道議会質疑 予算特別委員会(7月11日)(道議会 2023-11-21付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼檜垣尚子委員(自民党・道民会議)
【答弁者】
▼倉本博史教育長
▼山本純史学校教育監
▼伊賀治康総務政策局長
▼川端香代子学校教育局長
▼山城宏一指導担当局長
▼堀籠康行特別支援教育担当局長
▼相馬利幸高校教育課長
▼遠藤直俊義務教育課長兼幼児教育推進センター長
▼大畑明美特別支援教育課長
▼田口範人部活動改革推進課長
◆部活動地域移行
Q檜垣委員 前年度、道内では、スポーツ庁の事業を活用した複数自治体による広域連携の取組が行われた。取組の成果と課題について伺うとともに、どのように全道に波及させていくのか、併せて伺う。
A田口部活動改革推進課長 部活動の地域移行に関する自治体連携の取組について。道教委では、前年度、国の事業を活用し、道が実施自治体、名寄市、鷹栖町、比布町が実証自治体となり、地域スポーツ連携・協働再構築推進プロジェクトを実施した。
この事業では、コンサドーレ札幌のバドミントンチームやバレーボールチームのヴォレアス北海道などのプロスポーツチーム、民間事業者の協力を得て、各市町の子どもたちが交流しながら様々なスポーツを体験するイベント等を実施し、各市町からは、地元のプロチームと子どもたちとのつながりや関係者間のネットワークが構築された、自治体間での連携の在り方についての検討が必要といった声が寄せられた。
道教委では、この事業の実績報告書をホームページに掲載するとともに、各種会議や研修会等の様々な機会で紹介するほか、前年度と同様の枠組みで市町と共に事業を実施し、自治体間の連携の仕組みづくりを進めていく。
Q檜垣委員 道教委では、課題とされている地域の指導者確保に向けて、ことし3月に指導者人材バンクを立ち上げた。
現在の登録者数と、管内別、種目別の状況について伺うとともに、今後、登録者拡大に向けてどう取り組むのか、併せて伺う。
A田口部活動改革推進課長 指導者人材バンクについて。道教委では、部活動を指導できる人材を候補者として登録し、市町村教委などに情報提供することを目的として、ことし3月に「ほっかいどう部活動・地域クラブ活動サポーターバンク」を設置し、6月末現在、延べ358人に登録いただいている。
管内別の状況では、石狩管内が97人、渡島管内が41人のほか、4管内が20人台、5管内が10人台、3管内が10人未満となっている。
また、種目別では、吹奏楽が78人、野球が42人、サッカーが21人、合唱が20人であり、その他の42種目については20人未満の登録となっている。
道教委では、ウェブページを通じた広報に引き続き取り組むとともに、民間企業等を対象としたイベントにおける周知や、家庭教育サポート企業等との連携したPR活動など、様々な機会を通じ、登録者の拡大に向け取り組んでいく。
Q檜垣委員 道教委では、前年度から、地域の検討会議などに専門家を派遣する事業を行っている。その成果と今後の取組について伺う。
A田口部活動改革推進課長 アドバイザーの派遣について。道教委では、地域における望ましい部活動の在り方や地域移行の取組を支援することを目的として、地域スポーツの実践経験者や大学教授等を希望する市町村に派遣する、部活動の在り方検討支援アドバイザー派遣事業を実施しており、前年度は19市町に派遣した。
本事業の活用後において市町村を対象に実施したアンケートでは、部活動の地域移行への理解が深まったという回答が9割を超えるなど、一定の成果があったと認識しており、本年度は、アドバイザーを増員して助言体制の強化を図るとともに、アドバイザー同士の定期的な協議によって地域の実情を把握した上で、市町村への情報提供を行うなど、より一層、地域のニーズを踏まえた支援となるよう取り組んでいく。
Q檜垣委員 各市町村では、部活動の地域移行に向けた取組が始まっている。本年度の取組状況はどのようになっているのか、伺う。
A田口部活動改革推進課長 市町村の取組状況について。ことし6月現在、8割を超える市町村が内部検討を終了または取組中であり、このうち、55市町村が国の「部活動の地域移行等に向けた実証事業」等を活用し、部活動の地域移行に向けた運営団体の体制整備や学校との連絡調整を担うコーディネーターの配置、地域住民を対象にした説明会の開催などの取組を進めている。
