道議会質疑 予算特別委員会(7月11日)
(道議会 2023-12-05付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼荒当聖吾委員(公明党)

▼真下紀子委員(日本共産党)

【答弁者】

▼倉本博史教育長

▼北村英則教育部長

▼伊賀治康総務政策局長

▼川端香代子学校教育局長

▼齊藤順二道立学校配置・制度担当局長

▼堀籠康行特別支援教育担当局長

▼伊藤伸一生徒指導・学校安全担当局長

▼谷垣朗教職員局長

▼岡内誠総務課長

▼金田敦史施設課長

▼手塚和貴道立学校配置・制度担当課長

▼遠藤直俊義務教育課長兼幼児教育推進センター長

▼大畑明美特別支援教育課長

▼大槻直広生徒指導・学校安全課長

▼立花博史教職員課長

◆夜間中学

Q荒当委員 昨年、札幌市立星友館中学校が開校した。広い本道においては、星友館中に通いたくても、遠方のため、通学できない方もいるものと思われる。

 道教委は、様々な事情によって、学齢期に学びたくとも十分学べなかった方々への教育機会の確保についてどのように取り組んできたのか伺う。

A遠藤義務教育課長兼幼児教育推進センター長 夜間中学について。広域分散型の本道において、学齢期に様々な理由で学校に通えなかった方など、義務教育段階の学びを求める方々に学習機会を保障するためには、地域の実情とニーズに応じた検討を進めていくことが大切である。

 道教委としては、学識経験者や市町村教委、自主夜間中学等で構成する、夜間中学等に関する協議会において、公立夜間中学である星友館中における取組の成果をはじめ、道内の自主夜間中学の実践や教育委員会との連携の在り方などについて情報交換を行ってきた。

 また、3年度からは、夜間中学等に関する協議会ワーキンググループを設置し、本道の広域性を踏まえた学習機会の確保に向けて、主に遠隔教育を議題として検討を行い、昨年11月に、学び直しを希望する方々へのICTを活用した授業の有効性を検証する目的で、星友館中や自主夜間中学の協力によってオンライン授業を試行実施した。

Q荒当委員 道教委として、今後どのように取り組むのか伺う。

A川端学校教育局長 今後の取組について。道教委では、試行的に実施したオンライン授業について、受講者へのアンケートや実施に関わった方々と意見交換を行ったところ、配信の授業でもある程度理解できた、楽しく参加できたなどの効果が見られた一方、声が聞き取りにくかった、習熟の程度など生徒の多様性に対応する手だてが必要といった改善を要する意見なども寄せられた。

 道教委としては、こうしたオンライン授業の可能性や課題を踏まえ、広域な本道において生涯にわたる学びの機会を提供する観点から、オンラインによる学習プログラムや夜間中学の学習内容を配信することについて、試行実施する地域や方法を検討していく。

D荒当委員 私は、定時制高校内に夜間中学の機能を置くべきだと申し上げている。

 今では、グループラインなどのSNSも発達しており、クラスメートとコミュニケーションを取りながら切磋琢磨することも可能だと思う。

 オンラインによる学習プログラムの充実をお願いしたい。

◆障がい者雇用

Q荒当委員 道教委では、障害者の雇用の促進等に関する法律を受け、2年4月に道教委障がい者活躍推進計画を策定し、障がい者の雇用や障がい者が働きやすい職場環境づくりに取り組んでいるものと承知している。

 道教委の推進計画では、障がいのある職員の雇用率を法定雇用率とする数値目標が掲げられているが、直近と5年前において、障がいのある職員の数、また、法定雇用率に対して実雇用率がどのようになっているのか伺う。

A岡内総務課長 障がいのある職員の雇用率などについて。平成29年度において、学校の教職員を含め、道教委が任用している職員のうち、障がいのある職員数は637人、法定雇用率2・2%に対して実雇用率が2・11%であったところ、直近の令和4年度においては、障がいのある職員数734人、法定雇用率2・5%に対して実雇用率が2・41%となっている。

Q荒当委員 これまでどのような取組を行ってきたのか伺う。

A伊賀総務政策局長 これまでの障がい者雇用の取組について。道教委では、事務職員の採用選考や教員採用選考検査において、障がいの種類や程度に応じた選考方法による特別選考を実施するほか、実習助手や寄宿舎指導員、非常勤職員に採用職種を拡大するとともに、教員養成大学に対して入試における配慮について協力要請を行うなど、法定雇用率の達成に向けて取り組んできた。

