよう、国に対し、端末整備を含めたICT環境に必要な恒久的な財源措置を今後も強く求めていく。

Q鈴木委員 併せて、学習用タブレット搭載ソフトの更新についても伺う。

 自費購入したタブレットに搭載されているシステムソフトや教材ソフトも定期的に更新や入れ替えが必要だが、保護者や通学者に自己負担を多く生じさせないよう学校側でも支援すべきと考える。

 ソフト更新に必要な財源確保などについて検討すべきと考えるが、所見を伺う。

A髙橋学力向上推進課長兼ICT教育推進課長 ソフトウエアの更新について。学校の教育活動において生徒が使用するアプリケーションソフトウエアを含めた教材等については、各学校において、保護者の負担を考慮した上で選定しており、自己負担を基本としている。

 一方、道教委においては、全ての学校で無償で活用できる情報セキュリティーが確保された教育用ソフトウエアのアカウントを全生徒に配布し、各学校に活用を促しているところであり、今後も、国に対し、ソフトウエアの更新を含むICT環境整備に必要な財源措置を講じるよう要望するほか、国の事業を活用し、費用負担の生じない汎用的なソフトウエアを用いた効果的な事例を普及するなどして、引き続き、保護者の負担軽減に努めていく。

Q鈴木委員 国は、標準授業時数を定め、それを下回らないよう指導している。

 しかし、新型コロナが感染拡大した際に、感染蔓延による臨時休校時数分を学校長が事前に多く想定して授業日数を増やしたにも関わらず、コロナ明け後に授業数を減らすこともなく、教職員の負担が大きいまま年度が過ぎた実態もあると聞く。校長裁量とはいえ、適正な予備時数でなければ、教職員も児童生徒も、過度な授業数で振り回されてしまう。

 道教委から、市町村教委を通じて、各学校長への啓発と事例指導が必要と考えるが、所見を伺う。

A遠藤義務教育課長兼幼児教育推進センター長 教育課程の編成について。道教委では、これまでも、各教科等の標準授業時数を形式的に確保するのではなく、児童生徒の負担が過重にならないよう配慮しながら、学習指導要領に示された各教科等の内容を確実に身に付けるよう指導してきた。

 また、ことし5月には、市町村教委や学校に対し、児童生徒の実態を踏まえつつ、各学校の指導体制に見合った授業時数を設定する必要があること、災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態に備えることのみを過剰に認識して標準授業時数を大幅に上回って教育課程を編成する必要はないこと、学校における働き方改革にも配慮した対応を検討することなどの留意事項や、授業時数の配当や運用の工夫例について通知してきたところ。

 道教委としては、今後も、義務教育指導監や指導主事による学校訪問等を通じて、各学校の教育課程の編成、実施が適切に行われるよう、指導助言に努めていく。

◆教職員の欠員

Q鈴木委員 学校現場へ実際に人を配置するため、人材バンクとのタイアップなど、実効ある人員補充策を早急に進める必要がある。学校教育を支えているのは人であり、教職員の欠員補充の戦略なども含めて、教育長の所見を伺う。

A倉本教育長 教員の欠員について。子どもたちの豊かな学びを保障する上で、その直接の担い手である教員の確保は何よりも重要であり、欠員の解消は最優先で取り組まなければならない課題と認識している。

 道教委では、これまで、ホームページをはじめ、就職情報誌、求人情報サイトへの掲載など、様々な媒体による人材の募集に加え、ハローワークを通じた募集のほか、市町村教委や大学などの協力による潜在的な人材の発掘などの取組を進めることによって、欠員の補充に努めるとともに、将来にわたって安定的に人材を確保することができるよう、教員の魅力を広く伝える取組や教員採用選考検査の改善など、教員志願者の確保に向けた取組を進めてきた。

 道教委としては、引き続き、関係機関などと連携を図り、これまでの取組の成果や課題などを検証しながら、新たな対策の検討など、より実効性ある取組を推進し、教員の確保に全力で取り組んでいく。

(道議会 2023-11-17付)

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