道議会質疑 文教委員会(8月1日)
(道議会 2023-12-13付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼佐々木大介委員(自民党・道民会議)

▼広田まゆみ委員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼北村英則教育部長

▼村上由佳生涯学習推進局長

▼山城宏一指導担当局長

▼金田敦史施設課長

▼伊藤直人社会教育課長

▼相馬利幸高校教育課長

▼手塚和貴道立学校配置・制度担当課長

▼髙橋宏明学力向上推進課長

◆地学協働

Q佐々木委員 地学協働活動推進実証事業、北海道CLASSプロジェクトの内容と、これまでの取組について伺う。

A伊藤社会教育課長 北海道CLASSプロジェクトについて。本事業は、道内の4つの圏域ごとに選定した研究指定校において、地域の多様な方々で構成されるコンソーシアムの設置や、関係機関との連絡調整などを行う地域コーディネーターの配置などによって、高校生と大人が一緒に地域課題に向き合い、その解決を目指す探究型の学習体験を通じて、持続可能な地域と学校の連携協働の仕組みを構築し、地域の未来を担う人材の育成や地域コミュニティーの活性化を目的とするものである。

 研究指定校においては、地域コーディネーターと教員が協力して年間指導計画等を作成し、地域や学校の実態に応じて設定したテーマのもと、フィールドワークをはじめ、地域の魅力等を題材にしたPR動画やリーフレットの作成、新しい特産品の提案や議会における政策提言など、特色ある学習活動が展開されているところ。

 道教委では、こうした地学協働の取組を全道に普及するため、「広報誌 地学協働」に取組事例を掲載し、定期的に学校や社会教育施設、関係団体等に配布するほか、教職員や社会教育関係者等を対象とした全道フォーラムの開催や「広報誌 ほっかいどう」を通じて、道民にも取組の情報を発信している。

Q佐々木委員 これまでの取組の成果と課題について伺う。

A村上生涯学習推進局長 取組の成果と課題について。研究指定校からは、地域社会と関わりを持つことで地域のために貢献したいという意識の高まりが見られた、主体的に探究活動を進めることによって学びが深まり、生徒の学習意欲が向上したなどの声が聞かれた。また、地域の方からは、地域活動に高校生が参画することによってまちに活気が出たという声や、地域の企業からも、地元の卒業生を採用したいという声が聞かれるなど、本事業をきっかけとして地域と学校が関わりを深め、地域人材の育成に向けた相互理解と連携が図られている。

 一方、総合的な探究の時間に要する授業時数の確保、地域コーディネーターや担当教諭に負担が集中しない体制づくり、地域の方々に学校の取組をもっと知ってもらうための工夫、首長部局との連携強化といった課題が見られているところ。

Q佐々木委員 地域の担い手確保には、企業にも学生のニーズに対応したPRを行っていく努力が必要だが、生徒にも地場企業の取組への理解や就職後のキャリア形成について考える機会を増やしていくことが重要と考えるところであり、まさに地学協働活動が企業と学生のミスマッチを解消するきっかけになるものと期待するところ。こうした中、地学協働活動推進実証事業は本年度で最終年度となるが、今後の取組について伺う。

A北村教育部長 地学協働の今後の取組について。地学協働を一層進めていくためには、学校関係者をはじめ、地域住民や地元企業などにその趣旨や意義について理解を深めていただくことや、地域創生に係る関係機関と成果を共有し、広く連携を図っていくことが重要である。

 事業の最終年である本年度は、11月に全道地学協働活動研究大会を開催し、成果を全道で共有するほか、研究指定校の3ヵ年の取組をはじめ、他の地域で取り組んでいる特色ある事例を取りまとめた成果報告書を作成し、道内全ての道立学校や市町村、振興局等に配布するなどして、より多くの方々に取組を理解いただき、地学協働に参画する機運の醸成を図るなど、知事部局や市町村長部局とも連携しながら、地域と学校が共に活動できる環境整備に努め、地域の未来を担う人材の育成に取り組んでいく。

P佐々木委員 担い手不足が顕著となっている中で、特に地方企業は若手人材の確保に苦戦している。若者の地元定着の観点からも地域に特化したキャリア教育を推進していくべきと考えるところであり、地学協働の取組は大変大きな意義があるものと考えている。若者の地域定着は、知事部局や市町村とも大きく関係する部分である。この取組が教育の枠組みを超えて、知事部局等とも横断的に発展するよう期待する。

◆高校の在り方

Q広田委員 道立高校におけるコミュニティ・スクール(CS)の設置、CSの状況などについて伺う。設置および推進状況についてどうなっているのか。また、地学協働の取組状況についても併せて伺う。

A伊藤社会教育課長 道立高校におけるCSの状況等について。道教委では、地域住民や保護者と教育理念や学校課題を共有するとともに、学校運営への支援や教育活動への参画、協力を得ることが重要であるとの考えのもと、道立高校へのCSの導入を進めてきており、現在189校中43校で導入され、さらに次年度に向け、都市部である石狩管内での導入について調整しているところ。

