道議会質疑 一般質問(5年9月19日)(道議会 2024-01-23付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼池端英昭議員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼倉本博史教育長
▼鈴木信弘警察本部長
◆カスタマーハラスメント
Q池端議員 顧客等によるサービス提供者への過剰なクレームや迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントに対する認識と今後の対応について、知事、教育長、警察本部長にそれぞれ伺う。
A鈴木知事 カスタマーハラスメントについて。顧客等からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントは、セクハラやパワハラと同様に、労働者へ多大なストレスを与えるほか、人権を侵害する行為と認識している。
道では、事業者に対し、国が4年2月に策定した企業向けの対策マニュアルを活用しながら、労働問題セミナーや広報誌を通じて周知啓発を図るなど、労働者が安心して働ける職場環境づくりに向けて取り組むとともに、消費者に対し、商品やサービス等に対する意見や要望を伝える際の事業者とのコミュニケーションやマナーなどについて、様々な機会を捉えて啓発に努めているところ。
また、道庁内においては、外部の方から職員に対する通常の常識を超えた要求など、いわゆるハードクレームへの組織的な対応を徹底するため、マニュアルを作成し、全庁的な対応を行ってきているところであり、今後とも職務の円滑かつ適正な執行の確保に努めていく。
A倉本教育長 ハラスメント対策について。カスタマーハラスメントは、顧客等からのクレーム、言動のうち、要求の内容の妥当性に照らして、社会通念上、不相当なもので、労働者の就業環境が害されるものと承知している。
学校現場においては、一部の保護者や地域住民からの過剰な苦情や不当な要求等が学校運営上の課題となっており、こうした要望や提案等については、教師が個人として対応するのではなく、学校が組織として対応することや、教育委員会等の行政の責任において対応することができる体制の構築が重要である。
道教委では、3年度から、円滑な学校運営を支援し、教員の負担軽減を図るため、弁護士、いわゆるスクールロイヤーを配置し、学校が抱える対応困難な事案に対して法務相談を受けられる体制を整備しており、今後、スクールロイヤーの対応事例の共有等によって、制度の活用を促すなどしていく。
また、児童生徒が自立した消費者として、責任のある消費行動を考え、実践する資質・能力を身に付けることができるよう、消費者教育の一層の充実に努めていく。
A鈴木警察本部長 カスタマーハラスメントについて。道警においても、電話相談や窓口対応等の市民応接の場において、職員に対し、不当な要求を執拗に繰り返したり、攻撃的な言動を行ったりするなどの行為が一部認められている。
道警では、これまでも、職員に対して、市民の要望、意見等を的確に把握し、相手の立場に立って親切、丁寧かつ迅速に対応するよう、指導、教育しているところ。その上で、このような行為も含め、市民からの具体的な要望、意見や苦情を受けた場合には、所属幹部に直ちに報告させ、組織的に対応することとしている。
多くの場合、当方から相手方に対して、個別の状況に応じて必要な説明や説得を行い、理解いただくよう努めているが、特に、相手方の行為に法令違反が認められる場合には、厳正に対処しているところ。
道警としては、今後とも警察活動への理解と協力をいただきながら、公正な職務執行に努めていく。
◆熱中症対策
Q池端議員 今夏の本道は、昭和21年の統計開始以来、最も暑い夏となった。このような中、道内でも痛ましい事故が発生し、二度とこうした事故を起こさないために、例えば、熱中症の危険性が高い日の臨時休業等の決定基準の策定やガイドラインを道教委として示す必要があると考えるが、いかがか。
加えて、生命や学習権保障の観点から、早急に各学校の教室等にエアコン等の冷房設備導入が求められているが、国への要望や市町村への支援なども含め、どのように取り組む考えなのか、知事ならびに教育長の所見を伺う。
A鈴木知事 熱中症対策について。熱中症は、命に関わる危険な病態であり、子どもたちが一日の大半を過ごす学習の場である学校において、熱中症対策に万全を期す必要があると認識している。
このため、道では、各学校に対し、熱中症対策の危機管理マニュアルやチェックリストを配布し、注意喚起を行うとともに、対策の一層の強化と事故防止に向けた適切な対応を求めてきたところ。
今夏は、真夏日や猛暑日の増加に伴い、熱中症によって救急搬送される児童生徒が急増したことを踏まえ、道としては、これまでも国に要請してきた、空調設備の整備に関する財政支援の拡充について、道教委や市町村と連携し、あらためて国に強く要望するとともに、喫緊の課題として、国への支援策の要請とその活用を図りながら、各学校に可能な限り設置できるよう、速やかに検討を進めていく。
A倉本教育長 熱中症対策について。熱中症は命に関わる危険な病態であり、各学校において対策に万全を期す必要があることから、道教委では、昨年5月に、熱中症対策の危機管理マニュアルやチェックリストを作成し、各学校に注意喚起してきた。
今後は、各道立学校および市町村教委に対し、熱中症警戒アラートの発令時には、学校や地域の状況に応じて臨時休業等の措置を適切かつ迅速に講ずることをあらためて通知するなどして、徹底を図っていく。
また、空調設備の整備については、熱中症の防止はもとより、安全・安心で快適な教育環境の確保が重要であることから、市町村長や教育長などで構成する道公立学校文教施設整備期成会などと連携し、市町村立学校の空調設備整備に係る財政支援の拡充について、国に強く要望するとともに、道立学校について、これまでも国に要請してきた空調設備の整備に関する財政支援の拡充について、喫緊の課題として、あらためて知事部局とも連携し、国に支援策の要請を行い、その活用を図りながら、可能な限り設置できるよう、速やかに検討を進めていく。
