道議会質疑 一般質問(9月20日)(道議会 2024-01-24付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼池本柳次議員(北海道結志会)
▼田中英樹議員(公明党)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼浦本元人副知事
▼濱坂真一副知事
▼倉本博史教育長
◆災害対策
Q池本議員 道では、発生が切迫している日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害を減少させるための減災計画を策定し、想定される死者数を10年間で8割減少させる目標を掲げ、防災・減災対策に取り組んでいる。
日本海やオホーツク海においても、既に道が公表した津波浸水想定によると、これら地域における最大津波高は、日本海で26・9㍍、オホーツク海で10㍍となっているほか、冬季に巨大な地震が発生すると、オホーツク海では、津波により流氷が押し寄せ、相当な被害が生じることも予想される。
日本海やオホーツク海における防災対策について、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
A鈴木知事 日本海・オホーツク海沿岸における防災対策について。四方を海に囲まれている本道では、海溝型地震の発生が切迫しているとされる太平洋沿岸だけではなく、その他の沿岸においても、地震、津波に備えた防災対策に取り組んでいく必要がある。
このため、道では、4年3月に太平洋沿岸、同年6月に日本海沿岸の津波災害警戒区域の指定を完了し、現在、オホーツク海沿岸の指定に向けた取組を進めているところ。
また、市町村における防災対策の立案と推進に活用できるよう、被害想定と減災目標を順次策定することとし、9月から、日本海沿岸とオホーツク海沿岸に関して、北海道防災会議のワーキンググループで議論を始めたところであり、流氷の影響など、それぞれの地域の特性も踏まえた検討が進むものと考えている。
道としては、こうした検討のほか、引き続き、国、市町村、防災関係機関と連携協力し、各種訓練を実施するとともに、防災教育の充実を図るなどしながら、地震・津波対策を推進していく。
Q池本議員 本年度、道では、太平洋沿岸の特別強化地域に指定された39の市町に対して助成制度を創設し、津波避難タワーや避難路といった避難施設などの整備を支援しているが、その現状と見通しについて伺う。
また、津波から命を守るためには、迅速かつ的確な避難行動を取る必要があるが、太平洋沿岸地域では、JRの線路を越えて避難する場合の対策が喫緊の課題となっているという地域の声が多くある。
法令上の規制によって、線路の横断が難しいことは承知しているが、住民の安全を確保した上で円滑な避難が可能となるよう、国やJR北海道に強く働きかけるべきと考える。知事の所見を伺う。
A浦本副知事 避難困難地域の解消に向けた取組などについて。特別強化地域に指定された39市町のうち、7市町では、既に緊急事業計画を策定済みであり、本年度から、避難施設の整備が23事業、避難経路の整備が2事業予定されているほか、その他の市町においても、避難施設等の整備の必要性をはじめ、整備する場合の規模や整備場所、時期等について検討が進められているところ。
道としては、ハード整備の前提となる緊急事業計画の策定に当たって、市町の規模や技術力によって計画の熟度や策定時期に大きな違いが生じないよう、振興局の建設管理部が置かれた四つの地域に、北海道開発局と連携して設置した推進会議を活用するなどして、引き続き、市町を支援していく。
また、避難に当たって、線路の横断が必要な地域を有する市町においては、そうした状況が円滑な避難を妨げる要因となることも想定され、推進会議においても、関係市町から課題として提起されているところ。
道としては、担当者が関係市町に出向き、その状況等の把握に努めているところであり、推進会議の活用をはじめ、関係機関と緊密な連携を図りながら、JR北海道とも協議を行うなど、住民の円滑な避難が可能となるよう取り組んでいく。
Q池本議員 今、地元では、現実的な避難路の確保が切実な問題となっており、踏切までの距離が遠い地域に居住している沿線住民から、緊急避難時のJRの線路横断が強く求められている。
道民の生命を守る責任を負う知事として、関係市町の住民の不安に対し、どのように対処する考えか、再度伺う。
A鈴木知事 線路などによって避難が困難となる地域の解消について。道としては、まずは、他県での取組事例も含めた現状の把握に努め、推進会議の活用をはじめ、関係機関と緊密な連携を図りながら、JR北海道とも協議を行うとともに、必要に応じ国へも働きかけを行うなど、住民の円滑な避難が可能となるよう取り組んでいく。