 地学協働について。道教委では、高校生と大人が一緒に地域課題に向き合い、その解決を目指す探究型の学習体験を通じて、地域の未来を担う人材の育成や地域コミュニティーの活性化を目的とする北海道CLASSプロジェクトを3年度から実施し、道内の4つの圏域ごとに選定した研究指定校において、まち独自の持続可能な地域づくりの担い手育成や地域に根差した高校づくりなど、地域や学校の実情に応じたテーマを設定し、生徒が主体となって取り組んでいるところ。

Q広田委員 それぞれの成果と課題についてどのように認識し、今後どのように取り組んでいく考えか伺う。

A村上生涯学習推進局長 成果と課題や今後の取組について。道立高校にCSを導入した地域からは、地域と学校が育成したい生徒像を共有できるようになった、地域と連携した地元の行事への参加などの取組を組織的に行えるようになったなどの声が上がっており、一定の成果があったと認識している。

 一方で、都市部の高校では、生徒の通学区域が広範であり複数の地域が関係すること、小規模校では協働して学校運営に参画できる人材の確保が難しいといった課題があることから、地域住民や学校との連絡調整を行う地域コーディネーターの活用や、学校における地域連携を担当する教職員の明確化など、学校や地域の実情に応じた推進体制の構築に取り組む必要があると考えている。

 また、地学協働については、取組の成果として、研究指定校からは、地域社会との関わりを持つことで地域のために貢献したいという意識の高まりが見られた、主体的に探究活動を進めることによって学びが深まり生徒の学習意欲が向上したなどの声が聞かれる一方、地域コーディネーターや担当教諭に負担が集中しない体制づくり、総合的な探究の時間に要する授業時数の確保などの課題が見られることから、事業の最終年である本年度は、全道地学協働活動研究大会を開催し、学校関係者と成果や課題を共有するなどして、校内体制づくりを推進するとともに、研究指定校の3ヵ年の取組をはじめ、他の地域で取り組んでいる特色ある事例を取りまとめた成果報告書を普及、啓発していく。

Q広田委員 最近、新学科増設など高校配置計画に関しての議論が行われているが、CSというものは、学校とはどうあるべきかということを地域の人たち、学校の中だけではなく、地域の人たちと一緒に本当にこの地域の学校とは何のためにあって、どうあるべきかをしっかり議論するということだと思うが、そうしたCSの議論や地学協働などの日常的な取組の継続の中からその高校の普通科新学科の設置があるべきと思う。地学協働の取組が普通科新学科の設置とどのように関連しているのかについて伺いたい。

A相馬高校教育課長 普通科新学科と地学協働について。国では、生徒や地域の実情に応じた特色、魅力ある教育を推進する観点から、新たに学際領域に関する学科、地域社会に関する学科、その他特色、魅力ある学びに重点的に取り組む学科を4年度から設置可能とする制度改正を行ったところ。

 このうち、地域社会に関する学科では、高校が立地する地元自治体を中心とする地域社会が抱える諸課題に対応し、地域や社会の将来を担う人材の育成を図るために、地域社会が有する課題や魅力に着目した実践的な特色、魅力ある学びに重点的に取り組むとされており、こうした内容は、地学協働の趣旨に通ずるものと認識している。

Q広田委員 道立高校廃校後の地域の状況などについて。この30年間で本道から約3割の高校が減少したとのこと。例えば浦幌町のように、高校廃止を契機として浦幌の小・中学校の子どもたちに浦幌のよさを知ってもらう、そして戻ってきてもらうという地域全体の取組として、まさに子ども参画でまちづくりにも参画して、自己効力感を高めるということが、今、10年以上を経て若い人たちのUターンやIターンにつながっていると承知している。

 また、食育や観光などに特化して道外からも学生を募集し、努力をし、今、活性化している市町村立高校もある。なぜこれらのことが道立高校では行えなかったのか、見解を伺う。

A相馬高校教育課長 高校の特色化について。道内の市町村立高校の中には、地元自治体の積極的な支援のもと、地域資源を最大限に活用し、工芸科や食物調理科などの学科を設置して道内外から生徒を募集し、魅力化、特色化を図っている学校がある。

 道教委では、中学校における教育の基礎の上に、生徒の心身の発達および進路に応じて高度な普通教育および専門教育を施すことを目的とする中で、可能な限り生徒の進路選択幅を確保し、多様化する学習ニーズに対応できるよう、通学区域や一定の圏域ごとのバランスなども考慮しながら、活力と魅力のある高校づくりを推進し、学校、学科の特色を生かした教育活動の充実を図っているところ。

Q広田委員 道立高校廃校後、その後の地域の高校教育の状況が市町村移管なども含めてどのように変化したのか伺うとともに、そうした変化を道教委として教育行政執行方針と合致していると考えているのか、見解を伺う。

A手塚道立学校配置・制度担当課長 高校配置の状況などについて。少子化が急速に進展する本道において、高校の小規模化が進む中、教育水準を維持向上させ、教育環境の充実を図るため、中学校卒業者数の状況や地元からの進学率等を総合的に勘案し、道立高校の再編整備等を行ってきたところであり、この30年間で55校減少している。