 また、本庁および各教育局に障害者職業生活相談員を配置し、外部機関と連携をしながら人間関係や職場環境の整備などに係る相談に応じるとともに、各職場においては、直属の上司が個別に面談を行い、職業生活に関する相談や日常的なサポートに当たるなど、障がいのある職員が安心して働ける職場づくりに取り組んできた。

Q荒当委員 4年時点の厚生労働省の調査によると、都道府県の知事部局は46機関が法定雇用率を達成する一方、都道府県教委で達成しているのは26機関にとどまる。

 学校現場では、本人と児童生徒や保護者等とのコミュニケーションが必要となる場面もあり、身近なところで障がいのある方が働く環境を整えることは、教育上の効果も期待でき、インクルーシブ教育の観点からも積極的に取り組むべきではないか。

 道教委として、障がい者雇用の意義についてどう認識し、今後どのように対応していくのか伺う。

A北村教育部長 今後の取組などについて。障がいのある方の雇用は、障がいのあるなしにかかわらず、誰もがその能力と適性に応じた雇用の場に就き、地域で自立した生活を送ることができるような社会の実現に寄与するほか、学校において児童生徒が障がいのある方と触れ合うことは、積極的な支援などの行動や人々の多様な在り方を理解し、共に支え合う意識の醸成につながるものと認識している。

 このため、道教委としては、引き続き、2年4月に策定した障がい者活躍推進計画に掲げている取組によって、障がいのある方が働きやすい職場づくりに努めるとともに、事務職員の採用選考や教員採用選考検査などに当たって、道内各地で活躍する障がいのある教員からのメッセージを紹介し、障がいのある方々の教員志望への意識を喚起するなど、法定雇用率の達成に向けて取り組んでいく。

◆自殺予防の取組

Q荒当委員 厚生労働省と警察庁の発表によると、4年における小・中・高生の自殺者数は514人で、昭和55年に統計を開始してから初めて500人を超え、過去最多となった。

 令和元年、15~19歳で亡くなった人のうち、死因が自殺だった割合は47・8%、2番目に多かった不慮の事故の17・3%を大きく上回っている。また、10代の死因の第1位が自殺となっているのは先進7ヵ国の中で日本のみであり、その死亡率も他国に比べ高いものになっている。

 まず、学校は子どもたちの心の状態をどのような方法で把握しているのか伺う。

A大槻生徒指導・学校安全課長 児童生徒の状態の把握について。学校においては、教職員が各教科の授業、朝や帰りの学級活動、休み時間など、様々な場面において児童生徒の様子を観察することを通じて心の状態を把握している。

 また、道教委が北海道医療大学と連携して開発した児童生徒理解に関する子ども理解支援ツールを活用することや、道教委が実施しているいじめの把握のためのアンケート調査の結果を確認するなど、児童生徒一人ひとりの心の状態をきめ細かに把握するよう努めている。

Q荒当委員 学校教育においても、新型コロナウイルス感染症の影響は非常に大きいものであり、社会生活の変化は子どもたちの心にも大きな影響を及ぼしており、うつ症状を抱えていたり、自殺や自傷行為について考えたりする子どももいることと承知している。

 本道において、こうした心の危機にある子どもたちに対し、きめ細かな心のケアにどのように取り組んでいくのか伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 児童生徒の心のケアについて。児童生徒が強い孤立感や絶望的な感情などを持ち、危機的な心理状況に陥らないようにするためには、不安や悩みなどを抱えたときに周りの大人にSOSを出し、相談できるようにすることが重要であり、道教委では、24時間受付の電話やメールのほか、気軽に相談できるSNSによる相談窓口の開設や、1人1台端末からいつでもアクセスできる「おなやみポスト」の全ての市町村における活用など、児童生徒が相談しやすい環境を整備してきたところ。

 また、緊急に心のケアが必要な児童生徒を把握した際には、児童生徒への専門的な心理的支援とその家庭を支援するため、学校にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを緊急派遣するとともに、学校と福祉、医療等の関係機関が連携したチームを構築するなど、子どもたちの心の変化を迅速かつ適切に把握し、対応してきたところ。

Q荒当委員 子どもたちの心に共感し、寄り添うことができる周囲の存在は多ければ多いほど良い。

 学校は、児童生徒の変化に気付きやすく、心の危機を抱えるときに働きかけもできる立場にあることから、教職員一人ひとりがゆとりを持って子どもたちの心に寄り添えるようになることが大切だ。