◆知事公館等エリア利活用
Q池本議員 知事公館・近代美術館エリアの活用に関し、来年度にも活用構想を策定するとのことだが、どのように進めていくのか、スケジュールも含め、伺う。
A鈴木知事 知事公館・近代美術館エリアについて。このエリア一帯は、長い歴史の中で築き上げられてきた大変魅力のある場所であることから、貴重な道民の財産を確実につぎの世代に引き継いでいく必要があるものと認識している。
このため、道では、登録有形文化財である知事公館や、環境緑地保護地区に指定されている緑地については、適切に保全、維持しながら利活用していくことを基本としつつ、低利用となっている居住区域の活用策についても検討を進めているところ。
道としては、リニューアルに向け、検討を進めている近代美術館も含め、このエリアをこれまで以上に魅力あふれる文化、芸術、歴史の発信拠点として活用するため、道教委と連携したPRイベントやワークショップの開催などを通じて、幅広く道民の意見を伺いながら、エリア全体の目指す姿やその実現に必要な機能などの検討を進め、来年度にも総合的な活用構想を策定できるよう取り組んでいく。
◆文化遺産活用
Q池本議員 縄文遺跡群の活用を地域振興につなげていくため、どのように取組を進めていくか、考え方を伺う。
A鈴木知事 縄文遺跡群の活用に向けた取組について。登録2周年を迎えた本年度は、北海道博物館において展覧会を開催し、札幌市内でシンポジウムを開催するなど、北海道・北東北の縄文遺跡群の魅力の発信に取り組むとともに、誘客と周遊を促すため、デジタル技術、NFTを活用したスタンプラリーを行うほか、ガイド研修などの実施によって、受け入れ体制強化に取り組むこととしている。
道としては、本道への人流が勢いを増す中で、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産としての価値を広く発信することで、より多くの方々が訪れ、地域のにぎわい創出につなげていく流れをつくることが重要と考えている。
今後とも、北東北3県や関係市町、地域で活動されている皆さんとしっかり連携しながら、世界の宝として認められた縄文の国内外への魅力発信や、誘客、受入れ体制の強化などによって、その価値が一層輝きを増していくよう取り組んでいく。
P池本議員 文化遺産については、道庁内で所管部局が分かれていて、なかなか論議がかみ合わない面があった。
北東北3県や関係市町、地域で活動されている皆さんと連携するのは結構であるが、道の関係部局における横の連携も重要だと指摘する。
◆学力調査結果
Q池本議員 全国学力・学習状況調査結果について、これまでの調査結果に対する受け止め方について伺う。
本年度は、平均正答率が全国平均に達していないものの、調査開始以来、差が初めて全ての教科で2ポイント以内となるなど、改善傾向が見られ、着実に全国平均に近づいており、これまでの関係者の努力に敬意を表する。
道教委としては、17年間の経緯を踏まえ、これまでの道内における学力の状況をどのように評価し、今後どう取り組むのか、所見を伺う。
A倉本教育長 これまでの調査結果に対する受け止めについて。本道では、調査初年度である平成19年度は、平均正答率の全国との差が最も大きい教科で5ポイント以上あったが、令和5年度は2ポイント以内となったことや、一部の教科では、全国平均を超える市町村数が平成19年度の44市町村から令和4年度は82市町村へ増加するなど、改善傾向が見られている。
このことは、各市町村教委や学校が一体となって、検証改善サイクルの充実や、家庭、地域との連携による学習習慣の確立などを進めてきた成果であると認識している。
一方で、本道の子どもたちは、依然として各教科の下位層の割合が全国より高いことや、家庭学習の時間が短いことなどが課題として挙げられており、今後も、子どもたちが社会で自立して生きていく上で必要な力を確実に育むことができるよう、個別最適な学びと協働的な学びの実現や、望ましい学習・生活習慣の確立など、学校、家庭、地域、行政が一体となった取組を進めていく。
Q池本議員 調査結果をみると、教科によっては、札幌市と札幌市を除く市町村の平均正答率の差が出ている。また、全国の調査結果からも、大都市ほど平均正答率が高い傾向が見られている。全国の平均正答率との差を縮めることも重要だが、格差是正も急務であると考える。
道教委として、格差是正についてどのような見解を持っているのか、また、今後どのように取り組むのか伺う。
A倉本教育長 地域による学力の状況について。国の調査結果では、都市部とその他の地域において平均正答率に差が見られており、本道においても同様の傾向にある。
