道議会質疑 予算特別委員会(7月11日)
(道議会 2023-12-06付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼真下紀子委員(日本共産党)

【答弁者】

▼倉本博史教育長

▼山本純史学校教育監

▼伊藤伸一生徒指導・学校安全担当局長

▼大槻直広生徒指導・学校安全課長

◆校則見直し

Q真下委員 校則見直しによる子どもたちの変化についてどう把握しているのか、まず伺う。

A大槻生徒指導・学校安全課長 校則の見直しによる生徒の状況等について。3年12月に、各道立学校に対し、校則見直し等に関する通知を発出し、その後、生徒が主体となり、校則の見直しを進めた学校においては、例えば、生徒が自ら校則を見直すための委員会を立ち上げた事例や、生徒同士で校則について意見を出し合い、頭髪や服装検査を教職員が行う方法から生徒同士で行う方法に改めた事例があるなど、生徒が学校のルールを無批判に受け入れるのではなく、生徒自身が校則の根拠や影響を考え、身近な課題を自ら解決するといった行動が見られるようになったケースがある。

Q真下委員 ことしも調査を行っていると承知している。調査においてどのような点に留意したのか。

A大槻生徒指導・学校安全課長 本年度の取組について。道教委では、道立学校に対し、生徒指導に関わる各種会議や校長会議等を通じ、校則の内容が生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況などを踏まえたものになっているか絶えず積極的に見直すこと、校則の見直しや運用について、全教職員の理解を深め、生徒に意見を聴取するなどの必要な取組を進めることなどを指導助言しており、本年度は、各学校における校則を見直す際の手続きや、生徒が主体的に校則の見直しに参画した取組事例について把握することとしている。

Q真下委員 学校は、生徒も職員も、一度として同じ状況ではない。ブラック校則と言われる事態が幾分改善されてきたとはいえ、絶えず積極的に取り組む教育課題としてまだ現存している。一過性にとどまらず、見直しが進むように取り組む必要があるのではないかと考える。見解を伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 校則の見直しについて。学校を取り巻く環境や児童生徒の状況は絶えず変化するため、校則は、児童生徒の実情、地域の状況、保護者の考え方、社会の常識などを踏まえたものになっているか、不断に見直すことが必要であり、校則の指導が真に効果を上げるためには、その内容や必要性に関し、学校と児童生徒、保護者との間において共通理解を持つことが重要である。

 道教委としては、引き続き各学校での校則の見直しに関する取組状況を把握するとともに、校則の見直しの手続きや、生徒、保護者の参画など、各学校が実情に応じて適切に見直しを図るよう指導助言していく。

Q真下委員 前年度の調査では、校則を見直す意義について、教職員間の共通理解を得ることに時間を要しているとされていたが、その後どう取り組んで、その結果、効果を得られたのかどうか伺う。

A大槻生徒指導・学校安全課長 教職員間の共通理解について。道教委では、全ての道立学校を対象に、4年5月から6月にかけて実施した校則の見直し等に関する取組についての調査結果を通知し、全教職員の理解を深めるよう指導したが、その後においても、学校によっては、校則を見直す意義などについて、教職員間で十分な共通理解が図られていない状況もある。

 このため、毎年度実施する各管内での生徒指導連絡協議会において、各学校の生徒指導担当教員等を対象に、校則の見直しに当たっては、生徒が話し合う機会を設けたり、保護者から意見を聴取したりする機会を設ける仕組みを運用することに関し、その意義についての理解を深め、各学校において取組が促進されるよう指導助言している。

Q真下委員 髪型は、個人の価値観、表現の自由によるところが大きいが、今も、入学後、髪カラーで髪の色をチェックしている高校がある。縮毛の生徒は、髪を伸ばして引っ張って、長いということで、カットするように指導されたなど、不合理な実態の相談があった。

 校則の見直しと生徒指導の在り方、ここに今も乖離があるのではないかと考える。道はこうした実態を把握しているのか。

A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 校則に関する指導について。生徒指導は、児童生徒が社会の中で自分らしく生きることができる存在へと自発的、主体的に成長や発達する過程を支える教育活動であり、こうした生徒指導のねらいを各学校に浸透できるよう、道教委としては、校則に基づく指導を行う場合は、一人ひとりの児童生徒に応じて適切に指導するとともに、児童生徒の内面的な自覚を促し、自主的に守るように指導することや、教員が、形式的に規則にとらわれて、規則を守らせることのみの指導になっていないか、注意を払うことなどについて指導助言している。

Q真下委員 校則は、健全な学校生活を営み、成長していくための行動指針だと道教委は述べている。生徒との共通理解がなければ押しつけと取られかねない。健全性とは何かを具体的に示して、共通理解に向けてどう取り組んでいくのか、伺う。

A山本学校教育監 校則等について。校則は、生徒が健全な学校生活を営み、より良く成長していくための行動指針であって、学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内において定められるものであり、必要かつ合理的な範囲を逸脱しているものは見直す必要があると考えている。

 道教委としては、各学校において、健全な学校生活を送る上で必要かつ合理的に定められる校則の内容やその運用に関し、生徒が話し合う場や保護者から意見を聴取したりする機会を設けるなど、校則の必要性や合理性などについての共通理解が促進されるよう指導助言しているところ。

Q真下委員 必要かつ合理的な範囲内とはどういうことかということを具体的に共通理解しなければならないと考える。

 校則を調べていく中で特に気になったのが、華美な髪型、華美な下着などは認めないとあるが、これはなぜなのか。また、華美というものの基準とは何なのか、合理的な理由があるのか伺う。

A大槻生徒指導・学校安全課長 校則の基準について。校則は、学校が教育目標を達成するため、児童生徒が順守すべき学習上、生活上の規律について、社会環境や児童生徒の実情を踏まえ、必要かつ合理的な範囲内において定めるものである。