 道教委では、教職員が子どものSOSに気付き、寄り添うためにどのような取組をしてきたのか、また、今後どのように取組を進めるのか伺う。

A倉本教育長 自殺予防の取組について。道教委では、初任段階教員研修や管理職研修はもとより、毎年度、国の有識者等を講師とする自殺予防に関する研修を実施するなど、教職員の指導力の向上に努めてきたほか、保健体育や道徳、特別活動での指導計画や実践例を取りまとめた指導プログラムや、児童生徒のSOSの出し方とその受け止め方に関する研修資料を、心理、医療の専門家と協働して作成し、各学校での活用促進に取り組んできた。

 今後は、道教委の自殺予防教育検討会において、専門家の意見を踏まえて、4年度に作成した児童生徒の心の変化を可視化できるアセスメントツールの学校での一層の活用促進に取り組むなどして、学校において、教職員が児童生徒のSOSに気付き、児童生徒の心のケアなど、心の危機に組織的に対応できるよう、自殺予防教育の充実に取り組んでいく。

◆特別支援学校整備状況

Q真下委員 本道の道立特別支援学校は、5年度時点で66校設置されており、幼児・児童生徒数は5492人となっている。

 20年前の2003年度は3920人だったことと比べると、1・4倍となっている。

 道教委は、これまで、幼児児童生徒数の増加に伴い、教室不足、狭あい化への対策を行ってきたと承知しているが、実態としては対策が生徒数の増加に追いついていない。

 道教委は、特別支援学校の整備の現状の課題をどう認識しているのか、まず伺う。

A齊藤道立学校配置・制度担当局長 特別支援学校の教室不足について。道教委では、これまで、教室不足への対応として、校舎の増築や既存施設を活用した学校の新設、通学区域の見直しなどによって必要となる普通教室は確保できているが、一部の学校において、そうした対応を上回るペースで児童生徒数が増加し、依然として教室不足が続いている状況にあり、3年9月に施行された特別支援学校設置基準も踏まえつつ、早急に対応しなければならない課題と考えている。

Q真下委員 特別な事情による例外規定はあるが、道内66ヵ所中、寄宿舎が設置されている学校は何校か、また、全道で寄宿舎を利用している幼児児童生徒数は何人か。

A手塚道立学校配置・制度担当課長 寄宿舎の設置数などについて。道立特別支援学校66校のうち、ことし5月1日現在で寄宿舎を設置している学校は41校であり、1393人の幼児児童生徒が入舎している。

Q真下委員 道教委は、寄宿舎の教育的意義、通学保障、就学保障とともに、とりわけ児童生徒の発達を支援するという観点からの教育入舎の必要性についてどう認識しているのか伺う。

A大畑特別支援教育課長 道立特別支援学校の寄宿舎について。寄宿舎は、居住地が学校から遠隔地にあるなどの理由で通学が困難な幼児児童生徒等が利用しており、また、将来の自立と社会参加に向けた基本的な生活習慣や社会性を身に付けるとともに、家庭的な雰囲気の中、集団生活を通して人格形成を図ることができるなど、重要な生活の場としての教育的意義を有するものと考えている。

Q真下委員 寄宿舎だからこそ行える教育の姿や、寄宿舎を利用した児童生徒の発達における変化が伝わる形で、広く広報していく必要があると考える。どう取り組むのか伺う。

A大畑特別支援教育課長 保護者等への周知について。保護者や幼児児童生徒の中には、寄宿舎生活を通じて規律ある生活リズムや社会性を身に付けたい、集団生活を通じコミュニケーション能力を高めたい等の理由によって入舎を希望する場合もあり、各学校では、これまでも、入学前の教育相談などにおいて、寄宿舎に入舎している幼児児童生徒の生活の様子や集団生活の意義、成長の様子などを説明してきた。

Q真下委員 児童生徒一人ひとりの発達に応じた支援や就学機会の保障が求められており、画一的な対応ではなく、個々の状況等に柔軟な対応が必要と考える。寄宿舎利用を希望する児童生徒と保護者の意向に最大限応えて対応すべきと考えるが、いかがか。

A大畑特別支援教育課長 寄宿舎の利用について。寄宿舎への入舎など寄宿舎の管理に関する事項は、道立特別支援学校学則において校長が定めることとされており、寄宿舎の利用については、居住地や保護者の要望等を踏まえながら入舎の可否を検討している。