 この間、地域からは、高校がなくなるということは切実な問題である、地域の中で子どもを育てる視点から地元に高校があるのが望ましいといった意見を多数いただいており、道教委では、地域創生の観点から高校が地域で果たしている役割を十分踏まえた上で再編整備を進めるとともに、高校を核とした地域振興や特色ある高校づくりを進めるため、道立高校から市町村立高校への移管の要望がある場合は当該市町村と協議を進めるなど、地域の教育環境の維持に努めてきている。

 こうした取組は、地域と歩む持続可能な教育の実現に向け、環境の変化に対応し、教育機能の維持向上を図る高校づくりを進めるとした執行方針の考え方と方向性を同じくするものと考えている。

Q広田委員 この30年間で55校減少したという中で、活用されていないままの廃校舎などがないのか、廃校舎の活用状況について伺う。

A金田施設課長 廃校舎の活用状況について。道教委では、道立学校が廃校となった際には、道や市町村における利活用を検討し、その見込みがない場合、学校法人や企業など民間事業者に広く購入希望を募っており、現在活用検討中の廃校舎は7件ある。

 また、道教委ではこれまで、函館稜北高校校舎を函館高等支援学校に、滝上高校校舎を滝上町立滝上中学校に、旭川東栄高校校舎を学校法人旭川龍谷学園旭川龍谷高校に転用するなど、閉校した高校を各学校種へと活用してきた実績があり、今後とも、道立での活用はもとより、地元市町村等の意向も伺いつつ、その対応に努めていく。

P広田委員 地域にとって空き家は、放置をしておくと過疎の象徴となるが、活用すると新しい地域振興やリノベーションなど、いろいろな活性化にもつながる。道立施設として廃校したものをそのまま放置しておくことは財源的な問題など課題もあるかと思うが、これは早急に改善すべきだと指摘をさせていただく。

Q広田委員 道内市町村立高校の特徴や現状について、道教委としてどのように把握しているのか伺う。

A相馬高校教育課長 市町村立高校の現状等について。道内の市町村立高校のうち、例えばおといねっぷ美術工芸高校では、道内唯一の工芸科において木材を使った家具の制作を行い、また、三笠高校では、教育活動の中で高校生レストランの運営を行っている。このほか、奥尻高校では、スキューバダイビングの授業を通した自然環境の保護等に取り組むなどしており、これらの学校では、毎年度、全国からの入学者を確保しているものと承知している。

Q広田委員 頑張っている市町村立高校の多くが市町村移管後に道外からの募集を積極的に行っているかと思う。道としても、平取高校で道外募集を行うなどの報道を拝見した。

 平取高において道外からの生徒募集が行われた経過等について伺うとともに、市町村立高校の動きから現在の道立高校が学ぶべき点があるのではないかと考えている。道教委の認識を伺う。

A髙橋学力向上推進課長 道外からの入学者の受入れについて。道教委では、平成21年度から道立高校のうち農業および水産の学科において、本道の基幹産業である農業や水産業を支える多様な担い手を育成する観点から、道外からの入学者の受け入れを開始した。

 また、平成27年度から普通科も対象とすることとし、31年度以降は離島に所在する高校や、地域連携特例校のうち地域の教育資源を活用した教科、科目等を10単位以上履修できる学校、学科においても受け入れができるようにするなど、段階的に条件の見直しを図ってきたところ。

 令和5年度からは、高校を核とした地域創生の取組を進めるため、さらに条件の見直しを行い、2学級以下の学校のうち、地域ならではの教科、科目等を3単位以上履修できるなどの条件を満たす学校、学科についても対象とし、6年度には普通科12校を含む33校の道立高校で道外からの入学者の受入を実施することとなっている。

 平取高においても、アイヌの文化を総合的に学び、多様性と共生、協働について考える学校設定科目、アイヌ文化等を履修できる教育課程の特色を生かし、6年度から道外からの入学者の受け入れを開始することとした。

 道教委としては、道外からの入学者の受け入れを通じて、道外で育った子どもたちが本道の魅力を深く知り、将来的に本道での多様かつ継続的な関わりを持つことによって、本道の将来を支える人材の育成が期待できるものと考えている。

Q広田委員 高校配置計画は、中卒者の状況を踏まえた上で、そこの中の数のやりくりの話は議論されるが、抜本的に地域資源を活用して若い人材や地域の企業人ともしっかり連携をしていけるような高校づくりの視点が必要ではないかと考える。道教委としての考え方を伺う。

A山城指導担当局長 高校づくりの在り方について。より良い学校教育を通じてより良い社会をつくるという理念のもと、地域と連携協働し、魅力ある高校づくりを推進することがこれまで以上に強く求められているものと認識している。

 このため道教委では、社会の変化や生徒の多様な学習ニーズに対応できる高校づくりの観点から、普通科新学科や単位制の導入を図ることとしている。

 道教委としては、地域の実情に応じた多様なタイプの高校づくりなどを進め、生徒から選ばれる魅力ある高校づくりを推進していく。

(道議会 2023-12-13付)

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