また、登別市では、市と中学校が連携し、生徒がスポーツや文化芸術活動に親しむ場を提供する新たな地域主体のクラブを立ち上げる取組や、小樽市では、拠点校方式による合同部活動を導入しながら段階的に体制を整備する取組など、各市町村で地域の特色を生かし、独自の取組が進められていると承知している。
Q檜垣委員 道教委は6月、組織機構改正を行い、新たに部活動改革推進課を設置した。どのような役割を果たしていくのか伺う。
A川端学校教育局長 部活動改革推進課の役割について。道教委では、ことし3月に策定した、北海道部活動の地域移行に関する推進計画に基づき、各地域において部活動の地域移行が円滑に進められるよう、新たに部活動改革推進課を設置した。
部活動改革推進課は、市町村の取組状況を踏まえながら、運営団体、実施主体の整備に向けた事例の提供や助言のほか、指導者確保のための人材バンクの整備、部活動の位置付けについての理解の促進など、地域移行に向けた課題解決に取り組むこととしている。
Q檜垣委員 推進計画を効果的かつ着実に実施するためには、各市町村はもとより、道教委の関係課や各教育局のサポートチームのほか、知事部局との連携が不可欠であると考える。道教委は、関係部署との連携体制をどのように構築するのか、伺う。
A川端学校教育局長 連携体制の構築について。道教委では、本庁関係課や教育局が横断的に連携しながら、部活動の地域移行に関する推進計画に基づく施策を推進するため、ことし3月に、教育庁内の学校教育、社会教育、部活動を担当する幹部職員で構成する部活動改革推進本部を設置したほか、4月には、部活動の地域移行に関する管内市町村への支援などを行うため、各教育局に、部活動の地域移行に係る市町村サポートチームを設置した。
今後は、部活動改革推進本部会議を8月までに開催し、庁内の連携体制のもと、各市町村の進捗状況の把握や対策の検討を行うとともに、知事部局のスポーツ文化担当部署とも連携するなどして、市町村の取組を支える体制の充実を図っていく。
Q檜垣委員 地域によって格差が生じ、子どもたちに不平等があってはならない。必要な財源の確保についてはしっかりと国に要望することも不可欠である。
今後、推進計画に基づき、地域の実情に応じて部活動の地域移行が円滑に行われるよう、道教委としてどのように取り組んでいくのか伺う。
A山本学校教育監 今後の取組について。中学校における部活動の地域移行は、地域の子どもたちは、学校を含めた地域で育てるという考え方のもと、生徒の望ましい成長を保障できるよう、地域の持続可能で多様な環境の一体的な整備によって、地域の実情に応じ、スポーツ・文化芸術活動の最適化を図り、体験格差を解消することを目指すものである。
道教委としては、部活動の地域移行に関する推進計画に基づく取組を着実に進めるため、各市町村の取組状況や課題などをきめ細かく把握し、実情に応じた提案や助言を行うとともに、全国都道府県教育委員会連合会と連携して、必要な財源措置などを国に引き続き要望するなどしながら、全ての市町村において地域移行が円滑に進むよう、関係者が一体となって取組を進めていく。
◆産業人材育成
Q檜垣委員 技術革新、産業構造の変化、グローバル化など、社会の急激な変化に伴って、専門高校で学ぶ生徒に習得が期待される資質・能力が変化しており、地域の持続的な成長を支える最先端の職業人を育成していくためには、加速的な変化の最前線にある地域の産業界で直接学ぶことが求められている。
マイスター・ハイスクール事業は、専門高校等と産業界、地方公共団体が一体となって最先端の職業人材育成システムを構築することを目的としている。どのような仕組みで行われているのか伺う。
A相馬高校教育課長 マイスター・ハイスクール事業について。この事業は、専門高校等と産業界、地方公共団体が一体となって最先端の職業人材育成システムを構築するとともに、専門高校等の職業人材育成に係る教育課程等の改善に資する実証的資料を得るための研究開発を行うものである。
この事業の運営に関する意思決定や評価などは、道教委、産業界、自治体の3者で構成する管理機関が設置したマイスター・ハイスクール運営委員会で行っており、指定校には、高等教育機関や産業界と連携し、取組を総括するマイスター・ハイスクールCEOや産業界の最先端の知識や技術等を生徒に指導する産業実務家教員をそれぞれ学校外から人材を得て配置している。
Q檜垣委員 3年度から指定校となった静内農業高校では、持続可能な日高農業の担い手の育成を目指して取組が行われている。これまでどのような取組が行われ、本年度はどのような取組を行うこととしているのか伺う。