 現在、頭髪や服装の基準の見直しを行っている学校の中には、生徒自らが校則の内容についての考えを意見書にまとめ、進学先の大学や企業からの助言をもらいながら校則の見直しに取り組んでいる事例もあり、そうした多様な考え方の中から、自校の実情に合った合理的な基準等を形成することが大切である。

Q真下委員 児童生徒が萎縮することなく意見を述べることができて、生徒と教職員が互いにリスペクトしながら、生徒の能力をさらに引き出し、成長につなげることができているのだろうか。

 生徒の価値観も多様となり、育ちの環境も学習環境も全く異なる生徒たちを前に、学校教育に携わる教職員の努力は並々ならないと考えるが、生徒指導はどう見直されているのか伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 生徒指導の見直しについて。昨年12月に改訂された生徒指導の基本書である生徒指導提要では、生徒指導を、自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動と示されていたことに加え、児童生徒が自身を個性的存在として認め、自己に内在している良さや可能性に自ら気付き、引き出し、伸ばすと同時に、社会生活で必要となる社会的資質・能力を身に付けることを支える働きと示された。

 このため、従来の生徒指導と比べて、児童生徒の発達を支える働きが重要視される、言わば、させる指導から支える指導へと見直されたものと考えている。

Q真下委員 過度な競争的環境の改善について、国連から何度も勧告を受けている日本で、2022年は514人もの子どもが自ら命を絶っている。生徒指導の在り方について、校則と同様、見直していくべきではないか。

A山本学校教育監 生徒指導の在り方について。近年、子どもたちを取り巻く環境が大きく変化する中、生徒指導の状況も変化していることから、国は生徒指導の基本的な考え方や取組の方向性などを再整理するとともに、今日的な課題に対応するため、生徒指導提要を改訂した。

 道教委としても、昨年6月にこども基本法が成立し、子どもの権利擁護や意見を表明する機会の確保が法的に位置付けられたことなど、こうした国の動きを十分に踏まえ、各学校において、児童生徒が社会の中で自分らしく生きることができる存在へと自発的・主体的に成長や発達する過程を支える教育活動が展開されるよう、本道における生徒指導の改善・充実に向け、各学校と連携協力しながら取り組んでいく。

Q真下委員 自己肯定感を高め、過ごしやすい学びの場となって、教育効果が高まるように今後の取組を求めたい。教育長の見解を伺う。

A倉本教育長 教育効果などについて。校則は、生徒が健全な学校生活を営み、より良く成長していくための行動指針として校長が定めるものであるが、その見直しの過程で、生徒や保護者の意見を聞くことは、生徒一人ひとりが校則を自分のものとして捉え、また、生徒自身がその根拠や影響を考え、身近な課題を自ら解決するといった主体的・自立的に行動することができる態度を育成するなどの教育的な効果があるものと考えている。

 道教委としては、各道立高校の状況に応じて取組が一層進むよう必要な指導を行うほか、生徒一人ひとりの人権や個性が尊重され、より良い学校生活を送ることができる体制づくりを支援していく。

◆学習権の保障

Q真下委員 虐待や触法行為などによって、児童相談所や里親などに委託する一時保護の子どもたちが年間1500人を超えている。一時保護所で保護する児童は、2021年度で977人となり、毎年、1000人近くとなっている。基本は、児童相談所職員が、行動観察や生活指導のほか、学習指導も行っていると聞いている。児童生徒の学習権の保障が必要だという考えから、一時保護所の子どもたちにどのような対応がなされているのか、伺いたい。

A大槻生徒指導・学校安全課長 児童生徒への学習指導などについて。児童相談所などに一時保護されている児童生徒の中には、学習するだけの精神状況にないケースや、授業を十分に受けていないため、基礎的な学力が身に付いていない児童生徒がいるため、個々の状況や特性、学力に配慮した指導が必要であり、在籍校と一時保護所が緊密な連携を図り、どのような学習を展開することが有効か協議し、一日の過ごし方として、学習支援やスポーツなどのレクリエーション、読書や音楽鑑賞などをしている。

 一定の要件を満たす場合は、指導を受けた日数を、指導要録上、出席扱いとするなどの対応をしている。

Q真下委員 学習について、在籍校からテキストなどの提供などがあったと承知しているが、1人1台端末の時代、遠隔地の一時保護所でも、本人が希望すればホームルームや授業に参加できるような取組も必要ではないか。これまでの実績があったら、紹介していただきたい。

A大槻生徒指導・学校安全課長 遠隔授業について。道の関係部局によると、道内の児童相談所で一時保護の間に、在籍校からのオンライン配信を受け、授業に参加した事例があったと聞いている。

Q真下委員 あらためて、一時保護された児童生徒への対応を検討していただきたいと考える。教育長の見解を伺う。

A倉本教育長 児童生徒への対応について。厚生労働省の児童相談所運営指針や一時保護ガイドラインでは、一時保護所の入所時、子どもたちは精神的に不安定な状態になっている場合が多く、心理的ケアなどによって安定した生活を送れるよう配慮することや、個別対応しなければならない場合、個別対応プログラムを作り対応することとされている。

 道教委として、児童生徒がこうした考え方のもとで一時保護されていることを踏まえ、児童生徒の学習機会の充実に向け、児童相談所と在籍校が十分に協議し、一人ひとりの子どもたちの状況に応じて適切に対応していけるよう関係部局と連携し、市町村教委や関係機関に働きかけていく。

D真下委員 一時保護された子どもたちも、特別支援教育の中で寄宿舎で過ごしている子どもたちにも、そうした教育が保障されるように一層の尽力を求める。

(道議会 2023-12-06付)

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