D池端議員 既に道内の複数の自治体が、次年度へ向け、エアコン等設置の決断を行っているが、そうではない地域の状況や課題等をしっかりと把握し、あらためて国への要望を行うなど、つぎの夏までに各学校施設等への空調設備があまねく整備されるよう、遅滞なく取り組むことを要望する。
◆端末の活用
Q池端議員 道立高校、特別支援学校においてBYODが導入され、2年目となった。
現在、小・中学校では多くの学校で利活用されている一方で、高校ではほとんど使われていないところもあると聞いている。
道教委として、高校での活用状況をどのように把握し、そして評価しているのか、併せて、今後の対応について伺う。
A倉本教育長 高校における端末の活用について。社会全体の情報化が進む中、学校教育においても、児童生徒が必要な情報や情報手段を主体的に選択、活用し、新たな価値を創造する力を身に付けることができるよう、ICTを効果的に活用した学習活動を推進することが求められている。
こうした中、7月に実施した札幌市立を除く公立高校を対象とした調査では、4年度末現在、1人1台端末を活用した授業をほぼ毎日行った学校の割合は66・1%にとどまっていることから、全ての高校で端末のさらなる活用を進める必要があると認識しており、利活用に当たって課題等を確認し、指導助言していく。
道教委としては、生徒が日常的にICTを活用することで、一人ひとりに応じたきめ細かな学習活動の充実が図られるという考えのもと、各高校において、ICTの活用によって一人ひとりの可能性が最大限に引き出されるという認識を持って、授業改善の推進や教員のICT活用指導力の向上を図るなど、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に進め、主体的・対話的で深い学びの実現に向けて取り組んでいく。
Q池端議員 全国学力調査質問紙調査結果によると、小学校では90・4%、中学校では87・4%が端末を持ち帰り、家庭での活用を促している事例が見られるが、家庭の通信環境によって十分使用できない児童生徒もいると聞く。
道教委として、家庭での端末使用に、いわゆる格差のような状態が出ていることをどのように捉え、今後どのように対応するのか、所見を伺う。
A倉本教育長 端末の持ち帰り学習について。4年度に国が実施した、端末持ち帰り状況等調査によると、各学校において、平常時に持ち帰りを実施していない理由として、端末の破損や情報セキュリティーの確保への不安、通信環境が整っていない家庭への補助が困難などが挙げられており、多くの市町村では、これまで、通信環境が整っていない家庭に対するモバイルルーターの貸与などの支援を行ってきたと承知している。
道教委としては、全ての子どもたちが、端末を用いた学習環境が可能となることが重要と考えており、引き続き、図書館、公民館等や放課後の学校の通信環境を活用した具体的な取組事例について情報提供するとともに、市町村教委に対し、国庫補助制度を活用した家庭への支援を働きかけるほか、全国都道府県教育委員会連合会とも連携し、通信環境の支援の拡充について国に要望するなど、全ての児童生徒が、端末を用いた家庭学習を行うことができる環境づくりに取り組んでいく。
◆働き方改革
Q池端議員 4月から6月の道立学校の教育職員に係る時間外在校等時間が公表された。高校の教育職員では、道教委の定める目標である月45時間以内の超過時間を達成できなかった割合は、4月で42・0%、5月で39・1%、6月で43・6%と、依然として4割を超える教職員が目標を達成できない実態が浮き彫りになった。
道教委として、長期休業中のテレワークを積極的に促すなど、新たな取組が必要と考えるが、教育長の所見を伺う。
A倉本教育長 学校における働き方改革について。テレワークなどの柔軟な働き方は、通勤の負担の軽減や、ワーク・ライフ・バランスの向上などの効果が期待をできる一方、セキュリティー対策や勤務時間管理、業務内容の把握などの面での課題もあるものと認識している。
国では、教員確保の方策を検討する中で、時間外勤務を抑制するための仕組みなど、教員の勤務制度の在り方についても検討しており、道教委としては、こうした国の動向を注視するとともに、他都府県などにおける取組事例を収集、分析しながら、コロナ禍において在宅勤務で行われた教材研究や授業準備など、教員の業務の特性を踏まえた対応について検討するほか、授業時数や学校行事の見直し、ICTを活用した校務の効率化など、学校や教員が担う業務の一層の適正化を推進し、学校における働き方改革を着実に進めていく。
Q池端議員 道庁職員は、リゾート施設、また、隣のホテル個室でのテレワークが認められているのに対し、なぜ、教職員は、指導の対象となる児童生徒のいない夏・冬休み中の学校での勤務が原則とされ、内容によらず、テレワークが認められないのか。
デジタル化の推進や働き方改革が叫ばれている現状、教育行政が後ろ向きの姿勢では、本道のイノベーション人材など到底育つわけがない。長期休業中のテレワークを積極的に促すなど、新たな取組を進めていくことについて、再度、教育長の所見を伺う。
A倉本教育長 学校における働き方改革について。国では、教員確保の方策を検討する中で、時間外勤務を抑制するための仕組みなど、教員の勤務制度の在り方について検討しており、道教委として、国の動向も注視しながら、ICT環境の在り方を含め、在宅勤務など、教員の業務の特性を踏まえた対応について検討するほか、学校や教員が担う業務の一層の適正化を推進するなど、働き方改革を着実に進め、学校が働きやすさとやりがいを両立する魅力ある職場となるよう取り組んでいく。
P池端議員 国の動向を注視し、検討していくとの答弁に終始しており、教職員の確保は待ったなしの喫緊の課題であるとの認識があるのか、疑問を抱かざるを得ない。
教職員の確保に向けた魅力の発信を促進するため、特に長期休業中のテレワークの積極的な実施などできることから順次、道教委独自の新たな取組を進めていくよう、強く指摘する。
(道議会 2024-01-23付)
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