A相馬高校教育課長 静内農業高の取組について。本道において、最初の指定校である静内農業高では、これまで、獣医師を講師としたウマの繁殖や獣医療に関する学習、農業改良普及センターと連携した日高農業に関する学習、JAしずないと連携した新規就農に関する学習、道総研と連携したあぶみの製作、札幌や地元の企業と連携した商品開発やどさんこプラザでの販売などに取り組んできた。
本年度は、前年度までの取組を継続するとともに、新たに、採草地や放牧地の土壌や飼料に関する学習や、開発した商品の内部品質の分析方法に関する学習を行うほか、科目「課題研究」で、3年生が1人1テーマで、地域農業や地域社会の発展につながる研究に取り組むなど、教育課程のさらなる改善・充実を図ることとしている。
Q檜垣委員 4年度から指定校となった厚岸翔洋高校では、地域の未来を創るマリン・イノベーターの育成を目指して取組が行われている。これまでの取組内容と本年度の取組について伺う。
A相馬高校教育課長 厚岸翔洋高の取組について。本道において2校目の指定校である厚岸翔洋高では、前年度、釧路水産試験場や厚岸漁協と連携したアサリ漁業における機械化、スマート化に関する学習、はこだて未来大学と連携したスマートブイの設置や厚岸港内外の水温や塩分などのモニタリングに関する学習、地域の水産製造業者等と連携した、未利用・低利用魚の活用による商品開発に関する学習などに取り組んできた。
本年度は、前年度の取組を継続するとともに、ドローンの活用による漁場管理のスマート化や地域と連携した未利用・低利用魚の有効利用による商品化に加え、9月に厚岸町で開催される全国豊かな海づくり大会において公式弁当のメニューの一部を生徒が考案するなど、地域との協働を通して、持続可能な未来を担う人材の育成に取り組むこととしている。
Q檜垣委員 両校のこれまでの取組によって、生徒や学校にどのような変化や成果が見られたのか、また、地域と学校との関係でどのような変化が見られたのか伺う。
また、今後に向けての課題についても併せて伺う。
A山城指導担当局長 取組の成果と課題について。指定校2校が実施したアンケートの結果によると、事業の成果として、生徒の地域産業への理解が深まり、地域のために貢献したいと考え行動できた生徒や地域の産業に就職しようと考える生徒の割合が増えている。
また、指定校では、馬産業やスマート水産業の分野で活躍する最先端の専門的知識や技術を有する職業人と連携するなど、これまで以上に人的ネットワークが広がり、高度化する専門的な知識や技術に対応した学びの提供を通じて、最先端の職業教育の充実を図ることができたところ。
一方、課題としては、この事業が、静内農業高では本年度、厚岸翔洋高では来年度に終了となることから、これまでの取組を各高校が継続していく仕組みづくりの検討や、他の専門高校に広げていくための方策の検討が必要となっている。
Q檜垣委員 地域では人材不足が大きな課題となっており、産業界等と専門高校の連携が一層求められている。
道教委としては、これまでの成果や課題を踏まえ、今後、どのように道内の専門高校に職業人材育成の取組を普及、定着させていくのか伺う。
A山本学校教育監 今後の取組について。事業の実施を通じて得られた生徒の意識の変化や学習意欲の向上、学校と地域との望ましい関係の構築など、マイスター・ハイスクール事業の優れた成果を取りまとめ、静内農業高ではことし12月に、厚岸翔洋高では来年度に実施する成果発表会や、事業に関する成果報告書や研究実施報告書の配布を通じて、全道の専門高校に本事業で構築した最先端の職業人材育成システムを普及啓発するなど、地域の産業界と高校が一体となって行う持続可能なカリキュラム開発を推進していく。
◆医療人材育成
Q檜垣委員 本道においては、人口減少や少子・高齢化の進行に伴い、労働力人口が年々減少する中で、中長期的な視点で医療人材を継続的に確保していくため、将来の医療を担う人材の確保に取り組むことが喫緊の課題となっている。
道では、6年4月から始まる次期医療計画策定に向け、医師確保対策の検討などを進めているところだが、将来を見据えた医師確保の一つとして、医学部への進学を検討する高校生への取組を推進することも重要と考える。
こうした中、道教委では、平成20年度から、地域医療を支える人づくりプロジェクト事業を実施している。本事業のねらいや具体的取組などの概要について伺う。