 各学校においては、幼児児童生徒の障がいの状態や保護者の登下校の送迎に係る負担など、個々の状況を十分考慮して、可能な限り、幼児児童生徒や保護者に配慮した対応を行っている。

Q真下委員 学校においては、入舎を断るなど、画一的な対応を行っている学校や、基本的には受け入れるということを表明しながら、実際には入舎できないという現状もあると聞いている。

 このような状況があるのであれば、実態の把握が必要であって、本当に保護者や子どもの発達のためにいい方法を選択できるようにするために、実態把握をして対応していくことが必要だと考える。いかがか。

A大畑特別支援教育課長 入舎等の実態について。今後においては、入学時に入舎希望がある場合に応じられないケース等について、登下校送迎の負担など、個々における状況を確認することを検討していく。

Q真下委員 道内の特別支援学校寄宿舎については、その多くが、建築時期を同じくする学校とともに老朽化が深刻な問題となっている。

 道教委では、寄宿舎の改修、改築について、どのような方針のもとでこれまで対応してきたのか。

A金田施設課長 寄宿舎の老朽化対策について。北海道ファシリティマネジメント推進方針では、道有建築物等の長寿命化やライフサイクルコストの縮減に向けた取組を進めるため、予防保全型の計画的な修繕を推進することとしている。

 道教委では、建築後、経過年数に応じて大規模改造工事を実施するほか、耐用年数到達前に長寿命化診断を行い、必要に応じて長寿命化改修工事を実施している。

Q真下委員 ファシリティマネジメント推進方針においては、築47年目を迎える前に長寿命化診断を行い、必要に応じて長寿命化改修工事を実施するということになっているが、長寿命化工事を実施したあと、建て替えについての検討はどのように行われるのか。

A金田施設課長 寄宿舎の長寿命化の検討について。道教委では、施設の適正な保全のため、北海道ファシリティマネジメント推進方針に基づき、鉄筋コンクリート造の校舎の場合、建築後47年目を迎える前に長寿命化診断を行い、長寿命化改修工事を実施することとしているが、工事後については、今後、道全体の道有建築物に係る取り扱いの状況を踏まえ、対応していく。

Q真下委員 道教委は、老朽化の実態をどう把握しているのか、学校からの要望の際には、現場職員の声が十分に反映されて、改善されることが必要ではないかと考えるが、いかがか。

A伊賀総務政策局長 老朽化した学校施設への対応について。道教委では、教育活動の基盤となる学校での安全で安心な環境を確保するため、学校が毎年度作成する施設整備計画書などによって、改修要望を把握し、計画的および随時の改修などを行っている。

 また、児童生徒の学校生活に支障を生じている場合などについては、担当職員による現地調査を行い、今後の修繕計画を見据えながら、臨時・応急的な対策を早急に検討するなど、学校施設の劣化などによって教育活動や児童生徒の安全面に影響を及ぼすことのないよう、学校の実情を踏まえて、緊急性や優先度を考慮しながら、良好な教育環境の確保に向けて整備に取り組んでいる。

Q真下委員 寄宿舎は、原則として複数人で生活するスタイルとなっていた。プライベート空間はカーテン1枚で隔てられているのみで、プライバシーが確保されているとは言い難い状況だった。

 特に、思春期の多感な時期の児童生徒が利用する寄宿舎では、プライベート空間の確保は必要不可欠ではないか。

 また、LGBTQの児童生徒が入舎することも想定されたと聞いている。

 授業空間における対応とともに、寄宿舎を利用した際に対応できる環境整備が必要だ。施設整備が障がいに対する合理的配慮に追い付いていない現状をどう認識して、どう是正していくのか伺う。

A堀籠特別支援教育担当局長 寄宿舎における配慮について。道立特別支援学校の寄宿舎は、複数名で1室を使用する舎室となっており、現在は、一部の学校において、寄宿舎生の減少に伴い、1人1室の使用となっている場合があるものの、幼児児童生徒の状況に応じて間仕切りやカーテンなどによってプライベート空間の確保に努めている。

 道教委としては、幼児児童生徒の年齢や発達の段階、障がいの状況等に応じ、可能な限り個々に応じた支援や合理的配慮がなされるよう、他県等の事例を提供するなどして各校の取組を支援していく。