道教委では、義務教育の機会均等と教育水準の維持向上の観点から、本道のどの地域においても一定水準の学力を保障することが重要と考えており、これまでも課題の見られる地域に対し、具体的な授業改善の方策やICTを活用した家庭での学習習慣の確立に向けた取組事例を示すなどして、実情に応じたきめ細かな支援に努めてきたところ。
今後は、各管内や各市町村の状況など、調査結果を詳細に分析した上で、その結果を踏まえて、管内ごとの課題や改善策を取りまとめたロードマップを見直し、各市町村と共有のもと、学校への周知を図るなど、本道の全ての地域において、より質の高い教育を保障することができる教育環境の充実に取り組んでいく。
◆いじめ対応
Q池本議員 暴力などのいじめから子どもを守るためにどのように取り組むのか、知事および教育長に伺う。
A鈴木知事 いじめ問題への対応について。いじめは、児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、心身の健全な成長と人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命や身体に重大な危険を生じさせる恐れがある決して許されない行為であり、未然防止はもとより、早期発見と組織的な対応が重要である。
道では、これまで、道教委と連携しながら、各学校に対し、いじめ重大事態に係る対応や再発防止策などの事例を紹介するとともに、学校訪問や研修会など様々な機会を活用して、いじめ防止対策推進法の趣旨の徹底を求めるなど、いじめの発生防止に取り組んできたところ。
道としては、引き続き、道教委と緊密に連携し、本道の未来を担う子どもたちの大切な命を守るという断固たる決意のもと、いじめ防止対策に積極的に取り組んでいく。
A倉本教育長 いじめ問題への対応について。複雑化、多様化するいじめ問題から子どもたちを守るためには、事案の対応を学校だけで抱え込まず、家庭はもとより、心理、福祉、法律などの関係機関や警察などと連携し、対応していくことが重要である。
道教委では、昨年3月、道のいじめ防止基本方針を改定し、法律や心理の専門家と連携した学校への支援の充実や、犯罪行為として取り扱われるべき事案への警察と連携した対応の徹底などを示したところ。
今後は、道や市町村によるいじめ問題対策連絡協議会の中で、あらためて、学校や関係機関等がその役割を相互に確認し、複雑化する事案への対策などを効果的に進めることとしている。
また、昨年8月に公表した、道立高校におけるいじめの重大事態調査において、道いじめ問題審議会から、道教委や学校の対応の遅れなどについて厳しく指摘されたことを重く受け止めており、今後、道教委として、道の基本方針の徹底はもとより、調査報告書で提言があった再発防止策が全ての道立学校で着実に実施をされるよう、定期的な検証やその結果の公表を徹底していく。
Q池本議員 いじめや不登校など、生徒指導の課題が複雑化・深刻化する中、その加害や被害をなくすためには、校内で子どもの心のケアを行うスクールカウンセラーや、学校と家庭、専門機関をつなぎ、子どもを支援するスクールソーシャルワーカーの配置および増員が喫緊の課題である。
道教委として、スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーの配置、増員についてどのように考え、どのように取り組んでいくのか伺う。
A倉本教育長 スクールカウンセラーなどの配置について。多様化・複雑化するいじめ問題への早期発見、早期対応に向けては、教職員が、心理や福祉などの専門家との連携のもと、組織的に対応することが重要である。
道教委では、本年度、国の事業を活用し、スクールカウンセラーを希望する道内の約9割の学校に巡回で訪問できるよう必要数を配置するとともに、スクールソーシャルワーカーについては、希望する市町村ごとに委託契約に基づく配置を順次進めてきており、さらに、市町村や学校の要請に応じて緊急派遣等に対応できる体制を整備してきた。
今後は、スクールカウンセラーなどのさらなる配置の充実が図られるよう、全国都道府県教育委員会連合会とも連携し、引き続き、国に対して必要な財政措置を要望するとともに、心理や福祉の関係機関・団体等との一層の連携を通じて、スクールカウンセラーなどの効果的な配置や迅速な派遣に努め、学校におけるいじめ問題等への支援体制の一層の充実に取り組んでいく。
◆インクルーシブ教育
Q池本議員 障がいのある子どもの就学に当たって、あるべき姿をどのように捉えているのか、また、そのためにどのように取り組むのか、知事および教育長に伺う。
A鈴木知事 障がいのある子どもの教育について。学校教育では、障がいのある子どもの自立と社会参加を目指した取組を含め、共生社会の形成に向けて重要な役割を果たすことが求められており、そのためにも、インクルーシブ教育システムの構築のための特別支援教育の推進が必要とされていると認識している。