A相馬高校教育課長 地域医療を支える人づくりプロジェクト事業について。将来における本道の地域医療を支える人材を育成するため、医学部への進学を目指す地方の道立高校の生徒に対し、地域医療を担う使命感を育成するとともに、道内医育大学や保健福祉部等の関係機関と連携して進路希望の実現に向けた効果的な学習支援を行うものである。
具体的な取組としては、道立高校9校を指定校とし、医学部医学科への進学を目指す生徒に対し、きめ細かな学習支援を行うため、数学、理科、外国語等の授業で少人数指導を行う医進類型を設置するほか、医療に関する興味・関心を高めるための高校生メディカル講座や地域医療に対する理解を深めさせる地域医療体験事業、医学部進学を目指す全道の高校生が参加するメディカル・キャンプ・セミナーなど、地域医療の現状や医師という職業への理解を深める機会を提供してきたところ。
Q檜垣委員 指定校から医学部に進学する生徒数の推移はどのようになっているのか、また、本事業の成果について、道教委としてどのように受け止めているのか、併せて伺う。
A山城指導担当局長 成果について。指定校9校における医学部医学科への進学者数は、本事業を開始した平成20年4月の60人に対し、ことし4月は58人であり、事業実施前の4年間と事業開始後の15年間を年平均で比較すると、51・0人から59・4人に増加している。
また、メディカル・キャンプ・セミナーにおけるアンケート調査では、参加生徒の約9割が、進路実現に向けた意欲や学力向上を図る上で大いにためになったと回答したほか、講師の話を伺い、患者から信頼される医者になりたいと強く思うようになった、道内各地の高校生が参加していたので、グループワークなどで刺激を受けることが多く、勉強になったなどの感想があり、医師としての強い使命感や志を持つ高校生の育成に一定の成果があったと認識している。
Q檜垣委員 指定を受けた医進類型指定校においては、第2学年および第3学年の数学、理科、外国語などの授業で少人数指導を実施するため、教員を配置していると承知している。
過去5年間の指定校への配置数の推移を伺う。
本事業を効果的に継続していくためには、少なくとも現在の教員の加配数を維持することが必要と考えるが、道教委の考え方を伺う。
A伊賀総務政策局長 教員の配置について。道教委では、国の加配定数を活用し、数学、英語等の授業における少人数指導など、きめ細かな学習支援を行う学校に対し、国から措置される加配数の範囲内で、加配による効果が期待できる学校に配置しており、医進類型指定校9校に対し、令和元年度から3年度は14人、前年度は12人、本年度は11人の加配措置を行っているところ。
道教委としては、今後の具体的な配置については、その時々の状況を踏まえ、他への加配も含め、本道の教育環境を充実させるよう、毎年度検討することとなるが、医学部への進学を目指す生徒の進路実現を図るため、今後も様々な支援を行うことが重要と認識している。
このため、引き続き、医進類型指定校に必要な加配措置が行えるよう、国に対して加配措置の継続について要望していく。
Q檜垣委員 本事業を含め、地域医療を支える人材の育成は本道教育にとって重要な課題の一つと考える。
道教委として、今後どのように取り組んでいくのか、最後に教育長に伺う。
A倉本教育長 今後の取組について。本道各地域における深刻な医師不足の改善を図るためには、中長期的な視点に立ち、地域医療を支える人材を育成することが重要であり、地域医療の現状に対する理解の促進や使命感の育成など、医学部への進学を目指す生徒の進路実現に向けた効果的な学習支援が必要である。
道教委では、今後、メディカル・キャンプ・セミナーにおいて、これまで、道立高校のみとしていた参加対象を市町村立高校や私立学校まで拡大し、道内の幅広い生徒の参加を促すなど、事業の充実を図ることとしており、全道の医学部進学を目指す生徒の夢が実現し、将来の本道の医療を担う医師が一人でも多く育つよう取り組んでいく。
◆幼小連携
Q檜垣委員 子どもの成長にとって、幼児期に生涯にわたる学びや生活の基盤となる資質・能力を育み、その上で、小学校以降の教育活動につなげていくことが大変重要である。そのためには、幼児期の教育を質的に向上させるとともに、発達段階を見通した一貫性のある教育内容について、小学校との円滑な接続を図っていくことが大切である。
道内市町村の幼小連携接続の取組状況はどのようになっているのか、また、道教委では、現状をどのように認識しているのか、併せて伺う。