Q真下委員 寄宿舎の果たす教育的役割は、通学困難の解消だけにとどまらず、発達困難を有する子どもや保護者を支える生活支援、発達支援の役割も併せ持っていると考えるが、教育長の見解を伺う。

 特別支援学校を利用する児童生徒数の増加は今後も見込まれており、学校、寄宿舎、共に老朽化が進む中で、これまでにない規模とスピード感を持って環境改善に取り組む必要があると考える。具体的対応をどうするのか、併せて伺う。

A倉本教育長 特別支援学校の寄宿舎について。道立特別支援学校における寄宿舎は、集団生活を通じて日常生活を送る上で必要な基本的生活習慣の確立や、社会生活において必要とされる対人関係、さらには、規範意識の向上が図られるなど、幼児児童生徒の成長にとって教育的意義があるものと認識している。

 こうした中、道教委では、子どもたちの生活の基盤となる寄宿舎に関し、安全で安心な環境を確保するため、可能な限り改修等を行っているところであるが、寄宿舎生活に支障が生じる場合などについては、臨時・応急的な対策を早急に検討するなど、幼児児童生徒が寄宿舎生活を通して、自分の力で考え、仲間たちと協力し、助け合いながら活動できるよう、また、生活や安全面に影響を及ぼすことのないよう、良好な教育環境の整備に取り組んでいく。

◆教員未配置

Q真下委員 全道の道立学校および特別支援学校の未配置の現状と推移について示していただきたい。

 必要な教員の確保に努めると答えていたが、なぜ未配置が続くのかも併せて伺う。

A立花教職員課長 欠員の状況などについて。道立高校および特別支援学校における欠員の数は、3年度当初は、特別支援学校で3人、4年度当初は、高校6人、特別支援学校7人で計13人、本年度当初は、高校17人、特別支援学校9人で計26人となっている。

 近年、教員志願者の減少が続いていることなどによって、休職や産休、育休などに伴う代替教員の配置など、教員の補充が必要であるにもかかわらず、その確保ができないことで欠員が生じている。

Q真下委員 国は、産休や育休、病休者等の増加、特別支援学級数の増加などを未配置の要因として挙げているが、道はどう分析しているのか。

A谷垣教職員局長 欠員の要因について。文部科学省が3年度に、各都道府県、指定都市教委を対象に実施した、教員不足に関する実態調査では、教員不足が生じた要因について、産休・育休取得者、病休者数が見込みより増加した、特別支援学級数が見込みより増加したと回答した教育委員会が多くなっている。

 本道においても、年度によっては同様の要因が生じているほか、近年の教員採用選考検査における受検者の減少によって、採用予定者数に対して余裕のある登録者の確保が難しくなっている教科などがあることに加えて、地域によって欠員補充のための期限付教員として任用できる人材を得ることが困難になっていることが、欠員が生じる主な要因となっている。

Q真下委員 法定の産休はもちろん、育休取得も増えている。育休取得の期間等の変化と理由について伺う。

A立花教職員課長 育休取得期間などについて。本道の札幌市を除く公立学校教員等の育児休業取得者数は、平成28年度は、男性が12人、女性が378人で計390人、令和3年度は、男性が39人、女性が393人で計432人となっている。

 男性職員は、いずれの年度もほとんどが1年以下の取得であるが、女性職員の取得期間ごとの割合は、平成28年度は、1年以下が16%、1年を超え2年以下が46%、2年を超える者が38%だったのに対して、令和3年度は、1年以下が22%、1年を超え2年以下が40%、2年を超える者が38%となっており、1年以下の取得が6ポイント増加している。

 育休の取得期間について、個々の職員の事情までは把握していないが、近年、育休代替教員の確保が難しい状況が続いていることが、長期の育休取得をためらわせることにつながらないよう努めていく。

Q真下委員 長期の育休取得をためらわせている現状にあるのではないかと考える。

 教員の多忙化が解消されず、定時退勤の難しさによってなかなか職場復帰できない実態があるのではないか。復帰しない職員はこれまでどのくらいいて、また、その理由をどう把握しているのか。

A立花教職員課長 育休取得後の復職の状況について。個々の職員の退職理由の詳細は把握していないが、道立学校において過去3年間に育児休業取得後に復職せず退職した教員の数は、令和2年度と3年度は共に、高校で1人、特別支援学校で4人の計5人ずつ、4年度は特別支援学校で3人となっている。