国は、有識者検討会議の報告を踏まえ、通常の学級に在籍する障がいのある児童生徒への具体的な支援の在り方について方向性を示すとともに、各学校において、障がいのある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な指導や必要な支援が行われる取組を求めていると承知している。
道としては、教育委員会や学校等と連携し、地域実情にも留意しながら、障がいのある子どもと障がいのない子どもが、可能な限り同じ場で共に学ぶための環境整備など、教育支援の充実に取り組んでいく。
A倉本教育長 障がいのある子どもたちの教育について。共生社会の形成に向けて、障がいのある子どもと障がいのない子どもが可能な限り同じ場で共に学ぶことを目指すべきであり、その際には、それぞれの子どもが授業内容を理解し、学習活動に参加している実感・達成感を持ちながら、充実した時間を過ごしつつ、生きる力を身に付けていけるかどうかという最も本質的な視点に立つことが重要と考えている。
このため、道教委では、小・中学校等における通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場において、障がいのある児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な指導や支援が行われることが必要との考えのもと、就学指導に関して市町村教委と連携を進めるとともに、全ての教員が、障がいに関する理解や知識を深め、具体的で実践的な指導や支援の方法などを習得することができるよう、専門性向上に向けた研修の実施や、管理職のマネジメント強化、大学などの専門機関との連携を通じた各学校における校内支援体制のさらなる充実に取り組んでいく。
◆国際交流
Q田中議員 3年にも及ぶコロナ禍の影響やウクライナ問題などの長期化によって、食料やエネルギー問題が深刻化し、国内外の情勢が大きく変化する中で、国際社会は、依然として対立と分断を続け、混迷を深めている。
道では、これまで6ヵ国、10地域と姉妹友好提携を締結しており、文化や教育など各分野において交流が活発に行われており、一方、北海道国際交流・協力総合センターなどの民間団体においても、青少年交流や学術交流など様々な交流に取り組んでいるものと承知している。
道は、今後、こうした地域をはじめ、どのように国際交流に取り組むのか、所見を伺う。
A鈴木知事 今後の国際交流について。経済や社会のグローバル化が進展する中、地域における国際理解の促進による多文化共生社会の形成や、海外の成長力の取り込みによる本道経済の活性化などの観点から、地域間の国際交流は重要である。
また、交流の促進に当たっては、昨今の国際情勢の変化などを踏まえ、多様化するグローバルリスクへの対応の視点が求められているものと認識している。
道としては、こうした認識のもと、今般、北海道グローバル戦略の改訂を進めているところであり、今後は、有識者の協力によるリスク情報の収集にも努めながら、豊かな自然環境や、安全・安心な食といった本道に優位性のある交流資源を最大限に活用し、様々な分野において、友好提携地域をはじめとした海外との交流に取り組んでいく。
Q田中議員 道は、国際交流を担う人材の育成や、友好親善の促進、経済交流の推進などを掲げたグローバル戦略を策定しており、一昨年から様々なグローバルリスクに柔軟に対応するための見直しに取り組んでいるものと承知している。
道では、これまでグローバル人材の育成にどのように取り組んできたのか、また、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
A濱坂副知事 グローバル人材の育成について。地域の国際化をけん引する人材を育成していくためには、学校での外国語教育に加え、海外への留学や研修などを通じ、未来を担う若者に国際社会への理解促進や海外でのスキルの習得を図る機会を提供することが重要だと考えている。
このため、道では、世代に応じた取組を展開することとし、友好提携地域などへの派遣や、道教委による交換留学などを通じ、高校生の国際理解の醸成に努めるとともに、ほっかいどう未来チャレンジ基金を活用し、大学生や社会人の海外における自らの資質向上に向けた挑戦を支援するほか、本年度は、こうした取組に加え、高校生を対象にオンラインを活用した海外との交流機会を拡大するなど、地域で活躍するグローバル人材の育成に取り組んでいく。
Q田中議員 道は4年、JICAとの包括連携協定を締結した。このような中で、今後、多文化共生社会の推進やSDGs等、グローバル化に対応し、どのような取組を展開しようとしているのか伺う。