A遠藤義務教育課長兼幼児教育推進センター長 幼小連携の状況について。令和4年度に実施した幼児教育実態調査では、各市町村からの回答として、幼小の接続を見通した教育課程の編成、実施を行っているとした割合は、2年度の21・4%と比較し、16・3ポイント増加して37・7%だった。また、予定や計画がない、または、検討中とした割合は、2年度の30・4%と比較し、15・3ポイント減少して15・1%となっており、これらのことから取組が一定程度進んだものと考えている。
一方で、年数回の授業、行事、研究会などの交流はあるものの、幼小の接続を見通した教育課程の編成、実施を行っていないとした割合は47・2%であり、2年度の48・3%と比較し、変化が見られないことから、教育課程の接続など、幼小連携を一層促進させる必要があると考えている。
Q檜垣委員 道教委では、幼小連携接続に向けて、これまでどのような取組を進めてきたのか伺う。
A遠藤義務教育課長兼幼児教育推進センター長 幼小連携の取組について。道教委では、これまで、全ての管内において、振興局、教育局および市町村の首長部局、教育委員会などで構成する管内幼児教育振興ネットワーク会議や、市町村の首長部局や教育委員会の職員、保育者、小学校教員等を対象とした研修会を実施し、幼小連携に向けた課題等の共有に努めるとともに、連携接続のポイントや実践事例等をまとめた「幼小連携・接続ハンドブック」を作成・配布し、広く全道に周知してきたところ。
また、国の事業を活用し、義務教育開始前後の5歳児から小学校第1学年の2年間のかけ橋期のカリキュラム開発に向けた実践、検証を行う北海道版幼児教育スタートプログラム事業を4年度からえりも町で、5年度からは佐呂間町において実施しているところ。
Q檜垣委員 接続を見通した教育課程の編成、実施をしていない市町村が半数近いなど、連携接続の取組がいまだに十分とは言えない。
こうした現状やこれまでの取組などを踏まえ、幼小連携接続に向けた課題についてどのように考えているのか伺う。
A遠藤義務教育課長兼幼児教育推進センター長 幼小連携に向けた課題について。幼小連携の取組に遅れが見られる市町村では、幼児期から児童期までの一貫した教育の在り方について協議する機会や、公立、私立の別や施設種を超えて相互の教育活動を理解し、幼小連携接続の利点や効果を実感する機会が確保されていないことが課題となっている。
また、年に数回の交流にとどまっている市町村では、幼小連携接続の趣旨の理解や、各地域で目指す方向性の協議や共有が十分になされていないなどの状況が見られることなどから、幼児教育施設と小学校の連携接続を推進することができる人材の育成を含めた組織的な体制づくりと、幼小双方のカリキュラムを接続する具体的な方法などについて実践成果を蓄積し、普及する必要があると考えている。
Q檜垣委員 幼少連携接続には、幼児教育施設と小学校が互いの教育内容や指導方法の理解を深めることが大切であり、こうした取組を進めていくためには、幼児教育施設、小学校、市町村の関係部局等が組織的に連携協働することが必要である。
道教委では、幼小連携接続の推進に向けて、今後どのように取組を行っていくのか伺う。
A川端学校教育局長 幼小連携に向けた今後の取組について。道教委では、幼児教育施設と小学校が、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を共有した上で、小学校以降の学びに幼児教育施設の意見を取り入れたスタートカリキュラムが作成、実施されるよう、市町村の取組状況や課題をきめ細かく把握し、実情に応じた事例の提供や助言に努めるとともに、小学校の管理職の幼小連携の意義への理解を深める機会や、保育者や教員、市町村職員等への研修の充実に努めていく。
また、北海道版幼児教育スタートプログラム事業による実践研究を着実に積み重ね、モデル地域等における実践事例など、連携接続の手順や留意点などを広く全道に周知し、各地域において幼小連携接続が一層推進されるよう取り組んでいく。
◆共生社会の実現
Q檜垣委員 本年度から5年間を取組期間とした、特別支援教育に関する基本方針を着実に推進するために、まずは、より多くの関係者が施策の方向性を共有すること、保護者や校長会、市町村教委で構成する検討会議を実施し、様々な立場の方からの意見を収集する中で、具体的な取組を進めていくことが重要である。
検討会議の進捗状況について伺う。
A大畑特別支援教育課長 検討会議について。道教委では、特別支援教育に関する基本方針に掲げた施策の具現化に向け、ことし4月、学識経験者や保護者、教育や福祉の関係者等を構成員とした、今後の特別支援教育の在り方検討会議を設置した。