Q真下委員 期限付ではなく、正規の教員採用で十分確保するなど、一刻も放置しないことが求められていると考える。どう対応するのか伺う。

A谷垣教職員局長 育休等の代替教員の確保について。教員の欠員は、他の教員の業務負担ばかりではなく、こうしたことへの懸念が産休、育休を取得する教員の心理的負担にもなりかねないものと考えている。

 そのため、道教委では、これまで、様々な媒体を活用した教員の募集や大学などの協力による潜在的な人材の発掘に努めてきたほか、本年度から、新たに、年度中途からの産休、育休の取得が見込まれている場合には、国の加配を活用し、年度当初から代替の教員を配置するなど、欠員をできる限り生じさせない取組も進めてきている。

 引き続き、関係機関などと課題意識を共有し、連携を強化しながら、補充のための教員の確保に努めていく。

Q真下委員 特別支援学校・学級の増加を理由にしているが、こちらはどう推移して、欠員状況がどうなっているのか、なぜ確保できないのか、伺う。

A立花教職員課長 学級数の推移などについて。道立特別支援学校についは、令和3年度は67校、1294学級で、欠員が3人、4年度は67校、1286学級で、欠員が7人、本年度は66校、1289学級で、欠員が9人となっている。

 また、札幌市を除く道内の公立小・中学校の特別支援学級数は、3年度は3850学級、4年度は3960学級、本年度は4024学級と、年々増加しており、特別支援学級を設置する小・中学校での欠員は、3年度は35人、4年度は47人、本年度は68人となっている。

 少子化の影響によって、小・中学校全体では、学校・学級数や教員数は減少しており、特別支援学級の増が欠員に大きく影響しているものではないが、教員志願者数の減少や期限付教員となる人材の不足などによって欠員が増加している。

Q真下委員 病気休職者についても、代替採用はできているのか。病気休職者の推移はどうなっているのか、正規教員欠員に対してどう対応しているのか、代替措置をどう取っているのか伺う。

A立花教職員課長 病気休職者の推移などについて。道立学校における教員の病気による休職者は、3年度当初は43人、4年度当初は36人、本年度当初は60人となっている。

 教員が休職する場合は、代替のための期限付教員や時間講師を配置しているが、人材を確保できないことによって、3年度は2人、4年度は1人、本年度は4人が欠員となっている。

Q真下委員 教員のうち、正規教員の未配置の人数はどう推移しているのか、また、正規教員と期限付教員の数と比率の推移も併せて示していただきたい。

A立花教職員課長 期限付教員の数などについて。道立高校においては、病休や産休、育休に係る者を除き、3年度は、正規教員が5949人、期限付教員が76人、欠員はなし、4年度は、正規が5779人、期限付が108人、欠員が6人、本年度は、正規が5657人、期限付が127人、欠員が14人であり、期限付教員の比率は、3年度が1・3%、4年度が1・8%、本年度が2・2%で推移している。

 また、道立特別支援学校においては、3年度は、正規が3006人、期限付が91人、欠員が1人、4年度は、正規が2958人、期限付が105人、欠員が3人、本年度は、正規が2923人、期限付が119人、欠員が6人であり、期限付教員の比率は、3年度が2・9%、4年度が3・4%、本年度が3・9%で推移している。

Q真下委員 教職員不足の中で、道は、未配置を放置する一方で、勧奨退職で、本年度末、高校で21人、特別支援で16人の退職を勧めている。

 教職員の不足を回避しようとするのであれば、勧奨退職は今、必要なのか。就業継続を進めるよう見直すなど、教職員確保を最優先とする対策へ転換すべきではないかと考えるが、いかがか。

A北村教育部長 勧奨退職について。勧奨退職は、職員の新陳代謝を促進し、組織の活性化と公務能率の増進に資するため実施しているものであり、効果的な人事施策を行うために必要なものと考えている。

 また、退職を控えた職員の多様なライフプランを支援するための選択肢の一つとしても、引き続き必要な施策であると考えており、勧奨退職によって欠員が生じることのないよう、希望する教員の見込み数を的確に把握し、採用計画に反映するなど、引き続き、適切な人事管理に努めていく。

Q真下委員 これまで、教員不足には、例えば、免許更新制による免許失効者の増加などの影響もあったものと考えられるが、教員免許更新制の廃止を踏まえ、今後どのように取り組むのか伺う。