A鈴木知事 JICAとの連携について。本道のグローバル化を推進するためには、海外との交流ノウハウや国際的なネットワークを有する国際協力機関と連携した取組を進めていくことが重要である。
このため、道は4年、JICAと包括連携協定を締結し、JICAが主催する海外からの農業研修員などの受け入れ事業に対し、道職員の講師を派遣しているほか、地元の小学生との交流事業に道の国際交流員が参加するなど、様々な交流事業に取り組んできた。
今後は、こうした国際交流の取組に加えて、多様化するグローバルリスクに対応するため、今般改訂する北海道グローバル戦略の考え方も踏まえ、JICAのネットワークを活用した海外情報の収集と関係者間の共有といった新たな取組も進めていくこととしており、JICAとの連携協定を生かしながら、本道における国際協力や交流の促進に取り組んでいく。
◆北海道総合計画
Q田中議員 道は、新たな北海道総合計画の骨子案を明らかにした。
本道の将来に大きな影響を及ぼす課題に的確に対応していくためには、国の計画との連携はもとより、次代を担う若者をはじめ、地域住民や市町村の意見等を踏まえ、新たな総合計画の検討を進めていくことが必要と考える。
どのような魅力あふれる計画を策定しようとしているのか伺う。
A鈴木知事 新たな総合計画について。道では、今後の計画策定に向け、本道を取り巻く社会経済情勢の将来展望を共有した上で、本道が目指す姿と、その実現に向けた政策展開の方向性などを、北海道総合開発委員会をはじめ、道民と議論を深めていくことが重要と認識している。
道としては、こうした考え方に立った上で、政策展開の方向性などについて、成長や潜在力の発揮、重要課題への対応、各地域の発展といった三つの視点を基本に、国の第9期総合開発計画の内容も十分に踏まえつつ、各地域にも出向き、道民や市町村などから直接意見を伺いながら具体的な検討を進め、つぎの定例会に向けて計画の素案を示していく。
Q田中議員 道は、今後、新たな総合計画の策定を受け、全道各地域ごとでの地域づくり推進計画を策定するものと考える。
地域が担っている課題解決に向けてどのような取組をするのか、見直しも含め、併せて伺う。
A鈴木知事 道の地域計画である連携地域別政策展開方針の策定に当たっては、地域課題の解決に向け、行政サービスの内容や地域の実情に応じて、様々な連携によって魅力ある地域づくりを推進していくとともに、社会経済情勢の変化に対応しながら、各地域の特性や豊かな森林、エネルギー、食料などのポテンシャル、さらには、歴史、文化といった地域資源を活用した取組を進めるなど、地域の持続的な発展が図られるよう、検討を進めていく。
Q田中議員 新たな総合計画の目指す姿の実現に向けて、実効性の高い政策を一体的に推進していくためには、分野別の計画についても、本道が直面する状況の変化を踏まえ、見直し等の検討を進めていく必要があるものと考える。
人口減少が加速する中、総合計画のもと、将来にわたって活力ある地域づくりを進めていく上では、北海道創生総合戦略の内容が、北海道のマスター計画である総合計画の方向性を具現化するものでなければならないものと考える。次期総合戦略の策定に向けてどのように検討を進めていくのか伺う。
A濱坂副知事 北海道創生総合戦略について。創生総合戦略は、総合計画に基づく重点戦略計画として、人口減少問題への対応を分野横断的に推進するための指針であり、計画で掲げる本道の目指す姿の実現に向け、個別具体的な施策や事業の実効性の確保を図っていく必要がある。
道としては、こうした考えのもと、次期戦略の策定に当たっては、社会経済情勢の変化に的確に対応した効果的な人口減少対策の推進を図るため、若年層や女性の道外への転出超過、札幌圏への一極集中などといった本道の実態を踏まえた人口動態の要因分析を行うこととしている。
また、直近の人口推計も反映し、道の人口ビジョンを見直した上で、今後設置するワーキンググループにおいて、これまでの取組に係る検証や課題の抽出を行うとともに、道民の意識調査やヒアリングの結果も踏まえ、本道の強みや潜在力を最大限生かした施策を重点的に展開できるよう、検討を進めていく。
◆子ども子育て
Q田中議員 道では、知事をトップとする北海道こども政策推進本部を6月末に立ち上げ、子ども政策を一元的に推進する体制の強化を図った。
この推進本部において、子ども関連施策の全庁調査を実施し、先日、調査結果を公表した。今後、調査結果をどのように生かし、子ども施策を総合的・一体的に進めていく考えなのか伺う。
また、子ども施策の推進に当たって、国、市町村と連携して取り組んでいく必要があるものと考える。道の対応について併せて伺う。