この検討会議では、校内支援体制の充実と教員の専門性向上を協議する広域特別支援連携協議会と、早期からの教育相談、支援体制の充実等を協議する北海道教育支援委員会と連携し、「よりインクルーシブな社会の実現に向けて~北海道らしい特別支援教育の創造」をテーマに検討を行うこととしており、5月に開催した第1回会議を含め、本年度に3回開催し、基本方針に掲げた施策の具体的な取組などを協議していく。
Q檜垣委員 市町村教委で就学に関わる事務担当者の専門性を高めるために、どのように取り組んでいくのか伺う。
A大畑特別支援教育課長 就学事務担当者の専門性向上について。子どもの障がいの状態や子どもと保護者の教育的ニーズを踏まえた適切な就学先を決定するためには、市町村の就学事務担当者の役割が重要であり、道教委では、毎年度、就学事務に関する手続や早期からの教育相談の重要性などの理解を深めるため、担当者を対象とした研修会を全14管内で実施している。
また、本年度からは、研修会の参加対象に幼児教育施設や福祉事業所の職員を加えることとしており、役割や立場が異なる参加者同士の協議やネットワークづくりなど、研修内容の充実を図ることを通じ、子どもの就学に関する専門性の向上に努めていく。
Q檜垣委員 進路選択に当たっては、生徒とその保護者が、学ぶ内容や高校卒業後の進路をイメージしながら決定することが重要と考える。今後どのように取り組んでいくのか伺う。
A堀籠特別支援教育担当局長 子どもの進路を見通した取組について。子どもと保護者が、高校や高等支援学校の学習内容等について理解を深めることができるよう、道教委では、毎年度、全14教育局で保護者と教職員を参加対象として、適切な進路選択につなげるための研修会を実施し、前年度は約600人の保護者が参加した。
また、高等支援学校への進学を検討している子どもと保護者に対し、適切な進路選択につながる教育相談を行うため、担当教諭を対象とした研修会を毎年度実施している。
今後は、より多くの関係者が研修会に参加できるよう、障がい者団体を通じて依頼するなど、周知方法を工夫し、子どもと保護者が将来を見通した進路選択ができるよう、取組の一層の充実に努めていく。
Q檜垣委員 就学に関する正しい情報を提供し、保護者の不安や悩みを軽減することが必要と考えるが、今後どのように取り組んでいくのか、伺う。
A山本学校教育監 学びの場について。就学時に、小学校段階6年間、中学校段階3年間の学校や学びの場を固定するものではなく、就学後の学びの場をスタートにして、可能な範囲で学校卒業までの子どもの育ちを見通しながら、就学先となる学校や学びの場を柔軟に見直すことをできるようにすることが必要である。
このため、道教委では、就学事務担当者や教育支援委員会等の関係者はもとより、特別な教育的支援を必要とする子どもの保護者に、こうした就学の仕組みの理解を促進することが必要であると考えており、通常の学級、通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校といった多様な学びの場ごとの教育課程の特徴や、受けられる指導や支援の内容をまとめた資料を新たに作成するなど、保護者の理解促進に向けた取組を検討していく。
Q檜垣委員 道教委では、共生社会の実現に向け、どのように考えているのか、教育長に伺う。
A倉本教育長 支え合う社会の実現に向けた取組について。共生社会の形成に向けては、誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会を目指すことが重要であり、学校教育は、障がいのある子どもの自立と社会参加を目指した取組を含めて、共生社会の形成に向け、重要な役割を担っている。
道教委としては、障がいのある子どもと障がいのない子どもができるだけ同じ場で共に学ぶことを目指すべきであり、その場合には、それぞれの子どもが授業内容が分かり、学習活動に参加している実感、達成感を持ちながら充実した時間を過ごしつつ、生きる力を身に付けていけるかどうか、このことを本質的な視点とした共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進についての基本的な考え方を、学校教育関係者をはじめ、全ての子どもたちと保護者が共有することができるよう取組を推進していく。
(道議会 2023-11-21付)
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