A立花教職員課長 免許更新制について。昨年7月に教員免許更新制が発展的に解消されたことによって、旧制度のもとで教員免許を失効された方や、免許がいわゆる休眠状態にある方についても、欠員の解消に向けた貴重な人材になり得るものと考えている。

 更新制の廃止に伴い、教員免許を失効された方は、再授与の手続きを経た上で、また、休眠状態の方は、手続き不要で任用が可能であり、道教委では、こうした取り扱いについて、ホームページ上での周知や教員募集のリーフレットへの掲載に加え、大学に対しては、卒業生への情報提供を依頼してきた。

 引き続き、市町村教委や大学などの関係機関の協力も得ながら、こうした情報がより多くの教員免許所有者に届くよう、工夫しながら周知していく。

Q真下委員 本道は、免許外教科担任の許可件数が全国で最も多い。

 改善しているのか、教員免許は研修で代替できる程度の専門性なのかということを伺う。

A谷垣教職員局長 免許外教科担任について。教員免許制度は、質の高い教育の提供を教員の資質・能力の面から制度的に担保するものであり、免許外教科担任は、その例外として抑制的に用いるべきものであることに加え、専門以外の教科の指導は教員にとって大きな負担を伴うものと考えている。

 小規模校が多い地域性から、本道では、他都府県と比較し、免許外教科担任が多くなっているが、これまで、加配教員や非常勤講師の活用のほか、複数免許所有者の効率的な配置や複数校での兼務など、人事配置上の工夫をしながら、その解消に努めてきており、平成29年度は1066件であったものが令和3年度には815件と、近年、免許外教科担任は減少してきている。

 道教委としては、引き続き、その解消に努めるとともに、許可する場合にあっては、教科指導に必要な専門性を補えるよう、研修や指導主事による助言などの支援策を講じるなど、教育の質の確保と教員の負担軽減に努めていく。

Q真下委員 教員の未配置問題は、教職員の働き方が改善されず、成り手不足の象徴となっているとも言える。

 公教育の役割を果たしていく責任がある道教委においては、未配置問題を軽く考えているのではないかとも感じるが、欠員の解消を先延ばしにしてはならない。

 何としても解決すると言明できるのかどうか、伺う。

A倉本教育長 今後の取組について。子どもたちの豊かな学びを保障する上で、その直接の担い手となる優秀な教員を確保することは何よりも重要であり、欠員の解消は最優先で取り組まなければならない課題と認識している。

 道教委では、これまで、様々な媒体の活用による教員の募集に加えて、市町村教委や大学などの協力による潜在的な人材の発掘などによって欠員の補充に努めてきているが、いまだその解消に至ってはおらず、さらに取組を強化していく必要がある。

 道教委としては、これまでの取組の成果や課題などを検証しながら、より実効性のある取組を推進するとともに、働き方改革の取組をさらに加速させ、教員がその意欲と能力を最大限に発揮できる職場環境づくりに努め、教員の確保に全力で取り組んでいく。

(道議会 2023-12-05付)

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道議会質疑 予算特別委員会(7月11日)

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(2023-12-06)  全て読む

道立校冷房整備に着手 道議会で倉本教育長

 道教委の倉本博史教育長は1日の4定道議会一般質問で、国の補助金を活用し、道立学校における冷房設備の整備に着手する考えを示した。林祐作議員(自民党・道民会議)、松山丈史議員(民主・道民連合)...

(2023-12-04)  全て読む

道議会質疑 予算特別委員会(7月11日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼渕上綾子委員(民主・道民連合) ▼白川祥二委...

(2023-11-28)  全て読む

道議会質疑 予算特別委員会(7月11日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼檜垣尚子委員(自民党・道民会議) 【答弁者】...

(2023-11-21)  全て読む

道議会質疑 予算特別委員会(7月11日)

【質問者】 ▼鈴木一磨委員(民主・道民連合) 【答弁者】 ▼倉本博史教育長 ▼北村英則教育部長 ▼伊賀治康総務政策局長 ▼齊藤順二道立学校配置・制度担当局長 ▼相川芳久ICT教...

(2023-11-17)  全て読む

3定道議会決算特別委(14日) 小・中学校で365人 情報を分析・改善 中途退職の防止

 教員の中途退職者の防止が取り上げられた。  立花教職員課長は、ことし3月時点における札幌市を除く道内公立小・中学校の中途退職者数(勧奨による退職者除く)は小学校220人、中学校145人の...

(2023-11-16)  全て読む