A鈴木知事 子ども施策の推進について。北海道こども政策推進本部で実施した子ども施策の全庁調査においては、子どもファスト・トラック等の推進によるさらなる社会的機運の醸成や、道営住宅の子育て世帯の優先入居枠の拡大など、道が早期に実施可能な事業を整理したところ。
道独自にできることは早期に取り組むことが重要であり、今後とも、各部局で事業の実施時期の見直しや取組強化などについて検討し、道が率先して取組を進めることで、市町村や民間企業等にも子ども・子育てに優しい社会づくりの輪を広げていく。
道としては、今後とも、国のこども大綱の検討状況などを注視し、地方への安定的な財源の確保を要望するとともに、創意工夫を凝らし、独自の取組を進める市町村等と連携を図りながら、地域のニーズに即した子育て支援を充実し、希望する方々が安心して子どもを産み育てることができるよう、子ども応援社会の実現に向け、全庁を挙げて取組を進めていく。
◆熱中症対策
Q田中議員 本道においては、昨年7月から8月にかけて記録的な猛暑が続き、全道各地で観測史上最高を更新している。
道や道教委では、外気温が28度を超えるとクーラーを入れるなどして仕事ができる職場環境づくりに努めているが、必ずしも十分整備されていないと承知している。
道として、今後どのように対応するのか伺う。
道教委においては、今後、子どもたちのためにも、一日も早く全ての学校にエアコンを設置するなど、教育環境の整備充実に向け取り組むべきと考える。教育長の所見を伺う。
A鈴木知事 庁舎などにおける熱中症対策について。道では、職員の執務環境を適切に管理することが重要と考えており、振興局や道立病院においては、例えば、窓ガラスの断熱改修を実施するなど、施設の機能性向上に努めるとともに、空調設備の更新などについては、各施設管理者が作成する長期保全計画に基づき、更新周期も踏まえた上で計画的に行ってきているところ。
また、道内の学校については、熱中症対策の一層の強化などについて通知するとともに、道教委と連携し、空調設備の整備などに係る財政支援の拡充について、国に強く要望していく。
社会福祉施設については、熱中症警戒アラートが発表された際に各施設に注意喚起を行うとともに、運営指導時に、入所者等の適切な健康管理について確認し、必要な指導を行うほか、空調設備の整備に係る各種支援制度を周知しており、道としては、今後とも、庁舎をはじめとした各施設における熱中症対策に適切に取り組んでいく。
A倉本教育長 熱中症対策について。学校は児童生徒が一日の大半を過ごす学習の場であることから、熱中症の防止はもとより、安全・安心で快適な教育環境の確保は重要であると考えており、長期と短期の視点に立って、ソフト・ハードの両面から、気象状況の変化に応じた必要な対応を速やかに検討していく。
空調設備の整備については、道公立学校文教施設整備期成会などと連携し、引き続き、市町村立学校の空調設備整備に係る財政支援の拡充について国に強く要望するとともに、道立学校について、国への支援策の要請とその活用を図りながら、可能な限り設置できるよう速やかに検討を進めていく。
◆特別支援学校の就労支援
Q田中議員 特別支援学校では、生徒の就労に向けた取組を行うとともに、生徒の実習先や就労先の確保のため、担当者が企業を直接訪問し、依頼するなどの取組を行ってきた。
特別支援学校の地道な取組によって、生徒一人ひとりの就労に結び付いていると承知しているが、加えて、各学校の地域と連携した教育活動などを通じ、企業や地域の障がい者理解が進んできたことも大きな要因ではないか。
こうした状況を踏まえ、特別支援学校の卒業生が地域において就労し、地域の一員として生活していくためには、これまで以上に、企業、地域への理解啓発も必要であると考える。道教委の考えを伺う。
A倉本教育長 特別支援学校の生徒の就労支援について。本道の特別支援学校の生徒の就労割合は、5年前と比較して増加しており、このことは、子どもたちの就労に対する意欲の向上や学校における進路指導の充実、さらに、障がいのある生徒に対する地域や企業の理解が進んだ結果であると認識している。
道教委では、毎年度、経済団体や事業者に対し、生徒の実習等の受け入れを要請しているほか、実習先や就労先の事業者から評価いただいている障がいのある生徒の真面目さや素直さ、粘り強さなどを理解してもらうため、経済部と連携して、特別支援学校企業向け見学会を実施するなどの取組を進めてきた。
道教委としては、引き続き、地域や企業と連携・協働した教育活動を推進し、生徒の就労促進に向けた理解啓発に努めるとともに、障がいのある生徒一人ひとりが必要な資質・能力を身に付け、社会の中で自立して豊かな生活を送ることができるよう、きめ細かな進路指導や職業教育の充実に取り組んでいく。
(道議会 2024-01-24付)
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